SAPジャパン主催「第2回デジタル業務改革ラウンドテーブル~全体最適の業務改革の推進を行うには~」のセッションに登壇しました。

2023年7月13日(木)、SAPジャパン主催「第2回デジタル業務改革ラウンドテーブル~全体最適の業務改革の推進を行うには~」のセッションにAJSが登壇しましたので、
その様子をレポートします。

 

目次

はじめに
BPMサービス化にむけて
社内での業務課題改善プロジェクトを進行中
業務分析から見えてきたもの
今後の展望について

 

「デジタル業務改革ラウンドテーブル」は、SAP Signavio 導入済または導入を検討している
企業様、BPM活用を検討中の企業様をお招きし、BPM実践事例を参考にしながら、全体最適の業務改革の推進をいかに進めていくかを考える場として開催される招待制のイベントです。

今回、AJSは「業務課題改善に向けてSAP Signavioを活用した業務プロセスの可視化」を
テーマとしたセッションに登壇しました。

登壇者:AJS株式会社 インダストリービジネス第一事業部
BPI企画室 室長 岡本匡史

現在弊社で取り組んでいる業務課題改善の取り組みについてお話しました。

AJSが業務課題改善やBPMの取り組みに乗り出したきっかけは、弊社で毎年実施している
お客様満足度調査の結果でした。

「業務プロセスの改善・強化」がITで解決したい経営課題として常に上位にあがってきて
おり、この課題解決に貢献していくためにまずは自社内で業務課題の改善、
業務の効率化・高度化を推進することから着手することにしました。
自社内でまず取り組むことで、よりお客様ニーズに対応できるビジネスとして展開していく
ことができるのではないかと考えました。

日本全体で考えても今後、人材不足や労働人口の減少は深刻な問題で、
人材の効率的な配置や業務の効率化や高度化が必要となっています。
また、従来ベテランの担当者が担ってきた重要な業務ノウハウが、退職に伴い失われ
継承されないリスクを解消するためにも業務フローによる可視化が重要です。

 

BPMサービス化にむけて

現在、弊社の一部のお客様向けにBPMサービスの提供を進めています。
現状の業務が実際はどのように行われているのか、
業務を可視化し整理してみると様々な問題や意外な状況が見えてきます。

例えば、実はあまり必要性を理解せず、前任者から引き継いだまま行われている、
どのように使われているが把握されていないまま行われているなど、なぜそのような手順に
なっているのか、業務の目的が明確ではない業務が存在している場合があります。
目的を再確認して手順を整理し、あるべき業務フローを作成してから、システム構築を行う。そしてプロセスマイニングでシステムから業務ログを分析し、業務課題を洗い出していく、
このようなサイクルを継続的に回していくことが必要です。 

プロセスマイニングを行うことで、
業務の流れを可視化し、非効率な業務、ボトルネックの発見、社内で定義されている業務
ルールの逸脱などの発見にもつながります。業務上の問題点を発見し、改善する方法には
システムの機能追加やマニュアルの見直し、担当者への教育実施などの提案も含まれます。
改善を進めて定期的に業務ログを取得することで、改善効果を定量的に確認することが
できます。

一時的な業務改革を行うのではなく、
継続的に業務改善を進めることが重要であると考えます。

 



社内での業務課題改善プロジェクトを進行中

サービスとして提供することと合わせて、
弊社内でも業務課題改善の取り組みを進めています。

今回は、いくつかのプロジェクトの中から販売業務管理の業務課題改善事例をご紹介します。

お客様にはシステムの最新化を提案することも多いのですが、
実は弊社内のシステムは業務効率化・高度化とは疎遠で、部門ごとに簡易なシステムを導入し、データ入力の重複が発生している状況でした。
お客様に見積もりを提示する際、弊社ではお客様から依頼を受け、
開発側で見積もりを作成し、お客様に回答して・・・という一連の流れを営業アシスタントと営業事務間で何度もメールでやり取りをしながらこなしていくというやり方です。

非常に時間がかかっていたこのフローを改善すべく、部分ごとに導入したシステムを
共通化し、営業アシスタントと営業事務間のやり取りをなくして、共通システムを介して
フローを進めるよう改善を行いました。
また、業務の自動化としてRPAの採用も進めることでさらなる効率化を目指しました。

まずは、SAP SignavioAs-IsTo-Beの業務フローをBPMNで作成し、
コストメリットがどれくらいあるか定量的にシミュレーションを行いました。
誰がどのくらいのコストをかけてこの業務を行っているのか、差し戻し率はどのくらいなのかを入れていくことにより、コストがどのくらい下がるのかを分析していきます。
また、このように社内で業務の標準化を図ろうとした時に課題となったのが、
部門ごとに様々な理由から、独自のやり方で業務を進めているという状況です。
ここについては、実際に現場にインタビューを行い、新しいシステムに取り込むべき項目と、これを機に思い切って排除するものとを整理し、今後業務を分析する上で必要な項目は
要件定義の段階で確定させました。
また、各部門でのこれまでのシステムでの工夫をできるだけ新しいシステムに盛り込むことで、ユーザーが使いやすいものに仕上げていきました。

 

業務分析から見えてきたもの

実際、約3か月間どのような分析を行ったかをご紹介します。

主に、見積もり依頼を受けてからお客様への回答にどのくらい時間がかかっているかを
みていきました。
弊社では、暗黙の基準として見積もり依頼からおおよそ2週間程度で回答したいというのが
あり、これをベースに基準を超えているものがどのくらいあるのかを見ていきました。

この結果を営業担当別にみると、一部の担当者に基準を超える業務の滞留がみられました。
ここを深堀して、この担当者がどの部署でどのような状況で業務を行っているのか確認すると、部署で多数のお客様を担当しているものの、営業担当は1名という状況がわかりました。

この結果をもとに、
現在該当部署に営業担当を増やして1名あたりの業務量の平準化を提案しています。
現場に話を聞いてみると、やはり営業担当が非常に忙しいというのは把握されていたものの、そこで終わってしまっていた問題に対して、今回定量的なデータで忙しさの度合いと、
どのくらいの負荷がかかっているのかが可視化されたことで、すぐに手を打たなければと
いけない問題であるという気づきにつなげることができました。

このような業務改善を進めていくことにより、今回のケースでいえば、
営業が1名増員となったのちの分析結果で、業務の滞留が少なくなっていれば業務改善
されたという結果を定量的に見ていけるようになります。

 

今後の展望について

引き続き、自社内での業務課題改善への取り組むは進めていきますが、
今後はお客様と一緒に分析を行い、実際の現場にインタビューしながら改善を行っていく
ようなサービスとしての展開を考えています。自社内での業務課題改善に取り組み、
培ったノウハウや気づきをお客様に還元していけるようなサービスにしていきたいです。

セッション後のグループディスカッションでは、
多くの質問もいただき参加者の方々と議論を重ねることができました。
懇親会も行われ大盛況のうちにイベントは閉会となりました。

 

以上、イベントレポートをお送りしました。