今回から、製品含有化学物質管理の基礎(第1回)で紹介した製品含有化学物質管理ガイド
ライン第4.0版に沿って、製品含有化学物質管理とは何かを見ていきたいと思います。
とはいえ、詳細にやっていくとそれこそ膨大な量になり、著作権上も問題があるでしょう。
今回は、この文書をDLしてある前提で話を進めますので、
重要である部分を抽出して、詳細説明、具体的対応などを記述していきます。
製品含有化学物質管理ガイドライン第4.0版の構成(目次)
では、まずこのガイドラインの構成はどうなっているのでしょうか?
大まかな構成だけ記載します。- 製品含有化学物質管理ガイドラインについて
- 製品含有化学物質管理ガイドラインが参照している規格類
- 用語の定義
- 製品含有化学物質管理の基本的考え方
- 製品含有化学物質管理のための実施項目
- 製品含有化学物質管理ガイドラインに基づく評価及び自己適合宣言
- 附属書A~F
4.製品含有化学物質管理の基本的考え方
5.製品含有化学物質管理のための実施項目
あたりが最も重要そうだなということがわかります。
しかし、最初から見ていくことにします。
1.製品含有化学物質管理ガイドラインについて
この部分には、その下のサブタイトルとして以下の9項目が目次にありますが、
使用されているページ数は3ページです。
1.1 製品含有化学物質管理ガイドラインの目的
1.2 適用範囲
1.3 想定される利用者
1.4 製品含有化学物質管理を行う単位
1.5 製品含有化学物質管理ガイドラインの運用の流れ
1.6 既存のマネジメントシステムへの反映
1.7 JIS Z 7201に対する製品含有化学物質管理ガイドラインの位置づけ
1.8 製品含有化学物質管理ガイドラインに基づく自己適合宣言
1.9 製品含有化学物質管理ガイドラインの改定・廃止
これらの中で、筆者が重要だと思うものは、
1.2 適用範囲において、サプライチェーンの川上・川中・川下の全てにおいて参考にできることと商社なども含むことに言及されている。
1.3 想定される利用者には、社内の製品含有化学物質管理を行う人達だけではなく、
供給者の製品含有化学物質管理を確認するもの(つまり部品や原材料メーカーの製品含有化学物質管理のチェックをする人)も含まれている。
1.6 既存のマネジメントシステムへの反映、では、新たに管理体制を構築することもできるが、ISO 9001やISO 14001などの既存システムを活用して効率的に取り組むのが良いとされている。
という点だと思います。
これらの部分を認識することにより製品含有管理体制とはどういうものなのか、
全体像を把握できます。
次回は、4. 製品含有化学物質管理の基本的考え方 から
2.製品含有化学物質管理ガイドラインが参照している規格類と、3.用語の定義は基本読んでいただければわかることだと思います。
用語の定義などは、通常自社で使用している呼び名が違うことがあるかもしれません。
供給者、顧客や引き渡しなどは、別の言葉で表現している会社も多いと思います。
その場合は、仕方がないので読み替えるしかありません。
ということで、今回は短い記事になってしまいましたが、
次回からは、本ガイドラインのメインの部分に入っていきたいと思います。
製品含有化学物質管理の基礎(第2回)の質問の回答例
前回の記事、製品含有化学物質管理の基礎(第2回)において、2つの質問をしました。以下にその回答例を記載します。
前回記事と合わせてご覧ください。
*1) 回答例:商社は、運送屋ではなく商品を自ら売っている立場であり、その商品の遵法への責任があります。
製造請負で部品などが供給される場合であっても、自社プロセス中での化学物質の汚染等は管理しなければなりません。
*2) 回答例:調達先が適切な化学物質管理を更に上流の調達先に依頼して管理しているか確認する必要があるから(サプライチェーン管理)。顧客の要求は何か把握必要があるから。
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個人事務所 OFFICE KS 佐竹 一基
ソニー株式会社で材料解析の後、環境全般、特に製品化学物質管理に従事。環境推進部統括部長。退社後(一社)産業環境管理協会に勤務。2018年独立し、同協会の技術顧問となるとともに環境関係のコンサルタントを行う。
- カテゴリ:
- 化学物質管理