製品含有化学物質管理の基礎(第4回)
2025/08/25 8:30:00 AJS株式会社
2025/08/25 8:30:00 AJS株式会社

今回は、製品含有化学物質管理ガイドライン第4.0版の「4. 製品含有化学物質管理の基本的考え方」という、文書のメインの部分に入っていきます。
この部分には何が書いてあるのでしょうか?ひとことで言うと、基本的考え方です。
実際には、4. 製品含有化学物質管理の基本的考え方の小項目は以下のようになっています。
4.1 製品含有化学物質管理の必要性
4.2 製品含有化学物質管理の基本
4.3 製品含有化学物質管理のリスクおよび機会への取り組み
4.4 リスクに基づいた製品含有化学物質管理
4.5 成形品への変換工程
4.6 製品化学物質管理の枠組み
4.7 製品化学物質情報の整備
4.8 製品化学物質情報の責任ある情報伝達
4.9 自律的な管理が困難な組織への支援
4.10 企業機密への配慮
これらの内容が、10ページにわたり書かれているのですが、結構図表も使用されています。
皆さんDLされているはずなので、内容は読んでいただければわかります。
ですが、筆者が読んでみてちょっと補足したほうが良いなということを書いていきます(補足していない項目もあります)。
多くの内容は、今後解説する5. 製品含有化学物質管理のための実施項目でも確認できるはずです。
例えば、4.2 製品含有化学物質管理の基本の項目中の表4-1には、
業務の各段階における製品化学物質管理として設計・開発、購買、製造、引き渡しの各段階における製品化学物質管理の内容が書かれています。
当然その通りなのですが、これをそのまま鵜呑みにすると間違いを起こす可能性はあります。製品化学物質管理において、設計・開発、購買、製造、引き渡し以外の組織が関係ないかと
言えば、そんなことは全くありません。
最も、設計・開発、購買、製造、引き渡しに関する組織が製品化学物質管理に組み込まれていない場合は、論外です。
まずは、皆さんの組織で製造の人たちや引き渡し(営業も含む)に関する人たちが、
製品化学物質管理の活動に組み込まれているかどうか確認しましょう。
その他にも、必要な情報が関係する組織(例えば、サポートやメンテナンス関わる組織)に
行きわたっているか確認することが重要です。
4.4 リスクに基づいた製品含有化学物質管理には、
表4-2として、重点的な管理対象として考慮する必要があると考えられる事項の例という
やたら回りくどい書き方をしている表があるのですが、
ここに書かれている項目は非常に重要です。
もちろんすべてではありませんが、通常注意すべき主なリスク要素は、
ほとんど書かれています。
製品含有化学物質管理ガイドライン第4.0版は、この成形品への変換工程や枠組みに
ひどく重きを置いた書きぶりになっているというのが筆者の印象です。
これら項目だけで、図解入りで3ページを消費しています。
化学品から成形品になる際は、色々なことがおきるので判らなくはないのですが、
実際には自社の工程自体は携わっている人が一番知っているので、
ここまで延々と書かなくても良いのではないかと筆者は思います。
ここに書かれている考え方が、chemSHERPAなどで情報伝達をする際の基本となっています
ので、非常に重要です。
製品含有化学物質管理及びサプライチェーンの情報伝達上での大きなボトルネックになって
いるのは、この項目に書いてある、自律的な管理が困難な組織です。
その傾向が強いのが中小企業であることも書かれています。
従って、支援を川下側、川上側が実施することも非常に重要と書かれています。
ただ、情報をくれと言ったり、放り出せばいいというものではありません。
この部分が、筆者は最も重要な要素であろうと考えています。
次回は、「5. 製品含有化学物質管理のための実施項目」になりますが、
今回の記事と同様に、前に書いたように文書はDLされていて皆さん読めるということを
基本に書いていきます。著作権上の問題があるので、実際の文章使えず、どうしても必要な
部分の引用の範囲でやらなければなりません。
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個人事務所 OFFICE KS 佐竹 一基
ソニー株式会社で材料解析の後、環境全般、特に製品化学物質管理に従事。環境推進部統括部長。退社後(一社)産業環境管理協会に勤務。2018年独立し、同協会の技術顧問となるとともに環境関係のコンサルタントを行う。
