チームマネジメントは、チーム全体のパフォーマンスを最大化し、目標達成を目指すための重要な取り組みです。では、チームマネジメントの成功にとって大切なこととは何でしょうか。本人は熱心にマネジメントしているつもりなのに、失敗してしまうことがあるのはどうしてでしょうか。本記事では、チームマネジメントとは何か、その概要や重要性、リーダーに求められるスキル、マネジメントの進め方、そして失敗を避けるための注意点を解説します。
チームマネジメントとは?
チームマネジメントのポイントを解説する前に、まずその概要を簡単におさらいしましょう。
チームマネジメントとは、チームリーダーないしは管理職が、チーム全体の目標達成や生産性向上を実現するための管理手法全般を指します。以下では、チームマネジメントの重要性や、リーダーに求められる資質を解説します。
チームマネジメントが重要な理由
チームマネジメントが重要とされるのは、メンバーの主体性や信頼関係を育み、生産性の向上やイノベーションを促進するためです。チームの生産性を最大化するためには、各メンバーが指示待ちの状態ではなく、自ら課題を見つけ、解決策を考え、積極的に行動することが求められます。優れたアイデアやイノベーションを生み出すには、各メンバーが積極的に意見を出し合い、オープンに議論できる人間関係を構築することが重要です。
こうしたチームを作る上では、チーム全体の状況や課題、人間関係、モチベーションなどを管理調整するチームマネジメントが不可欠です。では、チームマネジメントを成功させるために、リーダーにはどのようなスキルや能力が求められるのでしょうか。
リーダーに求められるスキル・能力
チームマネジメントを主導するリーダーには、目標設定能力やコーチングスキル、タスク管理スキルなど、多岐にわたる能力が求められます。しかし、最も重要なのはコミュニケーション能力です。
例えば、チームが一丸となって仕事に取り組むためには、共通の目標を設定することが重要です。しかし、いくら良い目標を設定しても、それをメンバーへ適切に伝える力がなければ意味がありません。伝える力が欠如していると、メンバーは目標を上から一方的に押しつけられたものと感じてしまい、逆にモチベーションが低下してしまうこともありえます。
また、メンバー同士が適切に意思疎通し、協力するためにも、リーダーが適切な指導とサポートを行う必要があります。部下へのコーチングなども、コミュニケーション能力があってこそ効果を発揮します。
少し極端ではありますがコミュニケーション能力が優れてさえいれば、リーダー自身の能力に多少の不足があったとしても、チーム全体で議論し、助け合い、目標の共有やフォローアップができる体制を築くことが可能です。
関連記事:上司と部下のコミュニケーション|関係性が良い組織の特徴や課題とは
チームマネジメントを行う際の5つのポイント
チームマネジメントを実践する際には、以下の5つのポイントを意識することで、その効果を高めることができます。
1. 活発にコミュニケーションをとる
チームマネジメントの核となるのは、チーム内での円滑なコミュニケーションです。コミュニケーションが不足していると、チーム内の問題の共有が遅れたり、スタッフ間で誤解や行き違いが生じるだけでなく、チームのメンバー同士の関係性を悪くするリスクが高まります。これらはいずれも、業務が滞る原因です。
その点、日頃からお互いに言葉を交わしやすい環境であれば、情報共有やフォローアップの体制も自然と整い、業務効率化だけでなくメンバーの定着率向上も期待できます。職場のコミュニケーションを活性化するには、業務上で必要なミーティングだけでなく、1対1の面談やカジュアルな交流の場を意識的につくることが重要です。
2. チームメンバーと目的・情報を共有する
チームにまとまりを生むためには、メンバーと目的や情報を共有することが大切です。特に、「何のためにその仕事を行うのか」という目的は最低限共有しないと、メンバーはただ指示されたことをこなすだけの状態になりかねません。他方で、目指すべき目的が明確であれば、メンバーはその達成に向けて自ら考え、工夫する余地が生まれます。
また、自分が業務上で経験した気づきや失敗談、悩みなどのナレッジをチーム内で共有することも重要です。これにより、過去の経験を活かして迅速に問題解決ができるようになり、チームとしての対応力が向上するでしょう。
3. 信頼関係を構築する
上記の「1」や「2」を実践する中で常に念頭に置くべきなのが、これらの取り組みはチーム内に信頼関係を築くことが目的のひとつである、ということです。ミスやトラブルを上司に隠したり、ミーティングで沈黙が多くなってしまったりする理由のひとつには、「これを言うと怒られるのではないか/馬鹿にされるのではないか」といった心理的安全性の低さがあります。
