プロセスマイニングで業務改革をスムーズに!
業務課題改善のはじめ方

 2024.03.01  AJS株式会社

 

プロセスマイニングで業務改革をスムーズに!業務課題改善のはじめ方 01

プロセスマイニングとは

プロセスマイニングは企業の業務プロセスに対する分析を行い、課題を発見して、
理想の追求を行う手法のことを指します。

従来型のビジネス プロセス管理では、プロセスワークショップやインタビューによって
行われ、理想化されたプロセス像が得られていましたが、プロセスマイニングツールを
利用すると、企業の情報システムで得られる既存のデータを使用し、実際のプロセスを自動的に表示することができます。

プロセスマイニングという言葉は、データマイニングの分野に由来しています。
概念としては、質問に答えたり、問題を解決するための洞察を得たりするためにデータを
「マイニング」するということです。

データマイニングでは、通常、特定された課題や障壁に特化した検索を行います。
プロセスマイニングは、ビッグデータを分析してビジネス上の意思決定をサポートするという点でデータマイニングと似ていますが、プロセスマイニングはイベントログデータに特殊な
アルゴリズムを適用して、単一作業の非効率性を見るのではなく、プロセス全体がどのように実行されているかの傾向、パターン、および詳細を特定します。

プロセスマイニングはデータマイニングの一種ともいえますが、データマイニングにはない
固有の展開も存在します。
多くの場合、プロセスマイニングは下記3つの活動に分類されます。

  • プロセス発見 (process discovery)
    イベントログを入力として,実際の業務プロセスを発見し、プロセスモデルを
    出力します。往々にして想定しているプロセスではない手順で業務が実施されている
    ことがあり、そのイレギュラーな手順の発見も課題として業務改善の対象になります。

  • 適合性評価 (conformance check)
    プロセスモデルとイベントログを入力として両者を比較し、
    ログに記録されている現実とモデルが合致するか両者の適合性を判定します。
    プロセスモデルのいかなるトレースもイベントログと一致しないのであれば、
    適合性がないことになります。

  • 強化 (enhancement)
    プロセスモデルとイベントログを入力として、より適合性の高いモデルを出力する
    技術で、改善ポイントを具体化します。強化をもとに、現在の業務モデルの変更や拡張を行います。例えば、タイムスタンプの観点でみた場合、業務のボトルネックや頻度、
    スループットやサービスレベルを表示するモデルに変更し、拡張することができます。

プロセスとは何か?

プロセスマイニングで業務改革をスムーズに!業務課題改善のはじめ方 02

プロセスとは、定義または認識された「開始」から「終了」までの業務処理が進行する中で
繰り返される一連のアクションやステップのことで、プロセスの目的は、タスクを可能な限り効率的かつ一貫して完了させることができるように、一般的に理解されているフローを確立し、維持することとなります。

以下が一般的なビジネスプロセスの例です。
また、ほぼすべての企業では、これらのプロセスは、ビジネスの基幹となりますが、
企業の日常業務をサポートするプロセスは他にも数多くあります。

  • 営業プロセス
  • 製造プロセス
  • 生産プロセス
  • 流通プロセス
  • 物流プロセス
  • サプライチェーンプロセス
  • カスタマーサポートプロセス
  • 買掛金処理プロセス
  • ITサービス管理プロセス
  • 売掛債権処理プロセス
  • ユーティリティプロセス
  • マスターデータ管理プロセス

なぜプロセスの効率化が重要なのか?

市場調査会社IDCによると、ほとんどの企業ではプロセスが最大限に効率化され実行されて
いないことに気づいていないだけでなく、収益の20~30%がそのために失われている、と
言われています。

あるタスクを完了させるため、すべてのプロセス、プロセス中の各ステップ、および担当者のバリエーションは無限にあるだけでなく、部門が異なると、使用しているシステムも異なり、プロセスの途中で別々の業務を処理しているということがよくあります。

つまり、関係するすべてのステップを一元的に管理する担当者やチームが企業内に存在することはほとんどありません。また、ある領域のパフォーマンスが低下している場合、
それは他のすべての領域に影響を与えていることを意味しますが、どこでどのような影響が
発生しているのかはすぐには判明できないことも多々あります。

