フォロワーシップとは?
リーダーシップとの違いや行動例、育成のポイントを解説

 2026.02.25  AJS株式会社

フォロワーシップとは?リーダーシップとの違いや行動例、育成のポイントを解説

近年、組織マネジメントの分野で注目されているキーワードの一つ、「フォロワーシップ」。

リーダーシップと対になる概念として語られることが多いフォロワーシップですが、『部下として従う姿勢』と誤解されているケースも少なくありません。

しかし、実際の「フォロワーシップ」とは、単なる受動的な行動ではなく、リーダーを支え、組織全体の成果を最大化するために主体的に行動する力を指します。

VUCA時代と呼ばれる先行き不透明な環境においては、リーダーの判断や指示だけで組織を動かすことが難しくなっており、フォロワーの役割がこれまで以上に重要になっています。

そこで、こちらの記事では、フォロワーシップの基本的な意味やリーダーシップとの違い、フォロワーシップの育成のポイントなどを解説します。

組織力を高めたい人事担当者やマネジメント層の方は、ぜひ参考にしてください。

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フォロワーシップとは?

フォロワーシップとは?

「フォロワーシップ」とは、組織やチームの目標達成に向けて、主体的・自律的にリーダーやメンバーを支え、行動する姿勢や能力を指します。

リーダーからの指示を待って動くのではなく、自ら課題を見つけ、必要に応じて行動や提案を行い、周囲に働きかけるのが特徴です。

たとえば、フォロワーシップを発揮するメンバーは、自分の役割にとらわれず、チーム全体を見渡しながらより良い方向へと進むように後押しします。

また、リーダーの方針や意思決定に対しても、改善の余地があれば客観的な視点で意見や代替案を提示したり、他のメンバーが困っているときは前向きな声かけでチームの士気を高めたりします。

ここで注意しておきたいのが、フォロワーシップは、部下やメンバーだけに求められるものではないという点です。
チームの成果を最大化するために、リーダーを含むすべてのメンバーに求められます。

フォロワーシップが根付いた組織力の高いチームでは、意見や提案が自然に生まれ、メンバー一人ひとりが「自分ごと」として主体的に動くという特徴があります。

リーダーシップとの違いについて

リーダーシップとは、組織やチームの方向性を示し、人を導く力のことです。
目標を設定し、意思決定を行いながら、メンバーをまとめて成果へと導く、いわば『舵取り』の役割を担います。

一方、フォロワーシップは、リーダーの意図や方針を理解した上で、意思決定や行動を支え、主体的に貢献する力を指します。

単に指示に従うのではなく、自ら考え、具体的な行動計画に落とし込み、必要に応じて建設的な意見や改善案を提示する点が特徴です。

リーダーシップとフォロワーシップは対立する概念ではなく、方向性を示すリーダーシップと、それを現場で形にするフォロワーシップは、互いを補完し合う関係にあります。

どちらか一方だけが強くても、組織の成果は最大化されません。

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フォロワーシップが注目される背景

組織を取り巻く環境が大きく変化する中で、リーダーシップだけに依存したマネジメントは限界を迎えつつあります。

ここからは、フォロワーシップが注目されるようになった背景についてお伝えします。

VUCA時代におけるトップダウン組織の限界

市場環境や顧客ニーズの変化が激しく、将来の予測が難しい「VUCA時代」において、リーダーが判断を下し、メンバーが実行するトップダウン型のマネジメントには限界があります。

また、リーダーの視点や経験だけで下した判断が、必ずしも多様化する社会や顧客のニーズに適合するとは限りません。

さらに、リーダー自身もプレイヤーとしての業務を担いながらチームを率いるケースが多く、負担が増大することで、本来発揮すべきリーダーシップを十分に発揮できなくなることがあります。

