導入事例:住友商事ケミカル株式会社様
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2万を超える物質のCAS番号と含有量データを、AJSの化学物質管理システムで一元管理。
社内の情報共有、申請フローも統一し、 出張中もモバイル端末からスピーディーな承認が可能に。
膨大な数の化学物質を扱う商社、住友商事ケミカルでは、化学物質関連法規遵守のための負荷が増大していた。CAS番号や含有量の管理に課題を抱えていた同社は、化学物質管理のノウハウが凝縮されているAJSのシステムに切り替え問題を解消。一元管理とペーパーレス化によって業務改善にも役立てた。
2万品目を超える構成物質を法令遵守するための負担が増大
住友商事ケミカルは、住友商事グループの資源・化学品事業部門における中核事業を行う商社だ。「石化・産業材」「機能材・エレクトロニクス」の2つのビジネスユニット体制を敷き、材料調達から物流、顧客への配送、サービス提供までのバリューチェーン全体を意識した営業活動、並びに高付加価値製品の拡大などに注力した事業戦略を展開している。
執行役員の春名氏は、「化学物質を扱うには、法令への理解が重要。一つの構成物質であっても複数の法規制に該当していることも多く、多角的に化学物質関連法規を確認し、遵守する負荷が増大していました」と語る。
その法令遵守への意識の高さを示す一つが、安全保障輸出管理実務能力認定試験(安全保障貿易情報センター実施)の合格者数で、これまでに約70名もの従業員が合格している。
だが実際に法令遵守を徹底する苦労は、並大抵ではなかった。通常の化学物質メーカーであればさほど多くの数を扱うことはない。しかし商社である住友商事ケミカルでは2万を超える品目を扱っており、その膨大な品数に含有されているCAS番号単位の構成物質と含有量を正確に管理しなくてはいけなかった。
ところが、それまで化学物質管理に使っていたのは、経理機能が中心のしくみのため、一つの化学物質に対して一つのCAS番号しか入力できない問題があり、化学物質の含有量や閾値の管理ができなかった。
システムに不足していた化学物質適用法令の管理のための機能は、取扱商品と適用法令をひも付けた一覧表をExcelで作ってカバーしていた。しかし、法改正のたびにExcelとERPの両方を修正する必要があり、それらの手間が重くのしかかっていた。
プロジェクトリーダーである箱守氏は「行政の物質管理の考え方がハザードベースからリスクベースへと移り変わってきました。このままでは化学物質適用法令の改正にあわせて、迅速に対応するのが難しくなるのは明らか。また、改正に関連する商品があれば、担当営業に通知をしなくてはいけません。社内の担当者との情報共有も整備する必要がありました」と管理の煩雑さを説明する。
化学物質を扱う商社に必要な機能に対して 柔軟な対応ができるAJSのシステム
住友商事ケミカルが、化学物質専用の管理システムを導入して、管理の負荷を軽減し、正確に、かつスピーディーに情報を活用しようと取り組み始めたのは2011年。インターネットで探したところ、目に留まったのがAJSの「化学物質管理システム」だった。
「AJSは、化学物質を扱う旭化成のグループ会社。であるならば、化学物質を扱う難しさを理解し、効率よく扱うノウハウが凝縮されているのではないかと期待して、コンタクトを取りました」と箱守氏は語る。
AJSから詳しく聞いたところ、「このシステムは、私たちが目標としている化審法対応を含む業法管理と安全保障貿易管理のデータ含む業法管理と安全保障貿易管理のデータベース管理及び法規制遵守のためのマッチング機能をもっている」との印象を受けたという。他の類似システムと比較しても「他のシステムは化学物質メーカーを対象としており、商社には不要な機能が多く、逆に必要な機能が足りないこともあったが、AJSのシステムは、商社に必要な機能に対して柔軟な対応ができる」と判断した。
住友商事ケミカルが、AJSの化学物質管理システムに求めていたのは、「構成物質と含有量をベースに、適用法令の該非をシステム上でチェックできる機能」「輸出先などをデータベース化して、販売懸念先をチェックできる機能」「行政への届け出や報告をシステム上で集計、申請書類作成ができる機能」「すべての申請書類、その変更の記録を残し、内部統制が有効に機能している確証とすること」などであり、その目的をすべてクリアしていた。
箱守氏は選定当時を振り返り、「AJSの担当者は、化学物質管理に関連する業務に対する知識を持ち合わせており、容易に意思疎通できたことがスムーズな導入につながったと感じます。化学物質管理システムの経験があるメンバが参画しており、業務に関する理解が深く、いちいち説明する必要がないので、打ち合せの時間も短縮、かつ充実していました」と語る。
一元管理とペーパーレス化で、 情報共有と申請処理がスピーディーに
AJSの化学物質管理システムは、2015年8月に運用開始した。現在では、薮野氏が名付けた「CRESCENT(クレセント)」という愛称で呼ばれるほど、浸透している。
CRESCENTはChemical Register and Substance Control Entry(化学物質登録&物質管理一覧)の頭文字を取ったもので、「三日月」「クレセント錠」をイメージしている。このシステムが化学物質管理の鍵(キー)となり、均一な化学物質管理の推進と業務の質の向上及び効率化を進めていくという思いが込められている。
その法令遵守への意識の高さを示す一つが、安全保障輸出管理実務能力認定試験(安全保障貿易情報センター実施)の合格者数で、これまでに約70名もの従業員が合格している。
現在、CRESCENTは全営業部門と、管理部門の安全保障・化学品管理ラインで使われている。用途は、安全保障貿易管理のサポートと、業法関連の法令遵守のサポートなどだ。構成物質データが一元管理できるようになり、法令変更の際も一元的に変更処理が可能となった。
書類申請のフローも、紙からペーパーレスに変わった。かつては新しい物質を取り扱う際などは紙の書類で承認を受ける必要があり、地方の部署からは郵送で送られることもあったが、今ではCRESCENT上ですぐに処理できる。
さまざまな機能の中でも特に業務効率化に貢献しているのは、申請を承認する側の業務だ。紙の申請の時代は、承認のために帰社する必要があったが、モバイル端末から承認できるため、海外出張中でも承認できるようになった。
このプロジェクトを振り返り、春名氏は「一元的にシステム化したことで、把握できる情報の幅が広がった」と総括する。例えば化学物質は、直接販売する相手はもちろん、その企業が作った製品が届けられる先までチェックする必要がある。「最終販売先まで容易に調べられるようになりました。確実にシステムで見つけられるという安心感があります」と情報把握の例を挙げた。
さらにその先の展望として箱守氏は「システムに蓄積されたデータがあれば、新市場開拓、新サービスの開発などに応用できます。日々蓄積されるデータを武器にして顧客サポートに役立てていきたい」と将来ビジョンを口にした。
住友商事ケミカル株式会社
本社:〒104-6224 東京都中央区晴海一丁目8番12号
創業:1998年2月23日(前身の住商化学品販売株式会社は1968年7月
URL: http://www.sc-chem.co.jp/
事業内容 合成樹脂、有機化学品、機能化学品分野において、化学品の原材料から最終製品に至るまで非常に幅広い分野にわたって事業を展開している。
導入ソリューション |
化学物質管理システム 規制・化学物質・品目組成の関係を一元管理 |
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