上司と部下の関係性は、生産性やモチベーション、離職率などに直結します。そのため、普段から適切なコミュニケーションを取り、良好な状態を維持することが欠かせません。本記事では、上司と部下のあるべき関係性や、良好な関係性を築いている組織の特徴、上司から部下への接し方で注意すべき点などについて解説します。
上司と部下の関係性|あるべき姿とは?
企業・組織の特性によっても変わりますが、一般的に上司と部下の関係性は、「相互理解・信頼関係の構築ができている状態」が望ましいとされています。お互いを尊重し、心理的安全性を確保しながら意見を言い合える関係が、いわゆる「風通しのよい」職場環境を生み出します。
このような良好な関係性を築くためには、普段から適切なコミュニケーションを取ることが欠かせません。
上司部下の関係性が良い組織|3つの特徴
上司と部下が良好な人間関係を築いている組織は、一般的に次のような特徴があります。
業務効率・生産性が高い
普段から「報告」「連絡」「相談」が適切に上司部下間で行われていることが特徴として挙げられます。このような組織では、より現場に即したマネジメントが可能になるので、普段から業務効率・生産性も高くなります。予期せぬトラブルが発生した場合でも、密な連携を取ることによって、速やかに事態を収束させられます。
モチベーション・定着率が高い
上司と部下で円滑なコミュニケーションが取れている組織は、ストレスレベルが低く本来の業務に集中しやすいので、おのずとモチベーションも高まります。
それとは反対に、上司と部下の関係性を含む人間関係が悪いと、モチベーションが低下するだけでなく、離職率にも負の影響を与えます。例えば、2023年に厚労省が発表した「令和4年 雇用動向調査結果の概況」によると、転職入職者が前職を辞めた理由について、「職場の人間関係が好ましくなかった」という回答が男女ともに「給料等収入が少なかった」という回答を上回っています。このことからも、給与より人間関係を重視する人が多い傾向にあるとわかります。
参照元:厚生労働省|令和4年 雇用動向調査結果の概況(P15)
風通しがよく「組織レジリエンス」が高い
上司部下間のコミュニケーションが円滑で人間関係のよい組織では、業務上のナレッジをはじめ、失敗やトラブルなども、貴重な財産として共有・蓄積し活用していることが珍しくありません。そのため、いわゆる「組織レジリエンス(組織的レジリエンス)」も高い傾向にあります。
組織レジリエンスとは、組織内の結びつきを土台とした適切なリスクマネジメントによってトラブルを予測し、柔軟かつ速やかに対応する能力のことです。組織レジリエンスが高い組織は、予期せぬ事態においても強さを発揮します。変化・変革に強いという特徴もあります。
上司から部下へのコミュニケーションで注意すべきこと
もしも上司と部下の関係性があまり良好ではないと判断される場合は、次に挙げることを実践しましょう。
指導力を身に付ける
まずは上司のほうから、部下への適切な関わり方、指導の仕方を身につけることが大切です。
不適切な関わり方の筆頭として挙げられるのが、部下がミスをした場合などに感情的に「怒る」だけのケースです。ほとんどの場合、叱責したり怒鳴ったりすることは、強い負の感情を招くだけで何の解決にもなりません。本人だけでなく、その光景が目に入ったほかの従業員に対するパワハラとなる恐れもあります。怒鳴る・叱責するといった指導が常態化している組織は、今は問題がないように見えても長期的に見ると確実に悪い影響が出てくることになるので、速やかに改善することが大切です。
また、それとは反対に、パワハラと指摘されることを過度に恐れ、本来必要である指導を行えていない上司も存在します。この場合にも、部下の育成に影響を及ぼします。
いずれも、上司自身が自覚を持ち、適切な指導ができるように、マネジメントに関する研修を実践するなどの取り組みを行いましょう。
アンコンシャス・バイアスに気を付ける
「アンコンシャス・バイアス」とは、無意識の偏見に基づいたものの見方を指します。アンコンシャス・バイアスは誰にでもあるため、常に自分の考え方・ものの見方を疑い、とらわれないよう気をつけることが大切です。自分でも気が付かないうちに、不適切な評価をしてしまったり、よかれと思って取った行動が、かえって相手に不利益を押しつけてしまったりすることになりかねません。
- 独身の男性だから、残業が多くても問題ないだろう
- 子どもがいる女性だから、早く退社できるよう簡単な仕事だけを任せよう
- 外国人だから、顧客と直に接しない配置にしよう
- Z世代はやりがい重視だから、難しい案件を任せよう
こういった思考・行動はすべて、アンコンシャス・バイアスがかかっています。自分の決めつけで判断するのではなく、相手の意向を聞きながら、客観的・合理的な理由をもって判断することが重要です。
また上司は、メンバーが差別や偏見、アンコンシャス・バイアスに基づく行動を取っている場合、適切なフォローを行わなければいけません。
適切なコミュニケーションの場と時間を確保する
近年ではリモートワークが浸透しつつある一方で、そのデメリットも指摘されるようになりました。リモートワークは自由度が高い反面、オンとオフの切り替えが難しいことから、長時間労働を招きやすいとされています。
また、対面でのコミュニケーションが極端に減ることで、孤独感を抱きやすい点も問題です。オフィスであれば相手の状況が見えやすいので、タイミングを見計らって「ちょっとした相談」もすぐにできますが、リモートワークではそれが困難です。そのため、リモートワークでは特に、個人面談だけでなく、上司から部下と気軽なコミュニケーションをする時間をこまめに取ることが一つの対策となるでしょう。
また、上司が本来の業務以外に追われていて、部下とのコミュニケーションの時間が取れない場合も少なくありません。特にプレイングマネージャーは、その傾向が高まります。マネジメントの役割を任された人の本来業務は、組織の目標達成のために全体管理をし、その結果に責任を持つことです。それが疎かになっているのは大きな課題なので、上位者や人事部が速やかに有効な対策を取りましょう。
例えば、業務の偏りが見られる場合、適切なシステムを導入して業務効率化を図ることも有効です。場合によっては、人事評価そのものの最適化を行うことも視野に入れましょう。
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また、評価の進捗をリアルタイムで確認することもでき、直属の上司から上位者、人事部への共有もスムーズです。評価データをシステム上に蓄積できるため、人材育成・活用にも活かせます。オンプレミス型の「P-TH(ピース)」だけでなく、クラウド型の「P-TH+(ピースプラス)」もあるため、新たにサーバーを用意したり、既存システムと置き換えたりする必要もありません。削減できた工数を評価面談やフィードバックの時間に充てることで、上司部下のコミュニケーションをさらに円滑にすることが出来るでしょう。
関連記事:Excelの評価シートをそのままシステム化!人事評価システム P-TH/P-TH+
まとめ
上司と部下の関係性が良好であれば、心理的安全性が高まり、モチベーションも向上します。そのため、もしもリモートワークの浸透などで上司と部下のコミュニケーションが不足していると判断される場合は、早めに対策を取ることが大切です。人事評価システム「P-TH(ピース)/P-TH+(ピースプラス)」なども活用しながら、適切なコミュニケーションを取れる場と時間を確保することがおすすめです。
<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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