キャリアアップの意味とは?
スキルアップとの違いや企業にできる取り組み

 2024.07.08  AJS株式会社

従業員のキャリアアップは個人の成長にとどまらず、企業価値の向上を目指す上でも欠かせません。キャリアアップの促進は労働生産性や従業員満足度の向上に寄与し、人材一人ひとりの能力が高まることで企業全体の成長と発展につながります。
本記事ではキャリアアップの定義や概要について解説するとともに、従業員のキャリアアップが組織に与えるメリットや企業が実施すべき取り組みなどを紹介します。

キャリアアップの意味とは? スキルアップとの違いや企業にできる取り組み

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ビジネスにおける「キャリアアップ」の意味とは?

ビジネスにおけるキャリアアップとは、職業的な技術や専門性を磨いて能力の総合的な向上を図り、収入や社会的な地位を高めることです。例としては有期雇用契約から無期雇用契約への転換、職務遂行能力の向上に伴う昇格、課長から部長への昇進などが挙げられます。こうした待遇や給与の向上、職務範囲と責任の拡大、職務における専門性の強化、役職の昇進などが、組織内におけるキャリアアップの事例です。

キャリアアップは組織内に限定されるものではなく、転職によってキャリアアップに至る事例も少なくありません。たとえば、現職でデザインやコーディングを担当していたWebデザイナーが、転職先ではWebサイト制作の指揮を担うWebディレクターに抜擢されるといったケースです。
このように、特定分野の能力向上や資格取得などを通じて、自らの市場価値を高める取り組みをキャリアアップと呼びます。

キャリアアップとスキルアップの違い

キャリアアップは昇格や昇進など、「経歴の向上」を意味する概念で、スキルアップは技術の練磨や知識の深化といった「能力の向上」を指します。キャリアアップは組織内での役割や社会的な地位といった外在的価値の向上に寄与しますが、スキルアップは自己成長の側面が強く、基本的に社会的な経歴は変化しません。しかしキャリアアップを目指す上で能力の向上は必須事項であり、スキルアップは極めて重要な課題となります。

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従業員のキャリアアップのために考えるべきこと

まずは企業における従業員のキャリアアップを考える上で、意識すべき4つのポイントを紹介します。

1.キャリアパスの明確化

キャリアパスとは、キャリアを積み重ねるにあたり必要なプロセスのことです。これには、昇進に至るまでのステップのほか、必要なスキルや経験が含まれます。 企業で従業員のキャリアアップを支援するためには、能力の向上や職務的な成長を実現するプロセスの明確化が必要です。職種や役職に対する具体的なキャリアパスを設定し、企業が求める人材像や給与テーブルなどを明確にすることで、従業員は目標を理解しやすくなります。

2.キャリア面談の仕組み

キャリアアップを実現するためには、自分の長所や短所、性格的な特性や志向性、得意分野や苦手な領域を理解しなくてはなりません。過去の実績を振り返って自らの強みや弱みを探るとともに、理想とする生き方や求めるキャリアを言語化し、客観的な視点で自己理解を深める仕組みが必要です。そのためには、従業員が希望した時にキャリア面談を受けられる仕組みを整えておくことが求められます。

3.継続的なスキルアップの支援

キャリアアップには技術や知識の向上が不可欠であり、従業員が新しいスキルを習得できる教育制度や研修プログラムを提供する必要があります。たとえばマネジメントに関する研修や特定のスキル習得に向けた外部講習など、人材の成長を支援する取り組みを強化することが大切です。

4.適切な評価とフィードバック

従業員の成長を促進するためには、定期的なパフォーマンスの評価とフィードバックが欠かせません。従業員の業績や貢献度を公正に評価し、その結果に基づくフィードバックを提供できれば理想と現状のギャップが客観視され、キャリアアップに向けた具体的なアクションを策定できます。これにより、前述した自己分析を促すこともできるでしょう。

従業員のキャリアアップによる企業へのメリット

キャリアアップは従業員個人の成長につながるだけでなく、企業全体の成長と発展に直結する重要なテーマです。ここでは従業員のキャリアアップが企業にもたらすメリットを解説します。

