現実世界と仮想世界を融合するXR(クロスリアリティ)VR、メタバースとの違いとは

 2023.12.01  AJS株式会社

はじめに

現実世界と仮想世界を融合するXR(クロスリアリティ)VR、メタバースとの違いとは

最近、ゲームやエンターテイメントなどの領域を中心に
「XR(クロスリアリティ)」といった言葉を耳にする機会が増えてきました。
しかし、VR、AR、MRといったよく似た言葉との違いが分かりづらいこともあると思います。

ここでは、XRとは、といった基本的な概念から、
VRやARなど類似した技術の違いをご説明して参ります。

XRとは?

XRはCross Reality(クロスリアリティ)または Extended Reality (エクステンデッドリアリティ) の略称で、現実世界と仮想世界を融合することで、現実にはないものを知覚できる技術で、疑似体験を提供する空間を創り出す画像処理技術の総称です。

XRにはVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)、SR(代替現実)などが含まれ
VRとARを組み合わせたゲームや、ARとMRとの間にあるようなコンテンツなど、
各技術が融合しているサービスも「XR」と呼ぶことができます。

VR(仮想現実)

VR(仮想現実)

「VR(仮想現実)」は、Virtual Reality (バーチャルリアリティ)の略で、
仮想世界を現実世界のように体験できる技術です。

通常、専用のデバイス(ヘッドマウントディスプレイ)を通じて、
CGや360度カメラによって作成された映像を体験するもので、
高い臨場感と没入感が得られることが特徴です。

デバイスとしては「Oculus Quest」や「PlayStation VR」などの
ヘッドマウントディスプレイが有名です。
スマートフォンを差し込むだけで体験できる安価なタイプのVRゴーグルも
多数発売されています。

ゲームなどのエンターテイメント領域で多く活用されているほか、
最近では不動産の内見や、旅行の疑似体験、企業での作業訓練や接客教育など、
日常生活での活用も広がってきています。

AR(拡張現実)

AR(拡張現実)

「AR(拡張現実)」は、Augmented Reality (オーグメンテッドリアリティ)の略で、
現実空間に仮想世界を重ねて投影して見せる技術です。

例えば、現実の街並みにCGのキャラクターが登場する「ポケモン GO」や、
人の顔の映像に動物の耳や鼻などのCGを重ね合わせることのできるカメラアプリ「SNOW」など、スマートフォンのアプリで体験したことがある方も多いのではないでしょうか。

スマートフォンが1台あれば体験できる気軽さもあり、
ゲームのほか、観光地での名所紹介や道案内などにも幅広く活用されています。

最近では、家具を販売する店のアプリで家具を自身の部屋に試し置きしたり、
服やスニーカーを仮想試着したりといった小売りビジネスに活用されることも
増えてきています。

MR(複合現実)

MR(複合現実)

「MR(複合現実)」は、Mixed Reality (ミックスドリアリティ )の略で、
現実空間と仮想世界を融合させて見せる技術です。

AR(拡張現実)との区別が難しいですが、ARは現実空間を主体としているのに対しこちらは、
現実空間と仮想的なものがリアルタイムで影響し合い、新たな空間をつくりだします。

代表的なデバイスとしては、MicrosoftのHoloLens(ホロレンズ)が挙げられます。
デバイスに内蔵されたカメラやセンサーを利用することで、
マウスやキーボードなどの入力機器を使わずにジェスチャーや音声で操作を行ったり、
仮想の物体に触れたりといった操作が可能となります。

ゲームなどのエンターテイメント領域での活用のほか、
今後は特に、建設や医療といったいわゆる”現場仕事”の分野での活用が期待されています。

SR(代替現実)

SR(代替現実)

「SR(代替現実)」は、Substitutional Reality (サブスティチューショナルリアリティ) の略で、過去の映像を現実世界に重ね合わせて見せることで、
過去にあった出来事があたかも今目の前で起こっているかのように見せる技術です。

ヘッドマウントディスプレイを装着して体験します。
視覚や聴覚だけでなく触覚なども組み合わせることで、よりリアルな体験が得られます。
まだ、実用化された事例はほとんどありませんが、
今後、心的外傷後ストレス障害のような心的疾患に対する新しいタイプの
心理療法としての活用が期待されています。

メタバースとの違い

ここ数年で耳にする機会が増えた「メタバース」という言葉。
旧Facebook社の社名変更を契機に知った方も多いのではないでしょうか。

「メタバース」は、インターネット上のバーチャル空間で、ユーザー同士が交流したり、
仕事をしたり、遊んだりと様々なコミュニケーションを楽しめる場所です。
「あつまれどうぶつの森」や「Fortnite(フォートナイト)」といったゲームも広い意味で
メタバースと捉えられる場合があります。

仮想空間を活用するためXRと混同されることもありますが、
あくまでメタバースは「場所」を表します。

XRの機器を使ってメタバースにアクセスすることも可能ですが、
そうしたデバイスがなくても、
例えばPCやスマートフォン、ゲームデバイスなどからアクセスすることも可能です。

また、VRコンテンツが全てメタバースという訳ではなく、
他のユーザーとのコミュニケーションがないVRコンテンツも多く存在します。

XRが注目された背景

XRが注目された背景

なぜXR技術は急速に注目を集めているのでしょうか?

その理由には、デバイスやソフトウェアの進化があります。
ディスプレイが高解像度化することで画質が飛躍的に向上し、
またその処理能力や操作性が大きく向上したことで、
これまでには実現できなかった臨場感を体験できるようになりました。

小型化・軽量化に伴いデバイスを使用しやすくなったことも理由として挙げられます。
デバイスの価格が大きく低下したのも理由のひとつです。

かつては10万円近い価格で販売されていたヘッドマウントディスプレイですが、
現在はデバイス単独で使用できるスタンドアローン型でも5万円以下、
スマホを差し込むタイプであれば数千円と安価になり入手しやすくなりました。
スマホもひとり1台もつことが当たり前となったことで、
スマホで体験できるARの日常での活用シーンも増えました。

通信環境の大幅な進化も欠かせないポイントです。
XRのコンテンツをインターネットで配信する場合、
より高い臨場感を得るためには高解像度の画像データを遅延無く配信する必要があります。

5Gによる高速・大容量通信が可能となったことで、
こうした高い臨場感を体験できるようになりました。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、非対面・非接触での対応が求められる中、
XRを活用したリモートでの業務遂行やイベント開催の需要が高まったことが、
さらなる後押しとなっています。

これからのXR

XRでは、これら以外にも「DR(Diminished Reaity:減損現実)」という
新しい技術も開発されています。

これは「消すAR」とも呼ばれ、
ARとは逆に実際に存在するものを現実世界から消して見えなくする技術です。

XRの市場は、2021年から2026年の予測期間において、
世界規模で見て62%以上の成長率が見込まれています。

XRはゲーム業界では76%以上、映画・娯楽業界で60%以上、小売業界で34%以上、
観光業界で30%以上使用されていると言われ、
今後もあらゆる分野で必要とされることが想定されています。

近い将来において、「5G」による超高速通信網が本格的に普及することで、
XRを使った新たなメディア市場の飛躍的な成長が予想されています。
XR専用ヘッドセットを利用し、立体的でより自然な臨場感あふれる映像を実現する
世界がもうすぐそこまで来ています。


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