導入事例:日辰貿易株式会社
メーカー以上に広範・精緻な化学品情報管理が求められる商社
A∞Fit-CHEMSの導入で
抜本的効率化とイノベーション創出を推進

日辰貿易株式会社 総務本部
レスポンシブルケア部 部長
兼 技術担当部長
河瀬 一郎 氏
日辰貿易株式会社 総務本部
経理部 課長
緒方 純子 氏
日辰貿易株式会社 総務本部
レスポンシブルケア部
青山 瑞樹 氏
日辰貿易株式会社 総務本部
総務部 課長
萩野 祐資 氏
化学物質の安全性や環境対応に関する情報の管理が重要なのは、
化学品を供給するメーカーや利用するユーザーだけではない。両者の間で流通の仲立ちをする商社も同様だ。
むしろ、メーカー以上に広範、精緻、かつタイムリーな情報管理が求められるという。化学品などの専門商社である日辰貿易では、化学物質管理システム「A∞Fit-CHEMS(エーフィットケムズ)」を導入。
近年強く求められるようになった環境対応のDXや将来的なビジネスの価値創出に役立てている。
背景・課題
化学品を扱う商社に求められるメーカー以上の緻密で広範な情報管理
近年、商社には商品流通の仲介以上の役割が求められるようになってきた。
日辰貿易の専門領域である化学品の輸出入でも同様である。
「現在当社では全社を挙げて、より付加価値の高い新規事業の開拓と、顧客からの要求が高まっている環境対応に注力しています」と同社の河瀬一郎氏は説明する。環境対応に関しては、環境マネージメントシステム(EMS)の国際規格である「ISO14001」の認証を取得。その一環で、環境リスクの低減や省資源・省エネルギー化、法令遵守などを徹底管理する体制づくりを加速させている。
化学品の生産メーカーは、当然、環境規制への対応などを管理する責任を負っている。
しかし、商社がメーカーと同様の責任を負っていることはあまり知られていない。商社もメーカーと同様に、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(以下、化審法)」などの法令を遵守していないと厳しい罰則が課される。しかも商社は、メーカーが想定していなかった国や地域への販路拡大を行うこともあるため、
仕向地(輸出先)の法令に適合していることを、独自の調査で顧客に提示する必要がある。
加えて、多数のメーカーと顧客の仲介をしているため取り扱い品目が多く、現時点で取引していない品目に
関する情報も将来を見据えて管理しておく必要がある。つまり、メーカー同様リアルタイムかつ正確な管理が
必要な上に、緻密さと視野の広さが求められていると言える。
現在、同社では約3000〜4000品目もの化学品を取り扱っており、仕向地の法令を遵守していることを管理する作業は膨大なものになる。品目数は年々増加していく傾向にあり、法令も頻繁に改訂されて、より厳格な遵守が求められるようになっている。
日辰貿易は、こうした化学品管理の変化に迅速に対応していく必要性に迫られていた。
選定・効果
5社のシステムを比較検討し、優位性の高いA∞Fit-CHEMSを導入
そこで同社では、2021年6月頃から化学物質管理システム導入の検討を開始し、2022年5月に、A∞Fit-CHEMSの導入に踏み切った。「それまで当社では、商品として扱う化学品の含有成分や対応すべき法規制などの情報管理をスプレッドシートにまとめ、2人体制で管理していました。しかし、数百品目もの商品が毎年入れ替わる
状況下で、人手による管理体制の厳密化は不可能であると感じていました」と管理担当者である青山瑞樹氏は
導入当時を振り返る。
同社は選定の際、自社の管理業務内容と目指す管理環境の姿に即した要件を挙げた。
「対応すべき特定の法律に該当する商品を確実に抽出できること」「法改正の情報がタイムリーにシステムに
反映されること」「安全データシート(SDS)の作成ができること」「ラベル作成ができること」の4項目で
ある。
特に、SDSを適切に作成・管理する機能は必須だった。SDSには商品の危険性や有害性や取扱上の注意点、
そのほか該当する法規制などの情報が含まれている。輸入品では、日本の基準に合致したGHS分類
(国際的な化学品の分類・表示システム)に即したSDSを作成しておく必要がある。
このため、メーカーが作成したSDSの単なる翻訳ではなく、専門的知見を入れた作成が求められる。