プロセスは常に動的なものなので、いかに優れた計画であっても定められた手順から外れる
ことがあり、時間が経つにつれ、逸脱したプロセスがルールになることもあります。
顧客の期待、新しい製品ライン、買収、地域の変化、アウトソーシング、
異なるサプライヤー、競合他社の動き、規則や規制など、すべてがプロセスの実行能力を
フルに発揮できるかどうかに影響します。

業務すべてが効率的に処理されていれば、企業は外部変化要因に容易に適応することができ、社内のイノベーション、品質向上、顧客との関係強化を通じて収益を促進するための時間を
より多く確保することができます。

プロセスマイニングで発見できる課題

プロセスマイニングで業務改革をスムーズに!業務課題改善のはじめ方 03

プロセスマイニングでは具体的にどのような課題を発見できるのでしょうか。
よく取り上げられるのは以下の4つの事象の発見です。

  • 例外処理・ルール違反
    本来行うべき業務手順やルールが守られなくなり、現場の判断で処理を簡略化したり、
    スケジュールの都合や顧客都合に合わせるため例外的な措置をしたりなどの例外処理や
    ルール違反が行われている場合、プロセスマイニングで明らかになることがあります。

  • 業務プロセスのブラックボックス箇所の可視化
    担当者が一人しかいないような業務や、手順書のない業務など、担当者しかわからない、又は個々のやり方になっているような業務プロセスが可視化されます。

  • 繰り返し行われる単純作業や非効率箇所の発見
    定期的に行われる決まった作業や、人力で行っているものの手順が決まっている定形作業などのように、人がやらなくても良い作業、又は外注できる作業、無駄な作業を発見することができます。

  • ボトルネックの発見
    業務の中で常に待ちが発生し、ボトルネックとなっているような箇所を発見することが
    できます。普段、なんとなく感じているような「人」起因のボトルネックや、
    処理フロー起因のボトルネックが具体的な数値根拠をもって明らかになります。

プロセスマイニングが注目されている理由

プロセスマイニングは海外の大手企業で多く導入され、業務の課題解決や生産性向上に
活用されていますが、なぜプロセスマイニングに注目が集まっているのでしょうか。

プロセスマイニングが注目されている理由は以下となります。

  • 現状把握と業務改善の困難さ
    業務改善の最初のプロセスとして現状把握があります。
    しかし現状を把握するには、各担当者へのヒアリングなどにより行われることが多く、
    コストも期間もかかるうえ、正確さに欠けるという課題がありました。
    プロセスマイニングではログから分析を行うため、
    これらの課題を解消することができます。

  • 人材不足
    IT人材の不足は今後も続くことが予想されているため、
    業務効率化はすぐにでも取り組むべき課題のひとつです。
    業務効率化自体も効率的に行う必要があります。

  • DXを推進するうえで課題を持つ企業が多い
    多くの企業がDXに着手し、推進しているものの課題を抱えている企業が多いことが
    理由のひとつとしてあります。DX推進の課題とは、DXの本来の定義である「新しい製品やサービス、価値を創出する」ということに至っておらず、ただの作業効率化にとどまっているという状態が発生しています。

プロセスマイニング導入の負の特徴

ただし。プロセスマイニングには下記のような負の特徴もあります。

  • 即効性のあるものではない
    プロセスマイニングで発見できた課題のうち、中には短期間で効果が見られるものも
    ありますが、殆どの場合、改善や効果を得るには時間がかかるものです。
    そのため、経営や生産性向上に対し、即効性は期待できないでしょう。

  • 中長期的な取り組みが必要
    プロセスマイニングの導入は、ツールの選定に始まり、導入したあとはデータ連携、
    プロセス発見、適合性検査、強化、監視というステップが必要です。
    デメリット1にあるように即効性のあるものではないため、中長期的な取り組みとして
    継続的に行う必要があります。

  • プロセスマイニングツールにかかるコスト
    プロセスマイニングツールは無料のツールも存在しますが、
    有料のものが多く費用も高価です。

  • データ連携にかかる工数、コスト
    プロセスマイニングツールの導入、運用にはデータ定義などの処理に人員を割く必要が
    あります。一度実施して終わりというものではないため、長期的に工数がかかります。

プロセスマイニングの効果を最大限に享受するためには、専門の人員と時間を確保し、
粘り強く改善活動を継続していく必要があるでしょう。


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