二階崩れの変に学ぶ“信頼ログの崩壊”

 2026.01.20  AJS株式会社

二階崩れの変に学ぶ“信頼ログの崩壊”

第1章 崩れたのは二階だけではない

戦国の夜、豊後・府内の大友館に、静かで血なまぐさい崩壊が起きた。
天文十九年(1550年)、当主・大友義鑑は、嫡男・義鎮(のちの宗麟)を廃し、弟・塩市丸を後継に立てようとした。
その報を受けた義鎮は、「別府へ湯治に行く」と偽り、館を離れた。
だが、それは身を引くための旅ではなく、仕組まれた“舞台装置”だった。

夜半、義鑑の寝所が襲われ、当主と塩市丸が討たれる。
記録上、実行犯は義鑑に仕えていた入田氏・由布氏ら――つまり、廃嫡を推していた家臣たち。
だが、後の史料をたどると、彼らは実際には関与していなかったことが見えてくる。
宗麟側の家臣が手を下し、事件後にログが改ざんされ、無実の家臣たちが“実行犯”として記録されたのだ。

崩れたのは、館の二階だけではない。
家臣たちの誇り、主家の信頼、そして“事実の記録”そのものが崩れた夜だった。

第2章 血縁認証というセキュリティホール

もしこの大友館に入退管理システムが導入されていたなら――。
誰が出入りし、どの扉が開いたか、監査ログに残ったはずだ。
「義鎮は別府に滞在中」と記録されていながら、その側近が深夜に館へ侵入していれば、アラートが鳴っただろう。

だが、当時のセキュリティは“血縁”と“忠義”だった。
父子の信頼がパスワードであり、情が通行証だった。
その脆弱な認証を突いたのが宗麟だった。
血のつながりを盾にして出入りを許され、記録の空白を巧みに利用した。
もし、当時に「入退管理」が存在していれば、
その侵入は“外部アクセス”として検出されたかもしれない。

第3章 改ざんされたログの果てに

事件後、宗麟は当主の座についた。
だが、その権力は“改ざんされた記録”の上に築かれたものだった。
誰が命じ、誰が討ち、誰が嘘を記したのか――。
そのすべてが消されたまま、宗麟は“正統な後継者”として君臨する。

信頼を得るためには、恩賞により繋ぎ留めるしかなく、拡大路線を余儀なくされた。
島津との決戦に備えて日向国に侵攻し、キリスト教布教の名の下に神社仏閣を破壊、掠奪行為が横行した。
耳川での敗北の後、「ムシカ」というスペイン語の「Música(音楽)」を語源とする地名が残ったと伝えられるが、人々の記憶には「大分人の通ったあとには草も生えぬ」と、恨みと憎しみを残した。

第4章 花映ゆる地に、未来を築く

だが、現代に生きる私たちは、その轍から学べる。
記録を残すこと。改ざんを防ぐこと。責任の所在を、誰の目にも明らかにすること。
それは、権力のための監視ではなく、信頼を守るための仕組みだ。

あの夜、正しいログが残っていれば、父と子は敵にならずに済んだかもしれない。
かつて宗麟が蹂躙した日向の地――その地は今、春には菜の花や桜が彩る「花映ゆる地」となった。(延岡花物語 | 延岡観光協会
そして今、大分と宮崎は、東九州の発展のために力を合わせている。
人が集い、語り、未来を共に築く場所へと変わったのだ。

戦国の夜に崩れたのは、二階の床ではなく、“信頼の構造”だった。
その構造を現代にふさわしいかたちで築き直すこと――
それこそが、分断ではなく共創の時代に必要な「仕組み」なのだ。

■歴史用語解説

二階崩れの変:1550年、大友義鑑が家督を弟・塩市丸に譲ろうとしたことに反発した嫡男・義鎮(のちの宗麟)側の家臣が、大友館を襲撃し義鑑と塩市丸を殺害した事件。事件後、実行犯とされた家臣たちは冤罪だった可能性が高く、記録の改ざんが疑われている。

大友義鑑(おおとも よしあき):戦国時代の豊後国(現在の大分県)の戦国大名。家督を巡る内紛により命を落とした。

大友宗麟(おおとも そうりん)/義鎮(よししげ):義鑑の嫡男。キリスト教を受け入れた戦国大名として知られ、南九州への侵攻や宗教政策で大きな影響を与えた。

塩市丸(えんいちまる):義鑑の弟で、義鎮に代わる後継者として擁立されたが、事件で命を落とした。

耳川の戦い:1578年、日向国(現在の宮崎県)で起きた大友氏と島津氏の間で起きた戦い。大友氏は敗北し、勢力を大きく後退させた。

日向国(ひゅうがのくに):現在の宮崎県にあたる地域。大友氏が侵攻したが、島津氏との戦いで敗北した。

ムシカ(無鹿(むしか)):宮崎県延岡市に現存する地名。大友宗麟がキリスト教布教の拠点として名付けたとされ、スペイン語の「Música(音楽)」に由来するという説がある。

■IT用語解説

信頼ログ:システムや組織において、誰が何をしたかを記録する履歴。正確なログは信頼の根幹であり、改ざんされると責任の所在が不明になる。

ログ改ざん:記録された履歴を意図的に変更する行為。証拠隠滅や責任逃れのために行われることがあり、重大なセキュリティリスクとなる。

入退管理システム:施設への出入りを記録・制御するシステム。ICカードや生体認証などを用いて、誰がいつどこに出入りしたかを把握する。

血縁認証:比喩的な表現で、家族や親族関係に基づく信頼によるアクセス許可。現代のセキュリティでは不適切な認証方法とされる。

外部アクセス:システムや施設に対して、内部関係者以外がアクセスすること。適切な認証がない場合、不正侵入とみなされる。

監査ログ:システムの操作履歴を記録するログ。セキュリティ監査やトラブル対応に用いられ、改ざん防止が重要。

異常検知:通常とは異なる挙動を検出する技術。侵入や不正操作をリアルタイムで察知し、警告を発する。

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