はじめに
DXやビッグデータなどデータのビジネス活用が進むにつれて、表裏一体であるプライバシー
保護やセキュリティ対策などが課題として挙げられるようになりました。
今回のテーマであるデータガバナンスでは、データ活用におけるデータガバナンスの意義や
重要性をご説明します。
背景
DXが加速している企業内では、あらゆる部門でデータ収集・蓄積・利活用が進みます。
しかし、これらは個別の業務・サービスの実行やシステム化を目的として構築されたプロセス、体制、データであり、業務・サービス横断でデータを活用したいというニーズには適さ
ないことがあります。
また、一部の専門家だけでなく、企業内の各所でデータを扱う人材も増える中、これまで通りの考え方で個別にデータ利活用が進むことは、誤ったデータの取り扱いをしてしまうリスク
を高め、企業の信頼を失う事態にまで発展する恐れもあります。
これらに有効な取り組みとして注目されているのがデータガバナンスです。
企業全体のデータ取り扱いに関する方針、プロセス・ルール、体制を定めることで、
データ利活用の統制を図り、データをコントロール可能な状態にすることにより、
企業のデータ活用推進を支える攻めと守り両面のメリットをもたらします。
【データ活用効果の最大化】
企業全体で、データの所在、ビジネスとデータの関連性が明確になり、
素早く自由度の高いデータ活用が可能になる
【データ活用リスクの最小化】
データ活用に潜むセキュリティ/プライバシー保護のリスクを低減させ、
安心・安全なデータ活用が可能になる
データガバナンスとは
データガバナンスとは、企業がデータ資産を素早く、効果的かつ安全にビジネス活用できる
状態にする全社横断の活動です。具体的には、データの収集、蓄積、活用、設計、運用・保守を継続的に行うデータマネジメントの実行活動に対し、経営・ビジネスの観点から全社横断の方針・プロセス・ルール・体制を定め、これを監視・評価・サポートすることで、データ活用による効果の最大化とリスクの最小化を実現する取り組みです。
データガバナンスには以下の5つの要素が含まれます。
- データ品質管理:
データがデータクレンジング、データ統合、マスターデータ管理などのプロセスを
通じて、正確で一貫性があり、適時更新されていることを保証していること。 - データプライバシーとコンプライアンス:
組織がデータプライバシーに関する法規制(例えば、GDPRやCCPAなど)やその他の規定(例えば、HIPAAやPCI DSSなど)を遵守している状態であること。 - データアーキテクチャ、標準化、統合:
データがデータモデリング、データウェアハウジング、データライフサイクル管理などのプロセスを通じて、組織全体で一貫して管理され、定義されていることを保証ししていること。 - データアクセスとセキュリティ:
データが適切に保護され、権限を持つ人々だけがアクセスできるようにすることを
保証していること。 - データ戦略とデータオーナーシップ:
データガバナンスの全体的な戦略と実行責任を明確にすること。
これらの要素があることで、データガバナンスは、データを企業資源として効果的に管理し、その価値を最大化することができます。
事例
データガバナンスの具体的な活用事例を3つご紹介します。
ヘルスケア業界
医療業界では、患者データの管理が極めて重要です。HIPAAといった規制に準拠しつつ、患者の情報を安全に、かつ効果的に使用するためには、強固なデータガバナンスが必要となります。患者データの標準化、プライバシーとセキュリティの強化、そして適切なアクセス制御は、データガバナンスの一部として実施されます。
金融業界
金融機関では、顧客の個人情報や取引履歴など、多くの重要なデータを扱っています。
これらのデータを保護しつつ、ビジネスに活用するためには、データガバナンスが重要です。データの品質管理や統一したデータモデリング、そして規制へのコンプライアンスなどが実施されます。
製造業
製造業では、生産効率や製品品質の改善のために、自社の設計情報や他社から調達した部材情報、研究開発時のデータなど、様々な種類のデータが収集されています。このようなデータを活用するために、データの標準化、整合性の確保、そして分析作業での利用、といったデータガバナンスの取り組みは不可欠となっています。
最後に
今後、データの利用方法はさらに広がることでしょう。AIや機械学習の発展により、大量の
データを効率的に解析し、新たな価値を生み出すことが可能となります。
しかし、それに伴い、データの管理やプライバシー保護の課題も増えてきます。
これらの課題を解決し、データの可能性を最大限に引き出すためには、データガバナンスの
さらなる発展が求められますが、AIや自動化技術を活用したデータガバナンスの進化が、
これらの課題を解決する鍵となるでしょう。
また、ITの専門家、リーガルチーム、経営陣、データサイエンティストなど、様々なスキルを持つチームで情報を共有し、学び合うことで、より良いデータガバナンスを実現できるようになるでしょう。
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