逆に言えば、信頼関係が築かれてさえいれば、上司部下の関係であっても忌憚なく意見を言い合い、有益な議論をすることが可能です。
4. 適切なフィードバックを行う
部下の仕事に対して適切なフィードバックを行うことも、チームマネジメントにおいて欠かせない要素です。フィードバックは、メンバーが自分の仕事の価値や評価を知り、改善点を認識するための重要なきっかけになります。
丁寧なフィードバックを受けることで、部下はリーダーが自分の仕事ぶりをしっかり見守ってくれていたことを実感し、リーダーへの信頼感を高め、より高い目標に向かって努力する意欲を持つことができるでしょう。
5. プロセス重視の評価にする
フィードバックの仕方にも関係しますが、部下を評価する際には成果だけでなく、その過程にも焦点を当てることが重要です。結果だけでなく、プロセスも重視している姿勢を見せることで、メンバーは失敗を恐れずに新しいアイデアやアプローチに挑戦しやすくなります。
また、プロセスを振り返ることで、メンバーは「なぜその取り組みが成功/失敗したのか」を認識し、その経験を次のプロジェクトやタスクに活かすことができます。結果が出てからプロセスを振り返るだけでなく、適宜その進捗を確認することも大切です。
チームマネジメントを行う上で注意したいこと
「チームのマネジメントをする」と言っても、上から押さえつけるようなやり方でメンバーを管理しようとすると、失敗しやすくなります。特に注意すべきなのは、以下の2点です。
フィードバックのつもりがただの叱責になっている
フィードバックに際しては、部下のミスや落ち度を指摘しなければいけない場面もあります。このとき、感情的な叱責にならないように気をつけましょう。特に、相手の人間性を否定するような発言は避けなければなりません。
フィードバックは、あくまで相手の成長を促したり、ミスの再発を防いだりするためのものです。フィードバックのあと、部下が「こうすればよかったんだ」「今後はこうしよう」と有益な気づきや前向きな気持ちを得られるように、伝え方にも充分に注意しましょう。
上司と部下の関係でも人としては対等だという意識を持つ
上司と部下という立場上の違いはあっても、人としては対等だという意識を持つことも重要です。上司が「自分がえらい」といった意識を持つことは、チームの士気を低下させる原因となります。尊大な態度や横柄な行動は、メンバーのモチベーションを削ぎ、信頼関係を損なう結果しか生みません。リーダーは謙虚な姿勢でメンバーと接し、尊重し合う関係を築くことが求められます。
また、チームマネジメントにおいては、個人的な好き嫌いの感情で評価を行うことは避けるべきです。こうした個人的な感情を持ち込んでしまうと、人事評価制度の透明性が損なわれ、メンバー間に不公平感を生むことになります。そのためメンバーの評価は、しっかり整備された人事評価制度に従って、客観的かつ公平に行うことが重要です。
チームマネジメントには人事評価システム「P-TH/P-TH+」がおすすめ
人事評価を客観的に行うためには、AJSの人事評価システム「P-TH(ピース)」または「P-TH+(ピースプラス)」を導入するのがおすすめです。「P-TH」はオンプレミスサーバー版、「P-TH+」はクラウド版であり、それぞれの環境に応じて選択可能です。
「P-TH/P-TH+」は、従来Excelで管理していた人事評価の仕組みをそのままシステム化できるため、スムーズに運用を始められ、スイッチングコストが最小限に抑えられるのも魅力です。
「P-TH/P-TH+」は、時間のかかる集計作業も自動化できるため大幅な工数削減が実現出来るだけでなく、自動で作れる評価一覧を参考にすることで、評価の甘辛調整も可能になります。空いた工数や公平な評価を部下との面談や育成に使えば、より効率的にチームマネジメントを進められるでしょう。
関連記事:Excelの評価シートをそのままシステム化!人事評価システム P-TH/P-TH+
まとめ
チームマネジメントは、チームの目標達成や生産性向上を実現するための重要な手法です。効果的なマネジメントには、活発なコミュニケーション、目的・情報の共有、信頼関係の構築、適切なフィードバック、そしてプロセス重視の評価が必要です。
また、人事評価システム「P-TH/P-TH+」を導入することで、評価の透明性と公平性を高め、チームのパフォーマンス向上につなげられます。これらのポイントを押さえ、効果的なチームマネジメントを目指しましょう。
<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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