導入事例:積水化学工業株式会社

労働安全衛生法改定を機にA∞Fit-CHEMS導入で
化学物質管理のDXを加速。
約750種の化学物質について組成を一元管理可能に。
西日本積水工業株式会社
生産基盤部 安全環境課
環境エネルギー係 係長
藤本 浩司 氏
製造業が化学物質を適切に管理することが、法令遵守と安全確保の両面で重要になっている。積水化学グループにおける環境・ライフラインカンパニーの主幹工場である滋賀栗東工場では、2022年に「労働安全衛生法」の大幅な改正が公表され、化学物質リスクアセスメント対象物質の増加、がん原性物質、保護具着用義務物質などの法規制に対応すべく化学物質管理システム「A∞Fit-CHEMS(エーフィットケムズ)」を導入。紙やエクセルによる人手に頼った化学物質の管理業務について大幅なDX化を推し進めた。
背景・課題
労働安全衛生法の改正で、人手に頼る化学物質管理は限界に
積水化学グループでは2025年度から、本社が主体となった統一管理を目指すことで、化学物資の取り扱いに関して法令遵守と効率化を同時に図っていく計画である。
滋賀栗東工場では、硬質塩化ビニル管や架橋ポリエチレン管、合成木材(FFU)などを生産。製品の生産プロセスでは多様な化学物質を使用している。以前は、これらの化学物質を各部署で個別に管理し、安全環境課が各部署の情報を集約して工場全体で総括管理していた。各部署の情報収集や集計は、エクセルや紙を使い人手で作業していた。
2016年改正の「労働安全衛生法」では、一定の危険有害性のある化学物質(640物質)について事業場におけるリスクアセスメントが義務化された。滋賀栗東工場内の生産子会社である西日本積水工業株式会社で環境関連のDXに取り組んでいる生産基盤部 安全環境課 環境エネルギー係 係長の藤本浩司氏は「2016年改正時は化学物質リスクアセスメント対象物質が640物質に増加しただけでしたが、2022年に公表された法改正については、各部署に一任している状態では、法令で求める管理に対応できないと考えました。化学物質の管理をシステム化し、各部署の管理情報を集約する必要性を強く感じました」と当時を振り返る。
選定・効果
社内で利用実績があった管理システムでは、必要とする管理業務のDX化の要件を満たせない
藤本氏の部署では、システム化を推し進めるにあたり、まず構築すべきシステム像を洗い出して明確にした。
真っ先に重視した点が、安全データシート(SDS)や化学物質の情報を、誰でも閲覧したい時に確認できる機能を備えること。SDSだけでなく、化学物質のリスクアセスメントの結果や化学物質を新規に採用(使用)する際の届出書類など、複数のファイル(データ)を保管できる必要がある。
加えて、生産する製品が混合物である場合、含まれる化学物質の組成(そせい)を化学物質単位で円滑かつ明確に管理することが重要となる。原材料個々の管理は比較的簡単だが、多様な原材料を組み合わせて使用している工場では、製品に含まれる物質の組成を厳密に管理するのは簡単ではない。
法令が改正された際に、該当する化学物質などが含まれる製品があるのかを、システム上で迅速に判定できる機能も必要だった。
積水化学グループ内で利用されている化学物質管理システムはあったものの、試薬使用量の管理にフォーカスしたものが多く、機能面で不十分だった。積水化学グループ内で中間製品を輸出する部門でも化学物質管理システムを活用していたが、海外法に対応するためのシステムで、高価かつ国内法だけに対応するには、機能過多であった。
製品に含まれる化学物質の組成を明確に管理できるA∞Fit-CHEMS
「そのときに出会ったのがA∞Fit-CHEMSで、私が求めている機能をほぼイメージ通りに実現できると思いました。特に、原材料だけでなく製品に含まれる化学物質もきちんと管理できる点は、他に代わるものがありませんでした。また、使用者の要望に合わせてカスタマイズし、利便性を改善できる点にも魅力を感じました」(藤本氏)。
2022年に労安法の改正が公表され法令の規制対象物質が大幅に増加することへの対応が急務だった。それまでの人手に頼る管理ではヒューマンエラーが生じやすく、システム化しなければ法令順守が難しい。そこで、2023年度からA∞Fit-CHEMSの導入に着手することとなった。
当初は、自社工場にA∞Fit-CHEMS新規サーバーを投入する計画だった。だが、自社工場以外のグループ企業へ展開する将来的な可能性とメンテナンス性などを考慮し、積水化学グループのデータセンターに仮想サーバーとして導入している。
藤本氏は「AJSには、詳細仕様の検討と同時に、使用方法の教育を進めていただきました。これによって、導入作業をスムーズに進めることができました」と円滑に進んだ背景を説明する。既に事業所内で使用している約750種類の材料について、A∞Fit-CHEMSへの登録が完了。登録内容の確認と、原材料を使った中間体(配合)や製品の登録に移行しつつあり、本格運用の開始に向けて着実に進んでいる。
展望
管理業務の効率化と同時に確実な法令順守が可能に
本格運用を開始すれば、使用材料の一元管理、最新版のSDS管理、誰でもどこでも直ちにSDSを確認できる環境が整備される。法令改正で法規制対象物質が公表された際にも、該当する材料や含有する製品の有無などを瞬時に判定することも可能だ。
廃棄物の売却先から含有物質の調査依頼があった場合も、これまでは製品の配合規格から原材料に分解し、さらに含有化学物質に分解して確認するという手間と時間がかかる作業が必要だった。A∞Fit-CHEMSを活用すれば、問い合わせに対し瞬時に返答できるようになる。
毎月1件の問い合わせ・確認作業が発生すると仮定して管理のコストや工数面での導入効果を概算すると、年間削減工数は約174時間(工数費用に換算すると約72万円)となる。「管理業務の工数を削減できることはもとより、何より法令順守の観点からも漏れなく確実な対応が可能になることが重要と考えています」と藤本氏は言う。
積水化学グループにおけるA∞Fit-CHEMSの導入・運用は、今回が初めてとなる。グループ内の各事業所それぞれで、化学物質管理の目的と適用シーンが異なるため、「すべてのニーズにA∞Fit-CHEMSが最適とは考えていません。ただし、原材料だけでなく、製品に含まれる化学物質を明確に管理したいというニーズはあるので、そうしたニーズが浮上した際には全社さらにはグループ会社へと展開していきたいと考えています」(藤本氏)。
Company Data 積水化学工業株式会社 積水化学工業株式会社は、住宅・管工機材、住宅用建材・高機能プラスチックなどを中心に製造する大手樹脂加工メーカー。その積水化学グループの中で環境・ライフラインカンパニーの主幹工場が滋賀栗東工場である。西日本積水工業株式会社は滋賀栗東工場内にある生産子会社である。滋賀栗東工場内の製造・間接部門の業務は生産子会社である西日本積水工業株式会社が担っている。 |

積水化学工業株式会社
本社:〒105-8566 東京都港区虎ノ門2丁目10番4号
創業:昭和22年(1947年)3月3日
URL: https://www.sekisui.co.jp/
事業内容:ユニット住宅の製造・施工・販売・リフォーム等の住宅関連サービス、建築・土木・車輌・電子機器等各産業向けプラスチック製品の製造・販売、体外診断用医薬品・検査機器の製造・販売等
導入ソリューション |
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