カスタマーハラスメントとは?
具体的なカスハラの事例と企業が取るべき対策について

 2026.04.23  AJS株式会社

カスタマーハラスメントとは?具体的なカスハラの事例と企業が取るべき対策について

近年、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」という言葉を耳にする機会が増えています。

顧客からの理不尽な要求や暴言、長時間にわたるクレーム対応などにより、従業員が大きな精神的負担を抱えるケースが社会問題として取り上げられるほどです。

接客業やコールセンターをはじめ、多くの企業でカスタマーハラスメントによる離職やメンタル不調が増えており、企業として適切な対応を求められる場面も少なくありません。

しかし、

「どこまでが正当なクレームで、どこからがカスハラなのか」
「企業はカスタマーハラスメントにどのように対応すべきなのか」

と悩む企業の担当者も多いのではないでしょうか。

そこで、こちらの記事では、カスタマーハラスメントの基本的な意味や具体的なカスハラ事例を紹介するとともに、企業が取るべき対策についてわかりやすく解説します。

カスハラへの理解を深め、従業員を守るための適切な対応を考える参考にしてください。

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カスタマーハラスメント(カスハラ)とは

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客や取引先からの暴言、暴力、不当な要求などの著しい迷惑行為によって、従業員の働く環境が損なわれることを指します。

顧客からの苦情や意見は、商品やサービスの改善につながる重要な声である一方、その内容や方法が社会通念の範囲を超える場合、カスタマーハラスメントに該当する可能性があります。

カスタマーハラスメントは、正当な苦情とは異なり、社会通念上不相当な手段によって要求を行うことや、契約内容を逸脱した過剰な要求、威圧的・攻撃的な言動などが特徴です。

近年、カスタマーハラスメントは、社会問題として広く認識されるようになりました。

背景には、接客業やコールセンターなどの現場で理不尽な要求や過度なクレームが増加し、従業員の精神的負担や離職につながるケースが相次いでいることがあります。

こうした状況を受け、2025年6月には「労働施策総合推進法」が改正され、企業に対してカスタマーハラスメント防止のための対策を講じることが義務付けられました。

これにより企業は、従業員を守るための体制整備や相談窓口の設置、社内方針の周知など、具体的な取り組みを進めることが求められています。

カスタマーハラスメントは、従業員に過度なストレスを与えるだけでなく、企業の生産性低下や人材流出、ブランドイメージの悪化など、企業経営にも大きな影響を及ぼすリスクを抱えています。

そのため、企業はカスタマーハラスメントを正しく理解し、従業員が安心して働ける環境を整備することが重要です。

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具体的なカスハラの事例

カスタマーハラスメント(カスハラ)にはさまざまな形態があり、身体的な攻撃から精神的なプレッシャー、不当な要求まで幅広く存在します。

ここでは、代表的なカスハラの事例をご紹介します。

身体的な攻撃

従業員に対して直接的な暴力行為を行うケースです。
たとえば、殴る、蹴る、叩くといった暴行はもちろん、物を投げつける、店内の備品を壊すなどの行為も身体的な攻撃に該当します。
こうした行為は、従業員の安全を脅かす重大な問題であり、場合によっては刑事事件につながる可能性もあります。

精神的な攻撃

従業員に対して人格を否定する発言や脅迫、威圧的な言動を繰り返す行為もカスハラの一例です。
たとえば、「使えない人間だ」「辞めさせろ」などの人格否定や、「訴えてやる」といった脅しの言葉を用いるケースが挙げられます。
また、大声で罵倒したり、長時間にわたって従業員を叱責したりする行為も、精神的な攻撃として問題視されています。

性的な言動

従業員に対して不適切な発言や接触を行うなど、性的な言動もカスハラに該当します。
たとえば、容姿に関する不快な発言を繰り返したり、個人的な関係を強要したりする行為は、従業員に強い精神的苦痛を与える可能性があります。

サービスの過剰要求

本来の契約内容やサービス範囲を超えて、過剰な対応を求める行為もカスハラの一つです。
たとえば、正当な理由がないにもかかわらず、無償での対応を要求したり、過度な値引きや特別対応を執拗に求めたりするケースが挙げられます。

不当な損害賠償の要求

実際の被害や責任の範囲を超えて、過剰な損害賠償を求めるケースもあります。
些細なミスを理由に高額な賠償金を請求するなどの行為は、不当な要求としてカスハラに該当する可能性があります。

実際に企業が受けたカスハラの例

企業の現場では、次のようなカスタマーハラスメントが実際に発生しています。

  • 「物を壊す」「殺す」などの発言による脅し

  • 「土下座しろ」といった謝罪の強要

  • 店舗や窓口で大声で罵倒する行為

  • SNSで企業や従業員の名誉を毀損する投稿

  • 長時間にわたる電話や対応の強要

  • 執拗に個人的な謝罪を求める行為

また、カスハラは『個人客から企業(または従業員)』に対してだけでなく、『企業間』でも発生することがあります。

たとえば、取引先企業に対して無償対応を強要したり、取引停止をほのめかして過剰な要求を行ったりするケースです。

企業が取るべき4つのカスハラ対策

企業が取るべき4つのカスハラ対策

こちらでは、カスタマーハラスメントに対して企業が取るべき4つの対策についてご紹介します。

マニュアルを作成して周知する

企業がカスタマーハラスメントに適切に対応するために、まずは「社内での対応方針を明確にすること」が大切です。

企業として、『カスハラには毅然とした態度で対応し、従業員を保護する』という姿勢を示すことで、現場の従業員が安心して業務に取り組める環境を提供することができます。

そのために、カスタマーハラスメントへの対応方法をまとめた社内マニュアルを作成し、従業員へ周知することが必要です。

マニュアルには、カスハラの定義や具体的な事例のほか、発生時の対応フロー、社内の相談窓口について、法的対応が必要となる場合の判断基準などを整理して記載します。

カスタマーハラスメントに対する社内マニュアルを整備しておくことで、現場の従業員が一人で対応を抱え込むことを防ぎ、組織として一貫した対応を取ることが可能になります。

