今話題のキーワード「ビジネスプロセスインテリジェンス(BPI)」ができること

 2023.06.01  AJS株式会社

企業は様々な企業活動において意思決定するためにKPIを用いてモニタリングする必要があります。
経営レベルでは組織全体の方向性を決定付ける意思決定のためのKPIを用います。マネジメントレベルでは、組織や戦略の枠組みにおいて、中期的や短期的でかつ限定された業務範囲をコントロールするためのKPIを用います。そして、業務レベルでは、個々のお客様との一つの一つの取引、ビジネスプロセス上の個別のタスクを正確に進捗させるためにKPIを用いますが、ルール化された一連のビジネスプロセスに組み込まれて用いることが多くなります。

はじめに

このようなKPIを企業データから捉えるためのITツールとしてBI(ビジネスインテリジェンス)製品、BIツールというものがあります。従来BIは蓄積された過去データを分析して傾向を読み取るというようにビジネスプロセスとは無関係に利用されてきたのですが、以前からあるSOX対応などプロセスに関わる規制対応のためや、ERPやCRMなど多くの社員が利用する業務プロセスが組み込まれたシステム導入が進んでいて、プロセス思考の企業が増加していることから、ビジネスプロセスとの関連でBIを利活用するBPI(Business Process Intelligence、ビジネスプロセスインテリジェンス)という取り組みが始まっています。

BPIとは?

BPIはデータを用いたPDCAを回し企業活動を最適化するための取り組みとなります。前述のBI製品やBIツールによってビジネスプロセスがうまく回っているかどうかを知るというのが最もベーシックな使い方ですが、想定外のパフォーマンスをビジネスプロセスが示した時、その原因を探り、さらにどういう手を打てば良いのかを考え、決定することができるようになります。また、その決定が正しかったのかどうかを改良されたビジネスプロセスのパフォーマンスをモニタリングすることで考察し、これがまた次の意思決定へとつながります。BPM(ビジネスプロセスマネジメント)を確実に組織の根付かせるためには、このようにBPIの取り組みが必然的に必要となります。

BPIとは?

BPIのメリット

BPIはプロセスマイニングやプロセスマッピングなどの従来手法の課題を解消した新たな選択肢で、業務プロセスを網羅的かつタイムリーに把握できる点がメリットとなります。業務プロセスを可視化するための従来手法には弱点がありました。例えば、プロセスマッピングは手動なので抽象的なアウトプットしか得られない。プロセスマイニングは分析できるアプリケーションに制約がある。タスクレコーディングも業務の網羅性が高くはない。それに対して、プロセスインテリジェンスには4つのメリットがあります。

①エンドユーザーが行うすべての活動を記録する「完全性」
②ユーザーの実際の作業をアプリケーション操作のレベルで記録する「正確性」
③画像認識や文字認識などのAIを使ってタイムリーに洞察を得る「迅速性」
④手作業と比べてコストを抑制する「経済性」

BPIのメリット

もう少し具体的な例を上げると、以下のようなことが出来るようになります。
①作業時間のボリュームを発見できる。作業に要した時間、アプリケーションごと、ユーザーごと、端末ごとの作業時間を把握。これらのデータを活用することで、ユーザーごとの業務の偏りや、業務のボトルネックが分かる。
②反復性のバリエーションを発見できる。似た操作を何度も繰り返し実行していることを抽出。こうした操作は自動化できる可能性があり、同じ業務にも関わらず作業手順が違っていることや、作業の途中で分岐が発生していることも分かる。
③把握していなかった作業を発見できる。作業と作業の間を埋める微細な作業も現実には多い。例えば、人手によるメール送信やExcel集計作業などこれまで見過ごしていた作業の実態をあぶり出すことができる。

BPI利用のステップ

BPI利用のステップ

BPIには以下の4つのステップがあります。

①実態を把握する
:レポーティングツールのレベルで何が起きたのかを把握する。

②分析する 
:過去のデータを分析してその傾向を形式知化する。セグメンテーションやクラスタリング、関係性の発見などがそのアウトプットである。過去の失敗パターンの発見、ある商品はどの商品と同時に買われるのか、購買履歴やクレームなどに基づく顧客のセグメンテーションなどがその例である。これらの分析の結果ビジネスルールを見つけ出すことも多い。

③予測する
:過去のデータに基づきある予測モデルを構築し、顧客の特定セグメントやサプライヤがある確率のもと将来どういう振る舞いを起こすのかを示す。将来に対する見通しを与え、予測スコアに基づき事象のランク付けを行う。

④最適化する
:様々な制約条件化でのビジネス課題に対する最適シナリオを見つけるために最適化モデルを構築する。一般に複数の相反する要求事項を満足するための最適解をみつけるために数学的なアプローチを必要とする。

以上の説明からは、高いステージのBIはマネジメントレベルで利用されるように考えられるかもしれませんが、成熟度の高い企業では、業務レベルにおいても利用されます。何でもマネージャに尋ねないと意思決定ができない企業と、現場に裁量権が渡され、現場レベルで顧客や取引先からの複雑な要求にも判断できる企業との差であると考えられます。

BPIが活用されるケース

業務プロセスが可視化されることによって、ある処理がどういった経路をたどって行われたのかが明確になります。経路分析が役立つ例の1つは、業務にとって必要ないと思われていた作業が、実際の業務に組み込まれているケースの発見です。例えば、見積もり額をアプリケーションに登録する際に、直前にExcelや電卓を使っている人が多いことが分かったとします。主たる原因を探ると、規定の値引き率に収まるかどうかを、Excelや電卓で試算していることが判明しました。この場合、見積もり登録画面に試算機能を追加することで、業務が改善されます。このようなケースは、プロセスマイニングなどの従来手法では見つけにくいものでした。

経路分析が役立つもう1つの例は、同一のアプリケーション機能を様々な業務プロセスが利用しているようなケースです。例えば、入庫情報の登録や請求書の登録など複数の場面で、ERPに対して取引先の情報を検索している場合があります。この原因は、入庫登録や請求書登録などにおいて、取引先の情報を調べなければ情報を入力できない仕様になっていること。これは、登録画面の工夫によって改善できます。

最後に

これまで見過ごされていた業務上の課題を発見して、すぐに手を打つこと、そして業務のレベルで意思決定や改善がなされることは企業の成長にとって欠かせないことです。それをBPIという考え方を用いて実行するとより効率的に実施できるようになります。今後はBPIの考え方を用いたIT製品やツールが広く利活用されて成果を出す企業が出てくる時代が来るでしょう。

BPIが活用されるケース


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