生産性が向上する

従業員のキャリアアップは事業活動における生産性向上につながります。キャリアアップには技術の練磨や知識の深化、資格の取得といった自己成長が欠かせません。従業員がキャリアアップを目指す過程で職務の遂行能力が高まり、結果として組織全体における労働生産性の向上が期待できます。また、成長意欲やモチベーションの高い人的資源をより多く確保できるため、競合他社との差別化を図るイノベーションの創出が期待できる点もメリットのひとつです。

従業員満足度が上がる

従業員は自己成長によって昇格や昇給の機会を得られるため、業務に対するやりがいや組織への貢献意識が高まります。また、企業が求める人材像をキャリアパスとして明示できれば、人事評価の透明性を担保できる点もメリットです。個々の従業員がキャリアアップの実現に向けて研鑽を重ね、その指針に基づく公正な評価を得ることで、全体としての従業員満足度の向上に結びつきます。そうしたモチベーションの向上によって組織が活性化し、さらに業績向上につながる好循環を生み出すことができるでしょう。

離職防止に役立つ

組織内でキャリアアップに至る環境を整備できれば、離職率の改善に役立ちます。自社でキャリアアップを目指すメリットを感じられない場合、成長意欲の高い人材ほど転職を選択する傾向にあります。現代は少子高齢化によって労働力不足が叫ばれており、優秀な人材の確保は極めて重要な経営課題です。そこで、キャリアパスを仕組み化し、組織内でキャリアアップするメリットを提示することが従業員の離職防止につながります。

キャリアアップのために企業ができる取り組み

従業員のキャリアアップを支援するためには、企業が主体的に人材の能力向上を図る仕組みを整備しなくてはなりません。なかでも重要度の高い取り組みとして挙げられるのが「研修・面談」と「制度の見直し」です。

研修や面談の実施

人材の能力向上を図るためには定期的な研修を実施するとともに、面談によるメンタルケアやフィードバックを提供することが大切です。職種やポジション別のスキルアッププログラムを開発できれば、従業員のステージに応じた技術や知識の学習効率が最大化されます。

面談を通じたフィードバックは、従業員が自分の強みや弱みを客観的に理解する助けとなり、キャリアアップに向けて進むべき方向性を具体的に定められます。そして面談によるメンタルケアを提供し、従業員の精神的な健康をサポートすることで、従業員満足度の向上や離職率の改善も期待できます。

制度を見直す

従業員のキャリアアップ支援に取り組む際は現状の制度を評価・分析し、必要に応じて変革に取り組まなくてはなりません。とくにキャリアパス制度の確立は必須事項です。社内における昇格の基準や昇進の条件、給与テーブルなどを明示できれば、キャリアアップに向けたモチベーションの向上が期待できます。

こうしてキャリアパスに基づく人事評価制度を確立できれば、企業が求める能力開発の方向性を示すとともに、従業員はその実現に向けた具体的なアクションプランを立案できます。また、一定期間ごとに異なる職務を経験するジョブローテーションを導入し、従業員の適性を見極めるといった施策も有効です。

キャリアアップをサポートする「人事評価システム P-TH/P-TH+」

「人事評価システム P-TH/P-TH+」は評価シートの作成や集計を効率化するのはもちろん、収集したデータを人材情報のデータベースとして活用することも可能です。現状のExcelの評価シートやワークフローをそのままシステム化するとともに、評価シートの内容を柔軟に変更できるため、社員への負担も少なく導入のハードルが低い点もメリットのひとつです。

また、P-TH/P-TH+を導入することで人事評価の事務的な作業を効率化し、メンタルケアやフィードバックといった対面のサポート業務により多くのリソースを使えるという利点があります。それによって従業員のスキルアップを効率的に支援し、組織の中長期的な成長と発展につながる効果が期待できます。

関連記事:人事評価システム P-TH/P-TH+ | AJS ソリューション・サービスサイト Solution Navigator

まとめ

キャリアアップは職業的な技術と知識の向上を図り、自らの市場価値を高めることを指します。従業員のキャリアアップは個人の成長につながるのみならず、企業全体の発展に関わる重要なテーマです。そのためには、キャリアアップを支援する研修や面談の実施、または必要に応じて制度を見直すといった施策が求められます。従業員のキャリアアップの効率的な支援に向けて、人事評価システム P-TH/P-TH+の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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