製品含有化学物質管理の基礎(第1回)

 2025/05/14 16:07:48  AJS株式会社

製品含有化学物質管理の基礎(第1回)

電気・電子を扱う製品の製品含有化学物質管理は、ウィキペディアのカドミウムの項目にも
書かれている、2001年10月オランダにおいてゲーム機のPS oneの周辺機器から基準値を
超えるカドミウムが検出され対応を求められた件に端を発しています。

この件に関してより詳しく知りたい方は、日経XTECHの「【闘いの軌跡】はんだのPbフリー化」の中の、第5回から第8回にかなり詳しく載っています。(記事を読むには無料の会員登録が必要です。)

その後、RoHS指令やREACH規則の対応のために、様々な管理の手法が考えられ進歩してきました。

現在では、その手法は大きな枠組みでは決まっていると考えてよいでしょう。

製品含有化学物質管理のための文書

それでは、製品含有化学物質管理のための文書を紹介します。
この連載で取り上げていく内容を理解するためには必要な文書となりますので、入手いただくことをお勧めします。

・JIS Z 7201:2017 製品含有化学物質管理―原則及び指針
製品含有化学物質管理ガイドライン第4.0版および附属書E:チェックシート第4.01

これらの文書はchemSHERPAのHPの管理ガイドラインというタグの下に存在します。

製品含有化学物質管理ガイドライン第4.0版は、その説明にあるように、 JIS Z 7201:2017 (製品含有化学物質管理-原則及び指針)に準拠し、製品含有化学物質管理ガイドライン第3版を改訂したものです。

では、製品含有化学物質管理ガイドライン第3版との違いはどこにあるのでしょうか。
第4版と第3版もその説明に「製品含有化学物質の管理に取り組む組織の支援を目的として作成されたものである。」という文言があります。

わかりづらいですが、単純に言うとJIS Z 7201:2017を一段実務よりにブレークダウンしたものと思っていただければいいと思います。

一方、附属書E:チェックシート第4.01版に対する説明は、「製品含有化学物質管理ガイドライン第4.0版の附属書E 「チェックシート第4.01版」を、MS-Excel形式で提供するもの。」とあるのですが、これでは何だかわかりません。

これは、製品含有化学物質管理ガイドライン第4.0版の要求項目を満たしているかどうかを確認するためのシートになっています。従って、これを埋めることによって、自社もしくは他社の管理状態をチェックすることが可能になります。

こちらは、ガイドラインは日本語だけでなく、英語と中国語、それにハングルも存在しますので、海外の調達先に依頼や確認をする際に役に立ちます。

こちらの文書は、本連載で今後よく登場していきますので、ぜひダウンロードした上で記事もお読みいただければと思います。

A∞Fit-CHEMS製品資料(A4両面)
A∞Fit-CHEMS製品資料

各種ガイダンスについて

chemSHERPAのHPの管理ガイドラインの部分を更にスクロールすると、
「製品含有化学物質の管理および 情報伝達・開示に関するガイダンス」、「他団体が作成したガイダンス文書等」、「その他の文書」というヘッダが並んでおり各種ガイダンスなどの文書が納められています。

これらは、より詳細で特化した分野などに対する対応が書かれているものになります。

これらの文書も本連載で使用する場合がありますので、その場合は今後の記事内でリンクを
記載します。

ただ、上で示した製品含有化学物質管理ガイドライン第4.0版を見ると項目が多すぎて、
こんなに対応しきれないという方がいらっしゃるかもしれません。

中小企業の方などは特に難しいかもしれませんが、その場合、他団体が作成したガイダンス文書等のところに、中小企業のための製品含有化学物質管理実践マニュアル(第3版)というのがあります。これは、説明にもある通り「JIS Z 7201:2017や製品含有化学物質管理ガイドライン第4版に対応しています。」ので、こちらを参照して多少なりとも軽いオペレーションが行えるよう工夫してみてください。

chemSHERPA製品含有化学物質情報利用ルール(Ver.1.7)

製品化学物質の情報伝達のために、chemSHERPAは必須ではありません。別の手段で行う場合も多いです。

ですが、chemSHERPAのHPのchemSHERPAについてというタグの下にあるchemSHERPA説明資料の部分にchemSHERPA製品含有化学物質情報利用ルール(Ver.1.7)というのがあります。

これは、当然chemSHERPAについての利用ルールが書かれているわけですが、いわゆる製品含有化学物質の情報伝達において重要なことが書かれています。

従って、こちらも今後の連載に登場してくると思いますので、
ダウンロードをおすすめします。

最後に

敢えて聞いていきたいと思いますが、皆さんは、自分の会社の製品にどんなものがあるか知っていますか?

筆者は、過去かなり大きい会社にいたので、自社の製品を全部は知りませんでした。そんなものまで作っていたの?というときがあったのです。

大企業や、多種多様な製品を作って多角化だーと言っている会社では特に起こりがちです。

そうすると関わってくる規制自体が異なる場合さえあります。

ですので、個々の製品である必要はありませんが、自社の製品のカテゴリーと概要を一度洗い出しておいていただいたほうがいいかもしれません。

次回より実際の製品含有化学物質管理についてお届けします。

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個人事務所 OFFICE KS 佐竹 一基
ソニー株式会社で材料解析の後、環境全般、特に製品化学物質管理に従事。環境推進部統括部長。退社後(一社)産業環境管理協会に勤務。2018年独立し、同協会の技術顧問となるとともに環境関係のコンサルタントを行う。
A∞Fit-CHEMS製品資料

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