キャリアプラトーとは?
種類・原因・企業にできる対策を解説

 2025.05.20  AJS株式会社

中堅従業員のモチベーション低下を引き起こす要因のひとつに「キャリアプラトー」があります。キャリアプラトーとは、キャリアが行き詰まった状態のことで、この状態が続くと業務の停滞や後退を引き起こすおそれがあります。本記事では、企業の人事担当者に向けてキャリアプラトーの概要や種類、引き起こす原因について解説します。

キャリアプラトーとは?種類・原因・企業にできる対策を解説

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キャリアプラトーとは?

キャリアプラトーとは、組織で働く人に起こる「停滞」の状態を意味する言葉です。プラトーには高原、台地といった意味があります。ビジネスにおいては、キャリアを上ってきた従業員が「ステップアップに期待できないと自分で感じる状態」を意味します。特に中堅層に見られる現象で、モチベーション低下につながります。従業員が転職を考えるのもキャリアプラトーの状態にあるときが多いとされます。

キャリアプラトーは、特に30~40代の従業員に多く見られる現象です。ある程度キャリアを積み重ねたミドル世代は、昇進や昇格の機会が少なくなることで、今後の目標を見失い、キャリアプラトーに陥りやすくなります。

キャリアプラトーの状態が続くと、仕事へのモチベーションが低下し、生産性や職場の士気が下がり、場合によっては従業員の離職につながるおそれがあります。そのため、企業は相応の対策を講じなければなりません。

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キャリアプラトーの種類

キャリアプラトーには、大きく分けて「階層プラトー」と「内容プラトー」の2種類があります。

階層プラトー

階層プラトーとは、今以上のポストに昇進する可能性が低い状態のことです。たとえば、組織内のポストが不足しており、昇進のチャンスが少ないことで自身のキャリアパスが見えず、仕事に対して意欲が低下している状況などが該当します。

内容プラトー

内容プラトーとは、長期間にわたり同じ業務を担当し続けるなど、新たな学びやチャレンジの機会が失われている状態のことです。新しい仕事を任されることがなく、日々の仕事もマンネリ化し、自分が成長しているという実感がわかない状況などが該当します。

キャリアプラトーを引き起こす原因

キャリアプラトーを引き起こす原因はさまざまです。個人的な原因もあれば、企業側に原因があることもあります。

現状に満足している

キャリアプラトーを引き起こす原因は、何かに対して不満を抱いているからとは限りません。今の状況に満足している場合でも、キャリアプラトーになることがあります。今のポジションや仕事内容に満足している場合、新しいことにチャレンジする必要性を感じにくくなることがあります。その結果、スキルアップやキャリア開発に対する意欲が低下し、知らず知らずのうちにキャリアプラトーに陥る可能性があります。このような快適な環境に長く居続けると、「昇進すると忙しくなってしまう」「部長になると部下の育成が大変そう」など、リスクを避けることを優先してしまい、キャリアプラトーを引き起こすことがあります。

昇進・昇給の機会が少ない

昇進や昇給の機会が少ないことで、キャリアプラトーが生じるケースもあります。日本の多くの企業では、管理職のポストが限られているため、昇進の機会が少ない傾向にあります。そのような組織形態は、上の職位ほど数が少なく、昇進・昇給のチャンスも少なくなります。そのため、どんなに勤続年数が長く、高いスキルを持っていても、ポストに空きがなければ昇進・昇給は望めず、行き詰まりを感じてキャリアプラトーに陥ってしまうことがあります。また、このような場合、転職を考える従業員も少なくありません。

公平な評価が行われていない

人事評価が不公平である、またはそのように従業員が感じてしまうこともキャリアプラトーを引き起こす原因のひとつです。人事評価が公平でない場合、従業員は努力しても意味がないと考え、仕事に対するモチベーションが低下します。また、評価基準に透明性がない場合、目標設定がしにくく、モチベーションの維持や達成感の獲得が難しくなり、キャリアプラトーにつながることがあります。

企業ができるキャリアプラトーへの対策

従業員のキャリアプラトー状態が続くと、仕事へのパフォーマンスが低下するだけでなく、離職につながるおそれがあります。優秀な人材を手放さないためにも、企業には以下のようなキャリアプラトーへの対策が必要です。

1on1を導入する

1on1は、上司と部下が定期的に面談を行い、自主性の向上やキャリア支援を目的とする施策です。1on1は、部下の自主性の向上、成長促進、キャリア支援などを目的に行われますが、キャリアプラトー対策にも有効です。たとえば、1on1で定期的に部下の仕事ぶりを振り返って評価すれば、部下の仕事に対するやりがいを高められます。また、上司からのフィードバックを受けることで、部下は自分の成長や課題に気づき、取り組むべき目標が明確になります。さらに1on1は、今後のキャリアについても話し合いができる場所です。部下が目指すキャリアを聞き取り、適切なアドバイスを行うことで、モチベーションの向上が期待でき、キャリアプラトーの発生を防ぐことができます。

1on1についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:1on1ミーティングとは?注目される背景や期待できる効果

ジョブクラフティングを取り入れる

ジョブクラフティングとは、従業員が自身の業務に主体的に関与し、やりがいや成長を感じられるように工夫する取り組みです。具体的には、業務の範囲を広げたり、新しいスキルを身につけたりする機会を自ら作ること、また仕事の意味を再認識し、モチベーションを高めることが含まれます。

ジョブクラフティングを導入することで、従業員は仕事に対する前向きな姿勢を持ちやすくなり、キャリアプラトーに陥るリスクが低減します。ただし、ジョブクラフティングには従業員の自主性が必要不可欠です。そのため、企業は従業員がジョブクラフティングに取り組めるように、新たなチャレンジの機会やジョブクラフティング研修の機会を設けるなど、積極的な推進を図ることが重要です。

ジョブクラフティングについて詳しくは、以下の関連記事をご覧ください。

関連記事:ジョブクラフティングとは? 注目される理由やメリット・デメリットを解説

人事評価制度や報酬を見直す

キャリアプラトー対策には、評価制度や報酬制度などの見直しも必要です。不公平または不透明な人事評価制度は、組織への不信感が生まれやすく、キャリアプラトーにつながります。したがって、現行の制度に問題があるなら、評価制度や報酬制度、等級制度を見直しましょう。制度を見直し改善することで、評価基準が明確になり、目標も立てやすくなるため、仕事に対するモチベーションが向上し、キャリアプラトーを防ぐことができます。

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人事評価制度を見直すなら、業務の効率化が図れる人事評価システム「P-TH / P-TH+」がおすすめです。あらゆる企業に適用する「P-TH / P-TH+」は、人事評価にかかる作業時間を大幅に短縮できるため、その分、人事評価面談や1on1ミーティングに時間を割くことができます。有意義な面談は、仕事へのモチベーション向上に寄与し、キャリアプラトー予防にも役立ちます。

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まとめ

キャリアプラトーは、仕事に対するやりがいやモチベーションの低下を招きます。従業員がキャリアプラトーに陥らないためも、企業は1on1ミーティングやジョブクラフティングの導入、人事評価制度の見直しといった仕事へのモチベーションを上げる対策を講じることが重要です。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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