製造業における人事評価の重要性|制度の種類や課題も紹介

 2024.12.20  AJS株式会社

企業にとって人的資源は極めて重要な経営資源であり、企業が持続的に発展するためには従業員のパフォーマンスを最大化する仕組みが欠かせません。そこで重要になるのは人事評価制度です。本記事では製造業における人事評価の重要性について解説します。人事評価の種類や課題についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

製造業における人事評価の重要性|制度の種類や課題も紹介

製造業における人事評価の重要性

製造現場の業務では、人的資源が生産量や付加価値額に大きく影響するとされています。そのため、採用活動や人材教育、人員配置、人事評価といった人的資源管理の最適化は非常に重要です。

特に人事評価は、従業員の成績査定という側面だけでなく、人材の成長と組織の競争力向上を支える戦略的な基盤としての役割も担っている場合が多くあります。

製造業においては、人事評価制度を整備することで、以下の4つの面での改善が期待できます。

  • モチベーション
  • 定着率
  • 生産性
  • QCD

モチベーションを向上させられる

人事評価制度の確立が求められる理由のひとつとして、従業員のモチベーション向上への効果が挙げられます。成果や業績への貢献度が適切に評価されない環境では、従業員のモチベーション維持は非常に難しくなります。

特に製造業では、以前から年功序列を重視する企業も多く、従業員の能力や努力が必ずしも適切に評価されていない場合も見受けられます。

このような状況を改善するためには、従業員にとって納得性のある人事評価制度を確立し、成果や貢献度が待遇に反映される仕組みを整備していくことが望ましいと考えられます。そうすることで、従業員のモチベーションとエンゲージメントの総合的な向上が期待できるでしょう。

定着率を上げる

現代では雇用の流動化が進んでおり、従業員は自身が適切に評価されていないと感じた場合、競合他社への転職を選択するケースが増えているようです。

特に製造業においては、熟練工のスキルに依存する作業が多いことから、定着率の向上は重要な経営課題のひとつとなっています。適切な人事評価制度を整備することで、定着率の改善が期待できます。

また、このような取り組みは、製造分野で顕著に見られる、人材不足や後継者不足と言った課題の解決にも寄与する可能性があります。

さらに、定着率が向上すれば、新規採用や初期研修の頻度が減少し、人材の採用・育成に関わるコストの削減にもつながるといったメリットも期待できます。

生産性を向上させられる

人事評価制度の整備が求められる背景として、生産性の向上という側面があります。従業員にとって納得感のある人事評価制度が確立されることで、従業員のモチベーションが高まり、離職率の低減、つまり定着率が改善され、後継者不足を解決できる可能性が高まります。

また、後継者育成のためのノウハウ蓄積と共有を進める中で業務の見直しを実施すれば、業務効率化や生産性の向上にも期待ができます。

さらに、業務への取り組みや成果が適切に評価される環境が整うことで、従業員の仕事に対する誇りと責任感が育まれ、一人ひとりの労働生産性の向上にもつなげることができます。

QCDの最適化につながる

QCDは「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」の略称であり、製造分野における重要な指標とされています。適切な人事評価制度の確立により人的資源管理が最適化されることで、作業工程の効率化と製造プロセスの合理化が進み、QCDの総合的な最適化が期待できます。

また、人事評価制度の整備は従業員のエンゲージメントを高め、組織への帰属意識を高める効果も期待できます。その結果、チームワークの強化が促進され、業務品質の向上やコスト削減、納期の改善といった好循環を生み出せるでしょう。

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製造業での人事評価制度の種類

人事評価には複数の手法があり、さまざまな仕組みや制度が確立されています。事業形態によって必要とされる評価項目や評価基準は異なるため、自社のビジネスモデルに適した手法を選択することが望ましいでしょう。

製造分野において一般的に取り入れられている代表的な仕組みや制度の一例として、以下の2つが挙げられます。

目標管理制度(MBO)

目標管理制度(MBO)とは、組織の目標と従業員一人ひとりの目標をリンクさせ、目標達成に向けて進捗を管理するマネジメント手法です。

人事評価の公正性と公平性を担保するためには、個人のパフォーマンスを定量的に評価できる指標が求められます。従業員一人ひとりが職務上の目標を設定し、その達成度を人事評価と紐づけることで、評価者の主観に左右されにくい人事評価制度を構築できるでしょう。

