導入事例:大日精化工業株式会社様
管理対象の化学品は約20万件以上
パッケージを生かしたアドオン開発で
SDS作成の半自動化で品質と効率を両立

この世に存在する“色”の数は、まさに無限だ。工業製品において色は製品価値を大きく左右する要因であり、思い通りの色で彩るための着色用化学品は膨大な種類を用意しておく必要がある。顔料など着色用化学品を得意とする大日精化工業では、化学物質管理システム「A∞Fit-CHEMS(エーフィットケムズ)」を導入。膨大な数の製品と開発・生産時に扱う化学品の管理体制を刷新した。これまで部署ごとに表記形式が異なっていた安全データシート(SDS)の半自動作成を可能にし、管理業務の標準化を実現した。
背景・課題
増え続ける管理対象となる化学物質SDS作成など管理業務は限界に
色彩は、アートから自動車・家電・建築物まで、身の回りの価値を左右する重要な要素である。大日精化工業は顔料の専門メーカーとして約100年の歴史を持ち、合成・分散・樹脂技術を活かして着色剤やインキを開発してきた。
HR戦略機構総括 青葉 匡彦 氏
同社が得意とする顔料は耐熱性・耐候性に優れ、車両部品や建材、プラスチックに加え、近年は機能性マテリアル分野にも展開している。多様な技術と知見を活かし、市場ニーズに応じた色や機能を提供できるのが強みだ。
青葉匡彦氏は次のように語る。「顔料技術でインキを生産するメーカーは何社かありますが、その多くは印刷ビジネスへの内製用です。これに対して私たちは、蓄積してきた知見や膨大な技術の引き出しを生かして、市場で求められている様々な色、機能、形態の製品を、開発・提供できる点が強みです」。
しかし、同社の強みである製品の多様さは、化学物質管理の負荷を増大させる要因にもなっていた。「当社で管理する管理対象品目は、お客さまのオーダーメイド的なご要望にお応えするため、製品、原材料合わせて約20万件と膨大な数に上ります。これらについて安全データシート(SDS)の作成が求められます。とくに法改正のたびに必要となる更新作業は大きな負担でした」と管理現場を知る嶋村靖史氏は語る。さらに、9つある事業部ごとに対応が個別最適されており、各事業部が独自に持っている情報の全社的活用が難しかった。
またもう一つ、別の問題もあった。同社で管理環境を整える役割を担う鳥井克俊氏は、「導入から10年以上が経過した既存システムでは法令改正への迅速な対応が難しく、情報更新も手作業で行っており、専任者を配置しても対応が追いつかず、管理負荷が高まっていました」と振り返る。
選定・効果
多種多様な製品に対応できる柔軟性ほか3つの要件から導入を選定
生産推進本部 本部長嶋村 靖史 氏
2022年7月、同社は化学物質管理システムの刷新に踏み切った。さらに、システムの刷新を機に、SDS作成の自動化を推し進め、表記方法を標準化することによって、社内での化学物質管理の仕組みと進め方を統一することを決めた。
導入するシステムの選定にあたり、以下の3つの要件を重視したと嶋村氏はいう。「第1に化学物質の管理およびその法令管理にスピーディーに対応できること。第2に顔料や樹脂の合成反応を管理できる機能を備えていること。第3に半自動のSDS作成機能を備えていること」。
CSR・ESG推進本部 品質化学品統括部統括部長 鳥井 克俊 氏
そして、4つの候補を3カ月間徹底的に比較検討した結果、採用したのが「A∞Fit-CHEMS」だ。「当社の多種多様な製品に対応できる高い柔軟性があり、合成品の管理機能のカスタマイズ対応がアドオン開発によって実現できる確信が得られたことが決め手でした」と選定に携わった鳥井氏は語る。
また、単に機能要件を満たすだけでなく、当社の業務を理解したうえで「共に実現していく」という姿勢と、複雑な業務要件にも柔軟に対応できる技術力・実行力の双方に安心感を持てた点も、大きな決め手だった。
パッケージの良さを活かしたままアドオン開発でSDS作成の自動化を充実