その結果、状況に応じた判断やメンバーへの適切な支援が行えなくなり、組織としての意思決定や対応のスピードが低下してしまう恐れもあります。

こうした背景から、現場に近い立場のメンバーが自律的に考え、行動し、リーダーを主体的に支えるフォロワーシップが重要視されるようになりました。

リーダーだけに意思決定を委ねるのではなく、チーム全体で状況を捉え、支え合いながら動く組織こそが、変化の激しい時代において成果を上げ続けられると考えられています。

働き方の多様化による“自律型人材”の重要性増加

リモートワークやプロジェクト型業務の広がりにより、以前に比べて組織のフラット化が進み、役職や上下関係に依存しない働き方が増えています。

また、物理的にも心理的にも距離が生まれる中で、従来のように常に上司の指示を仰ぐだけの働き方は難しくなりつつあります。

このような環境において、リーダーからの指示を待つだけでは成果を出しにくく、メンバー一人ひとりが自ら考え、行動し、チーム全体の成果を意識する姿勢(フォロワーシップ)が注目されるようになりました。

働き方が多様化する中で、変化に強い組織をつくるためにも、主体性と協働の意識を持って組織に貢献できる“自律型人材”の重要性はますます高まっています。

フォロワーシップとリーダーシップの関係性

フォロワーシップとリーダーシップは互いに補完関係にあり、どちらか一方が優れていればよいというものではなく、同時に機能し相互に影響しあうことで組織の中で質の高いパフォーマンスにつながります。

こちらでは、フォロワーシップとリーダーシップの関係性について解説します。

フォロワーシップがリーダーシップを強化する

リーダーが目標や方向性を示し、それを実際の成果につなげるためには、メンバー一人ひとりのフォロワーシップが不可欠です。

どれだけ優れたビジョンや方針があっても、現場でそれを理解し、行動に移すメンバーがいなければ、成果には結びつきません。

メンバーが主体的に考え、行動し、必要に応じて意見を述べることで、リーダーの意思決定はより精度の高いものになります。

また、メンバーからの建設的な意見や気づきは、リーダーの視野を広げ、判断の質を高める重要な材料にもなります。

メンバー一人ひとりに強いフォロワーシップがあることで、リーダーシップは有効になります。

リーダーがフォロワーシップを引き出す

フォロワーシップは、個人の資質だけで自然に発揮されるものではありません。

リーダーが明確な方向性を示し、周囲からの意見を尊重する姿勢を持つことで、メンバーは安心して主体的に行動できるようになります。

また、リーダーがすべてを決めて指示を出すのではなく、状況に応じてメンバーに裁量や責任を委ねることで、チーム全体の自律性も高まっていきます。

適切なリーダーシップがあってこそ、フォロワーシップは最大限に引き出され、リーダーシップとフォロワーシップが相互に機能することで、組織の成果はより大きなものとなるのです。

フォロワーシップの5つのタイプ

フォロワーシップ研究の中で広く知られているのが、ロバート・E・ケリー教授によるフォロワーシップ理論です。

ケリー教授は、フォロワーシップを「批判的思考」と「積極的関与」という2つの軸で捉え、5つのフォロワータイプに分類しました。

ここでいう「批判的思考」とは、リーダーの決定や指示をそのまま受け入れるのではなく、自分自身で深く考え、必要に応じて建設的な意見や提言を行う姿勢を指します。

一方、「積極的関与」とは、リーダーの方針や役割を前向きに捉え、目標達成に向けて主体的に行動し、実現に向けて協力する姿勢のことです。

この2つの軸の組み合わせによって、フォロワーは以下のタイプに分けられます。

こちらでは、それぞれのフォロワーの特徴について見ていきましょう。

模範的フォロワー

模範的フォロワーは、批判的思考力と積極的関与の両方が高いタイプです。
リーダーの方針や意図を理解したうえで、自ら考えて行動し、必要に応じて建設的な意見や提言を行います。

模範的フォロワータイプには、裁量と責任を与え、意思決定のプロセスにも積極的に関与させることが有効です。
右腕として活躍できる存在であり、次世代のリーダー候補として育成していくと良いでしょう。