日辰貿易では、導入候補5社のシステムを比較検討した上で、最終的にA∞Fit-CHEMSを導入している。
選定の決め手は、「直感的インターフェースによる操作性の良さ、法規制の検索やSDS・ラベル作成などの
機能面の充実、コスト面でのメリットでした」と青山氏は言う。
A∞Fit-CHEMSは、パッケージ化された範囲内の機能だけでも同社のニーズを十分満たせることが確認できた
ため、コスト面での優位性が際立っていた。法律に関する情報の表示について調整する程度のわずかな
カスタマイズを行い、より使いやすい形に仕上げて導入した。
SDSを自社作成し外注を不要に、作成期間とコストをともに大幅改善
現在、同社では、化学品を扱う営業担当者、カスタマーサポート部、レスポンシブルケア担当者と複数部署の
約35名がA∞Fit-CHEMSを利用している。これによって、法規制情報の一元管理が可能になり、社内で部署の
枠を超えた知見の蓄積が可能になった。各部署それぞれで行われていた属人的管理から脱却できた点も大きい。
さらにSDSについては、外注していた作成業務を自社で完結できるようになり、大幅なコスト削減と作成期間の短縮を実現した。外注作成の場合、およそ1週間の作成期間を要していたが、自社作成に切り替えたことで
1〜2日に短縮。顧客対応業務に即時適用できるようになった。SDSの外注コストが削減できたことで、
A∞Fit-CHEMSのランニングコストがペイできているという。さらに多様な業務効率化を得られたことから、
トータルの投資効果は大きい。
展望
日辰貿易が目指すビジネスイノベーション
化学品のより深く広範な管理が必要条件に
A∞Fit-CHEMSに対する日辰貿易の期待は大きい。
例えば、JIS規格の改正に伴ったSDSの作成ルールの変更対応はその1つである。
GHSは2年ごとに改訂されており、現在、SDS作成時の基準は第6版となっているが、2025年度中に第9版に対応したJIS Z 7252及びJIS Z 7253の改正が公示予定である。これによって、新たな危険有害性分類が追加される
見込みであり、法律上は5年以内の対応が求められることになる。だが、顧客によってはさらに早期の対応を
求めるケースもあるため、A∞Fit-CHEMSも迅速に対応していく必要がある。
こうした化学品の管理環境の変化は、日辰貿易などユーザー企業とAJSが協力しながら、
早期かつ適切に対応していく見込みである。
さらに目下のビジネスだけでなく、将来のビジネス・イノベーションにおいてもA∞Fit-CHEMSの利用価値は
高いと考えている。「当社では、既存商品の拡販に加え、国内協力会社との独自製品の共同開発や、
中国、韓国、インドネシアの拠点を活用した新規顧客や新たな原料調達先の開拓を推し進めていく方針です。A∞Fit-CHEMSをビジネス開拓の情報基盤として活用し、国内外の法規制を注視しながら、原材料管理や
製品管理を行っていきます」と同社の萩野祐資氏は語る。
化学品の汎用品は利益率が低下傾向にあるため、マーケット・ニーズを把握した上で独自製品を開発し、
高利益率のビジネスを創出していくことは欠かせない取り組みだ。
当然、新ビジネスに適用可能な情報管理環境の整備が必須になる。
一般に化学品は複数の化学物質を混合・反応させて生産する。このため、A∞Fit-CHEMSを活用し、
原材料をメーカーレベルの厳密さで管理していくことが非常に重要になる。
日辰貿易の中で、A∞Fit-CHEMSはますます重要な役割を担うツールになりそうだ。
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Company Data 日辰貿易株式会社 日辰貿易株式会社は、化学品の輸出入並びに国内販売を担う大日本インキ化学工業(現DIC)の傍系会社として1950年に |
日辰貿易株式会社
本社:〒101-0021
東京都千代田区外神田2丁目16番2号
第2ディーアイシービル10階
創業:1950年2月22日
URL: https://www.nissinboeki.co.jp/
事業内容:化学品(溶剤、樹脂、有機無機化学品、油脂、フッ素化学品等)、建材物流資材、たばこ等の輸出入並びに販売
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