導入に際しては2つの主要機能をアドオン開発した。1つはSDS作成の自動化である。定めた手順に沿って入力することで、担当者によらず一定の品質でSDSを作成できる仕組みを構築した。もう1つはこれまで台帳管理していた合成反応の管理をシステム化したことだ。社内で製品を合成する際には、合成時に利用する添加剤や合成後に生まれる副生物も管理する必要があるが、こうした管理機能は標準機能として用意されていなかったためアドオン開発に踏み切った。同社では、標準機能を最大限に活用しながら、アドオン開発の範囲を適切に見極めることで、標準化とのバランスや将来的なメンテナンス性にも配慮している。
特にメンテナンス性を考えると、アドオン開発をしすぎると今後のメンテナンスが煩雑となり、工数やコストに懸念が出る。大日精化工業では、カスタマイズにあたってA∞Fit-CHEMSの標準機能を活かしつつ、アドオン開発した機能についても将来的な標準機能としての展開を見据えて設計を進めた。その結果、SDS作成の自動化に関する仕組みは、パッケージの機能として整理・共通化され、自社のメンテナンス負担を抑えながら、管理業務の自動化と標準化を円滑に推進することができた。これにより、全社で共有できる化学品の情報管理基盤が出来上がった。
現在では約450人が、何らかの形でA∞Fit-CHEMSを利用しており、導入効果が早くも見えてきている。現在、同社では月平均約2,000件のSDSを作成しているが、SDS作成担当の作業時間が半減。内容のクオリティも向上したという。加えて、最新の法規制を踏まえた対応をタイムリーに行えるようになり、安心して業務を進められる基盤が整った。
展望
管理業務改革での成功体験を背景にさらなる自動化と活用シーンの拡大を構想
社内共通の管理基盤であるA∞Fit-CHEMSの導入に併せて、それまで各事業部に分散していた管理業務を1カ所に集約する組織改革も段階的に進めた。当初、顧客にSDSを届ける窓口となる営業部門からは、従来の表記と違うことを懸念する声もあったが、実際にはクレームや戸惑いの声はほとんど発生しなかった。
「現場のコンセンサスを得ながら社内調整を進めました。導入効果は得られており、A∞Fit-CHEMSを利用した新しい業務は、成功体験を伴って着実に定着しつつあります」と青葉氏は語っている。
そして、早くも次なるステップを見据えている。まず、A∞Fit-CHEMSで管理しているデータを、製造部門と技術部門が共有できる体制を構築すること。将来的には、SDS作成業務のさらなる自動化の促進。そして、ウェブサイトから直接、SDSを取得できる機能の導入などを見据える。
大日精化工業では、デジタルツールを導入する際、「将来のメンテナンス性」や「継続的なサポートサービス」を重視している。A∞Fit-CHEMSと、その潜在能力を引き出すAJSのサポートサービスは、長期的視野からツールの効果的活用を考える同社の化学物質管理に対する厳しい要求に応える価値あるソリューションとして機能している。今後も継続的な機能拡張と活用支援を通じて、その価値はさらに高まっていくと期待されている。
AJSとしては、本プロジェクトで得られた知見や取り組みを、大日精化工業様との合意のもとA∞Fit-CHEMSへ反映し、製品全体のさらなる進化につなげています。現場で培われた実務知見をソリューションに取り込み、その成果を他のお客様にも展開できる点は、A∞Fit-CHEMSの大きな特長の一つです。
また、本プロジェクトにおける進め方そのものについても高い評価をいただいており、単なるシステム導入にとどまらず、今後も共に価値を創出していくパートナーシップが構築されています。(AJS増井)
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Company Data 大日精化工業株式会社 大日精化工業株式会社は、1931年に創業した。無機・有機顔料および加工顔料、印刷インキなどを製造・販売する専門性の高い化学メーカーとして出発。現在では、有機無機合成・顔料処理技術、分散加工技術、樹脂合成技術の3つをコア技術として、液晶パネルのカラーフィルターやプリンター用顔料インク、合成皮革や電子・自動車・内装建材などに向けたコーティング剤など幅広い化学製品を開発・生産・供給している。 |
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