孤立型フォロワー

孤立型フォロワーは、批判的思考力は高いものの、組織への貢献意欲が低いタイプです。
物事を冷静に分析し、問題点やリスクを見抜く力はありますが、自ら前に出て行動することは少ない傾向があります。

このタイプの背景には、過去の不満や失敗体験が影響しているケースも少なくありません。
意見を尊重しつつ、小さな成功体験から信頼関係を再構築していくことが重要です。

順応型フォロワー

順応型フォロワーは、リーダーへの依存度が高く、自分で思考・判断することが少ないタイプです。指示には従うものの、責任をリーダーに委ねがちで、主体性が発揮されにくい傾向があります。

しかし、順応型フォロワーの特性として行動力が高いため、リーダーの意図・方針を丁寧に共有し、『なぜそうするのか』を考える機会を与えることが有効です。
また、意見を求める質問を投げかけることで、自律性を育てやすくなるでしょう。

消極的フォロワー

消極的フォロワーは、批判的思考力・積極的関与の両方が低いタイプです。
リーダーの指示を待つことが多く、自ら前に出て行動することはほとんどありません。

このタイプの場合、役割や期待が曖昧になっている可能性が高いと考えられます。
目標を明確にし、具体的な行動レベルでのサポートや伴走を行うのが効果的です。

実務型フォロワー

実務型フォロワーは、指示された業務は真面目にこなす一方で、自分の担当業務以外には積極的に関与しないタイプです。

状況や環境によって、関与の度合いが変わりやすい特徴があるので、主体性を引き出すためにも、安心して意見を言える環境づくりが欠かせません。
あわせて、評価基準を明確にすることで、自発的な行動につながりやすくなります。

