導入事例:旭化成 延岡・日向地区における入退管理ソリューション導入事例

旭化成 延岡・日向地区における入退管理ソリューション導入事例
震災の教訓をきっかけに始まった入退管理刷新プロジェクト
セキュリティ強化と業務効率化を兼ね備えた一元管理体制を実現

分断された管理体制を一本化し、事業継続計画の強化へ
旭化成株式会社 延岡支社では、以前より危機管理体制を整備していたが、1995年の阪神・淡路大震災を契機に、BCP(事業継続計画)強化への意識が高まり、災害時の安否確認を含む総合的な危機管理体制の構築が必要であるとの認識が社内で共有されるようになった。これを受けて、2008年から「危機管理センター構想」の一環として延岡・日向地区でも入退管理の刷新プロジェクトが立ち上げられた。
見直しにあたっては、最初の2年間で他社および同社の地区工場を視察・研究し、その後さらに約2年をかけて入退管理システムの構築を進め、2011年より運用を開始した。
しかし、運用を重ねる中で、車両の入退管理と来訪者の入退管理が連携しておらず、データの統合を手作業で行う必要があるという課題が明らかになった。
そして、システムの老朽化に伴い、2018年より検討を開始し、2020年までの3年間を要し、車両や急な来訪者を含む全入場者が管理できるシステムが完成した。
AJSがシステム構想段階から伴走
AJSは当初より、旭化成の他拠点での導入事例を踏まえ、ICカード活用によるセキュリティ強化を提案し、システム構想の段階から本プロジェクトに参画した。
センサーによるゲート運用やICカードを用いた入退管理など、延岡・日向地区の拠点固有の課題に対応するため、最適なシステム像を策定・提案したのである。
ワンストップで完結する導入体制とマルチベンダー調整力が高評価
(写真)車両用リーダー
(写真)車両用リーダー:退出する車両がリーダーにタグをかざしている様子
システム導入に際しては、ゲート設備の設計・施行、ICカード仕様の選定、行政対応、既存システムとの連携など、対応すべき項目は多岐にわたった。AJSは、これらすべての工程を一貫して支援できる体制が高く評価され、プロジェクト推進のパートナーとして選定された。
繁昌課長はいう。
「AJSさんは、技術的な知見だけでなく、現場の運用に寄り添った提案をしてくれました。複数のベンダーとの調整もスムーズで、社内の負担が大きく軽減されました。」
複数のカード仕様やメーカー候補がある中、AJSは中立的な立場から機器選定と技術検証を実施。コスト、拡張性、調達性といった観点を総合的に考慮し、最適なカード仕様とベンダーを決定した。その結果、ICカードを活用した一元管理体制の構築を実現した。
特定メーカーに依存せず、複数システムを柔軟に統合できるマルチベンダー対応力は、プロジェクト全体の推進力となり、円滑な導入と運用を支える重要な要素となった。
将来的な拡張を見据えた提案と柔軟な対応力
2011年の導入当初の目的は、入退管理におけるセキュリティ強化であったが、AJSは将来的な拡張も視野に入れた提案を行っていた。
その結果、2016年には来訪者管理システムを追加導入し、構内に出入りするほぼすべての関係者の動態を把握できる体制の構築に成功。セキュリティ向上と運用効率を同時に叶える体制が整った。
さらに、2018年からは車両の入退管理とICカードの統合が進められ、セキュリティと運用効率を両立した運用が実現された。
AJSは、現場の要望に応じてシステム仕様の調整、ベンダーとの折衝、現地対応までをワンストップで担い、旭化成社内の調整負担を大幅に軽減した。
導入後も続く運用サポート
システム稼働後も、AJSは外部取引先向けICカードの発行・無効化などの日常運用支援に加え、トラブル発生時の一次窓口としての対応も担っている。
さらに、属人化していたカード発行ソフトをOracleベースからExcelベースへと移行することで、運用コストと管理負担の削減を実現した。
教育用動画やマニュアルの作成、守衛所PCの環境整備など、関連業務全般にわたり、きめ細かな支援を継続的に提供している。
導入効果:セキュリティ向上と業務効率化の両立
刷新したシステムの導入により、工場ゲートのセキュリティレベルは大幅に向上し、入構者の動態をリアルタイムで把握できるようになった。
有事の際の安否確認や、無許可者の入場抑止強化のほか、車両ゲート通過時の確認作業が不要となったことで、運転者および守衛双方の負担が軽減された。
また、来訪者管理においても、事前連絡や現地での確認作業の手間が削減され、総務・警備部門の業務効率が向上している。
繁昌課長は語る。
「導入後は、守衛所の業務が格段に効率化されました。
セキュリティも強化され、安心して運用できています。現場からも非常に好評です。」
(写真)守衛所での来訪者入場受付の様子
延岡事業所での成功事例は他拠点へも展開され、拠点ごとのニーズに応じてRFIDの活用など柔軟なシステム構成が実現している。
担当者紹介
>左:開発を担当したAJS株式会社 河村
右:旭化成株式会社 延岡支社 延岡総務部 繁昌課長

旭化成株式会社
本社:東京都千代田区
創業:1931年5月21日
URL:https://www.asahi-kasei.co.jp/
1922年に創業した総合化学メーカー。カザレ法による日本初のアンモニア合成の成功など、合成化学や化学繊維事業からスタート。その後、日本経済の発展や社会・環境の変化に対応しながら事業の多角化と、事業ポートフォリオの転換により成長。現在では、「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」という三つの領域で事業を展開している。
導入ソリューション |
---|
工場や研究所における安全管理・セキュリティ強化・災害時対応を支援します。 |
製品・サービスに関する問い合わせ