chemSHERPA入門講座(第1回)
2026/06/09 17:01:01 AJS株式会社
2026/06/09 17:01:01 AJS株式会社

今回よりchemSHERPAに関する記事を、1年間お送りしていきます。
まず最初に、chemSHERPAとは、どういうものかという解説から始めます。
製品含有化学物質管理が本格的に日本の産業界で始まったのは、2000年代です。
2001年に起きた事故に伴い大きく動き出しました。
この件については、このBlogの製品含有化学物質管理の基礎(第1回)に書かれています。
その後、2003年にELV指令による化学物質規制、2006年にはRoHS指令、2007年にはREACH
規則というように欧州の規制は、日本の製造業に大きく製品化学物質に関わる規制が影響を
及ぼすようになりました。
これに対応して、自動車業界はIMDSという全世界共通の仕組みを作って対応しましたが、
その他の産業界は結構バラバラだったのです。
主に電気電子製品に関する規制に対応しようとするJGPSSI(グリーン調達調査共通化協議会)やREACH規則対応を考えたJAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)が少なくとも国内の標準化を目指そうとしましたが、なかなかうまくいかない状態でした。
個社のフォーマットや分析データの要求、不使用証明書(これは今も多く存在します)など
いくつのも書類で情報伝達が行われることとなり、SC(サプライチェーン)上では多くの工数が消費されるということになっていました。
これでは、工数的にたまらない、競争力もなくなってしまうということで、何とか統一した
情報伝達手段ができないかということで、業界と経済産業省が立ち上げたのが、「化学物質規制と我が国企業のアジア展開に関する研究会」というもので、この中で新たな情報伝達スキーム(ようはchemSHERPA)の要件などが議論され、出来上がったのがchemSHERPAです。
このようにして2015年にchemSHERPAのVer.1.0がリリースされました。
つまり、chemSHERPAは、化学物質の情報をSC上で伝達するスキーム(一定の様式)です。
結局、出来上がったchemSHERPAは、JAMPによる成分情報の要素とJGPSSIによる遵法判断の要素を両方持つスキームになりました。どちらかに統一されるということはなかったのです。
chemSHERPAには利用ルール(chemSHERPA製品含有化学物質情報利用ルール(Ver.1.7))があります。
ようは、このルールを守って情報伝達してねと言うものです。そうしないと会社によって情報伝達に要求するレベルが異なってしまって収拾がつかなくなるからです。
特別とんでもないルールが書かれているわけではありません。
chemSHERPAは、情報伝達すべき化学物質のリストを持っています。それは、日米欧の化学
物質に関する規制や業界標準を元に作られています。ですので、全ての化学物質を情報伝達の対象にしているわけではありません。
このリストは、普通の人は見ることができませんが、次に述べる情報伝達支援ツールに
組み込まれているので、困ることはありません。システムなどを作る人は別ですが。
chemSHERPAは、情報伝達するためのフォーマットが決まっています。
それは、IEC 62474という電気電子系の国際的な標準化団体が決めたフォーマットに準拠しています。chemSHERPAには、そのフォーマットにあったデータを作成するための支援ツールが存在します。
一般にchemSHERPAと言う場合は、このchemSHERPAデータ作成支援ツールと
それで作成されたデータを言っている場合も多いようです。
現在まで、chemSHERPAは大きなVer.改定を2度行っています。
更に、規制内容の変更を反映させるために半年に一度マイナーVer. upが行われます。
この記事を書いている時点での最新版は、chemSHERPA V2R1.03.0となっています。
自社の化学物質管理のルールを持っているというのは、chemSHERPAの構成要素そのものではありません。しかし、利用ルールの中の必須要件として書かれています。
つまり、chemSHERPAで作成されるデータは、会社の化学物質管理のルールに基づいている
ものでなければならず、会社の承認者の承認を持って出されるものだと認識されるということです。
以上の4つがchemSHERPAの要件になります。
次回からは、実際にchemSHERPAデータ作成支援ツールなどの画面も使用して解説していく
予定です。
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個人事務所 OFFICE KS 佐竹 一基
ソニー株式会社で材料解析の後、環境全般、特に製品化学物質管理に従事。環境推進部統括部長。退社後(一社)産業環境管理協会に勤務。2018年独立し、同協会の技術顧問となるとともに環境関係のコンサルタントを行う。