フォロワーシップの具体的な行動例

フォロワーシップの具体的な行動例

ここまでフォロワーシップの概念をお伝えしてきましたが、実際、どのような行動がフォロワーシップなのでしょうか。

こちらでは、「“こういった行動”がフォロワーシップである」と具体的にイメージできるよう、フォロワーシップの行動例をご紹介します。

フォロワーシップを育てたいリーダーはもちろん、「より良いチームにしたい」と考えるメンバーにとっても参考になるでしょう。

リーダーの意図を理解し、主体的に動く

フォロワーシップの具体的な行動の一つは、リーダーの指示や判断をそのまま実行するのではなく、その背景にある目的や意図・方針を理解したうえで動くことです。

意図を理解していれば、状況が変化した場合でも指示を待たずに柔軟な対応が可能になります。

たとえば、自分の担当外の業務であっても必要だと判断すれば積極的に引き受けたり、変化や問題に気づいた際には次の行動を自ら考えて実行したりします。

また、リーダーが多忙な場面では、先回りしてサポートに入ることもフォロワーシップの特徴です。

『何をやるか』だけでなく『なぜやるのか』を考え、そして、『どう進めるか』を整理し、具体的な業務に落とし込む姿勢が、主体性のあるフォロワーシップの行動といえます。

建設的に意見を伝える

建設的に意見を伝えるとは、リーダーからの指示や方針に違和感や疑問を感じた場合でも、感情的にならず、具体的な根拠を示しながら論理的に意見を発言できる行動です。

問題点の指摘だけで終わらせず、より良い結果につなげる姿勢が求められます。

具体的には、反対意見を述べる際は代替案や改善案をセットで提示したり、リーダーの立場や考えを踏まえた上で、自分の視点を補足として伝えたりします。

フォロワーシップは、否定や対立ではなく、「より良くするための提案」として、決定前に建設的な意見を出す行為を指します。

チーム全体の成果を考えた行動を取る

フォロワーシップには、自分の担当業務の範囲にとらわれず、チームや組織全体の成果を意識して動くというのも具体例に挙げられます。

具体的には、自分の業務だけでなく、他のメンバーの進捗状況や困りごとにも目を向け、必要に応じて声をかけてサポートに入ります。

また、情報やノウハウは個人で抱え込まず、チーム内で積極的に共有するのも特徴の一つです。

役割や立場を越えて、『チームにとって今何が必要なのか』を考え、行動を選択することが、フォロワーシップといえます。

フォロワーシップの育成に大切な2つのポイント

フォロワーシップは、個人任せにして自然に身につくものではありません。
ここからは、メンバーのフォロワーシップ育成に大切な2つのポイントをご紹介します。

行動を促す環境=心理的安全性の確保

メンバー一人ひとりのフォロワーシップを育成する上で欠かせないのが、主体的に動いたり、意見を出したりしても不利益にならない環境を整えることです。

こうした環境を「心理的安全性」と呼び、『意見を言っても否定されない』『失敗しても責められない』とメンバーが感じられる状態を意味します。

『意見を言うと評価が下がるかもしれない』『意見に反対すると煙たがられるかもしれない』といった感情が生まれる組織では、メンバーは積極的に関与できません。

メンバーのフォロワーシップを引き出し、そして育てていくためには、誰もが自由に発言し、質問できる雰囲気づくりが求められます。

評価やフィードバックも忘れずに

メンバーのフォロワーシップは、“発揮されて終わり”ではなく、評価やフィードバックを通じて定着していくものです。

主体的な行動や建設的な意見が見られても、それ自体が評価につながらなければ、次第にフォロワーシップの行動は減ってしまいます。

フォロワーシップを育てるためは、主体的に動いた点やチーム全体を意識した行動を具体的に言語化して伝えたり、意見を出してくれた行為そのものを認めることが効果的です。

日常の声かけや1on1ミーティングなどで継続的にコミュニケーションを取り、フィードバックを行うことで、メンバーのフォロワーシップの育成につながります。

フォロワーシップを“1on1ミーティング”で育てる。
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メンバーのフォロワーシップを育成し、チームに定着させていくためには、心理的安全性の確保とあわせて、日常的なフィードバックや対話の機会が欠かせません。

主体的な行動や建設的な意見があっても、フォロワーシップがきちんと評価され、リーダーや他メンバーから認められなければ、行動は途絶えてしまいます。

フォロワーシップを育てるための有効な手段として挙げられるのが、リーダー(上司)との定期的な1on1ミーティングです。

1on1ミーティングの場を通じて、フォロワーシップの行動を具体的に言語化して評価したり、意見を出してくれた姿勢を認めることで、メンバーは安心して主体的に行動できます。

そこでおすすめするのが、慣れ親しんだExcelの評価シートをそのままシステム化できる人事評価システム「P-TH/P-TH+(ピース/ピースプラス)」。

P-TH/P-TH+(ピース/ピースプラス)には、上司と部下の対話を定着させる『1on1機能』が標準搭載されています。

『1on1機能』では、面談の記録や議題の事前共有、次回までのアクション整理(宿題事項)をすべてシステム上で一元管理できるため、従業員一人ひとりの行動の変化や成長を可視化しやすくなり、フォロワーシップの育成にも役立ちます。

フォロワーシップを発揮する部下を可視化し、正しく評価して伸ばすことは、より強く、柔軟なチームを作り上げる近道となるでしょう。

フォロワーシップが根付く組織づくりの第一歩として、定期的なコミュニケーションとフィードバックを支える『1on1機能』を備えた「P-TH/P-TH+(ピース/ピースプラス)」の活用をぜひご検討ください。

まとめ

フォロワーシップとは、チームや組織の成果を最大化させるために、主体的かつ自律的に考えて行動し、リーダーや他メンバーに働きかける行動です。

VUCA時代となり、働き方の多様化が進む中で、リーダーシップだけに依存したマネジメントには限界があり、フォロワー一人ひとりの関与が組織の成長を左右するようになっています。

強い組織をつくるためには、リーダーとフォロワーが補完し合う関係性を築き、具体的な行動としてフォロワーシップを発揮できる環境を整えることが重要です。

人事担当者やリーダーはもちろん、メンバー一人ひとりがフォロワーシップを自分ごととして捉え、日々の行動に落とし込んでいくことが、これからの組織づくりの鍵となるでしょう。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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