また、従業員がカスハラを正しく理解することで、適切な初期対応につながり、トラブルの深刻化を防ぐ効果も期待できます。

相談窓口を設置する

カスハラ対策として次に重要なのが、従業員が安心して相談できる環境を整えることです。

カスハラを受けた従業員が一人で問題を抱え込まないよう、社内でカスハラ相談の対応者を決めておくとともに、専用の相談窓口を設置しておくことが求められます。

相談窓口を設けることで、従業員はトラブル発生時に速やかに状況を報告でき、企業側も早期に問題を把握して適切な対応を検討することができます。

さらに、カスハラを受けた従業員に対しては、精神的な負担を軽減するためのメンタルヘルスケアや、安全確保のための配慮を行う必要があります。

たとえば、対応業務の一時的な変更やカウンセリングの案内など、状況に応じたサポートを行うことで、従業員が安心して働ける職場環境を維持することにつながります。

カスハラ対策の体制を整える

カスタマーハラスメントへの対応は、現場の従業員一人に任せるのではなく、責任者や管理職を含めた複数人で組織的に対応する体制を整えることも対策の一つです。

カスハラ対応を個人任せにしてしまうと、従業員への精神的ストレスが大きくなるだけでなく、対応が長引いたり、トラブルが深刻化したりする可能性もあります。

そのため、一定の段階で責任者へ引き継ぐルールを設けるなど、組織として対応する体制を整えることがカスハラ被害の拡大防止につながります。

また、トラブルの記録や証拠を残すために、録音や録画ができる環境整備も有効策の一つです。

電話対応時の録音や、防犯カメラの設置などにより、状況を客観的に記録しておくことで、後の対応や法的措置を検討する際にも役立ちます。

教育研修を実施する

カスタマーハラスメント対策のために、従業員に対して教育研修を行うことも不可欠です。

顧客や取引先からの迷惑行為や悪質なクレームに対して、どのように対応すべきかをあらかじめ学んでおくことで、現場での混乱を防ぐことができます。

研修では、実際に企業で発生したトラブル事例を紹介しながら、カスタマーハラスメントと正当なクレームの違いを理解してもらうことが大切です。

また、顧客対応における基本姿勢や、対応が困難な場合にどのタイミングで上司や責任者へ引き継ぐべきかといったエスカレーションの基準についても、具体的に説明します。

カスハラの教育研修を通じて、従業員がカスハラの判断基準や適切な対応方法を理解することで、トラブル発生時にも冷静に対応できるようになります。

カスハラ対策にもつながる人事評価システム「P-TH/P-TH+」の1on1機能

カスタマーハラスメント対策では、『問題が発生してから対応する』だけでなく、『未然に防ぐ』ための体制づくりも欠かせません。

日頃から従業員の状況や現場の声を把握し、不安やストレスの兆候を早期に察知することで、トラブルの深刻化を防ぐことにつながります。

そこでおすすめするのが、慣れ親しんだExcelの評価シートをそのままシステム化できる人事評価システム「P-TH/P-TH+(ピース/ピースプラス)」。

P-TH/P-TH+(ピース/ピースプラス)には、上司と部下の定期的なコミュニケーションとフィードバックを定着させる『1on1機能』が標準搭載されています。

『1on1機能』を活用すれば、上司と従業員が定期的にコミュニケーションを取る機会を設けることができ、日常業務の中で感じている不安や現場の課題を早期に把握することが可能になります。

また、P-TH/P-TH+(ピース/ピースプラス)は、個人PCや社用メールアドレスを持たない従業員でも利用できる点も特徴です。

こうした仕組みを導入することで、カスタマーハラスメントのリスクを早期に察知し、従業員が安心して働ける職場環境づくりにつなげることができるでしょう。

まとめ

カスタマーハラスメント(カスハラ)は、顧客や取引先からの暴言や不当な要求、威圧的な言動などによって従業員の働く環境が損なわれる行為です。

近年、重要な社会問題の一つとなっており、企業にもカスハラ防止のための対策を講じることが求められるようになりました。

計画的にカスハラ対策を進めることで、従業員が一人で対応を抱え込まない環境を整え、トラブルの深刻化を防ぎ、安心して働ける職場づくりにつながります。

また、カスハラ対策は、問題が発生してから対応するだけでなく、日頃から従業員の声を把握し、ストレスや不安の兆候を早期に察知するなど、未然に防ぐ取り組みも大切です。

企業として適切な体制を整備し、従業員を守る姿勢を明確にすることで、健全な職場環境の維持と企業の信頼性向上につながるでしょう。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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