また、目標管理制度(MBO)と人事評価制度を連動させることで、目標に対する理解度と達成意欲が高まるという効果も期待できます。

能力評価制度

能力評価制度とは、業務遂行能力や技術、知識、経験値などを評価基準とする人事評価の手法とされています。一方で、業績や成果のみで人材を評価する場合、設備保全やデータ分析といった間接的な業務に携わる従業員の貢献度を適切に評価することが困難な場合が多いようです。

業績や成果、目標管理制度(MBO)とともに、従業員が有する特性や技能などを評価基準に組み込むことで、人事評価の公正性と公平性を高めることができると考えられます。

また、能力評価の基準を定めることで従業員に求める能力が言語化・数値化され、人材育成の合理化や人員配置の最適化にも活用できます。

製造業における人事評価の課題

製造業では人材不足と就業者の高齢化が進んでおり、優れた人材の確保・育成が重要な経営課題となっています。このような状況に対応するためには、人事評価制度の確立が求められますが、以下のような課題を抱えている企業も多く見られます。

  • 人事評価制度が導入されていない
  • 項目に実態が反映されていない

人事評価制度が導入されていない

製造業では、勤続年数や経験値を基準に待遇を決定する組織が多く見られ、特に従業員数が少ない企業ほど業績考課・能力考課・情意考課を多角的に評価する人事評価制度が整備されていない傾向にあるようです。

年功序列型の評価制度では、成果とは無関係に一定の待遇を得られるため、従業員の労働意欲や貢献意識の向上を促すことが難しい側面があります。

また、人事評価制度が確立されていない組織では求める人材像が曖昧になりがちであり、採用ミスマッチが発生するリスクも高まると考えられます。

こうした課題を解消していくためにも、まずは適切な人事評価制度の導入を検討することが重要です。

項目に実態が反映されていない

人事評価制度を導入している企業においても、一般的な評価項目を採用しているため、人事評価制度が形骸化している事例が見受けられます。

人事評価制度を人材育成や生産性向上に効果的に活用していくためには、製造業特有の作業内容や製造プロセスを反映した評価項目の設定が重要となります。

例えば「遅刻・無断欠勤がない」「自社製品に対する理解度」といった一般的な評価項目に加えて、以下のような製造現場に即した評価項目を設定することが望ましいと考えられます。

  • 生産ラインの作業効率を最適化できる
  • 作業手順の改善提案ができる
  • 機器の異変を察知して上位者に進言できる
  • 安全性を考慮して機械機器停止の自己判断ができる

なお、人事評価制度を効果的に運用するためには、評価項目の設定だけでなく、その項目を適切に管理し、評価結果をスムーズに活用できる仕組みも重要です。そこで、人事評価システムを活用することで、評価の公正性を担保しつつ効率的に運用することが可能になります。

製造業での人事評価もP-TH/P-TH+

「P-TH / P-TH+」は、製造業を始めとするあらゆる組織で使える人事評価システムです。既存のExcelの評価シートそのままシステム化できるため、今までの人事評価制度を変更する必要はありません。Excelとの連動や一人一台PCがない場合でも、モバイル端末による簡易入力が可能なので、人事評価業務を大幅に短縮・効率化できます。また、蓄積された評価データを人材育成などに活用できる点も大きなメリットです。人的資源管理の最適化を図るためにも、人事評価システムP-TH / P-TH+の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

内部リンク:人事評価システム P-TH/P-TH+ | AJS ソリューション・サービスサイト Solution Navigator

まとめ

人事評価制度は単なる従業員の成績査定に留まるものではなく、人材育成や市場競争力の向上を図る上で欠かせない仕組みです。公正・公平な人事評価制度を確立できれば、従業員のモチベーション向上や定着率の上昇、生産性の最大化、QCDの改善といった成果も得られるかもしれません。人事評価には目標管理制度(MBO)や能力評価制度など、さまざまな仕組みや制度が存在するため、自社の組織体制に適した手法を採用することが大切です。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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