人事評価エラーが起こるのはなぜなのか? 発生原因と対策を紹介

 2020.08.04  AJS株式会社

不適切な人事評価はメンバーのモチベーションを低下させ、部下と上司、メンバー間などの信頼関係に悪影響を及ぼします。評価者は日頃から客観的な目線を持ち、人事評価に適した思考や判断力を養うトレーニングが必要です。評価者が陥りやすい人事評価エラーについて解説します。

人事評価エラーとは

人事評価エラーとは評価者が陥りやすい心理的な錯誤のことで、意図的または無意識のうちに心理や感情に影響されて公正な評価ができなくなる現象です。多くの被評価者は評価エラーに気付いていません。人が人を評価するシステムである以上、主観、感情をまったくのゼロにするのは難しいのですが、評価者が日々意識をすることで、より公正な人事評価制度の運用が可能になります。

何が人事評価エラーを引き起こすのか?

人事評価エラーはなぜ起こってしまうのでしょうか?エラーに共通しているのは、公平性と客観的事実の欠如です。それにはさまざまな原因が考えられます。以下ではエラーの代表的な例とそれを引き起こす原因を見ていきましょう。

ハロー効果

ハロー効果は心理学の世界で使われている用語で、認知バイアスとも呼ばれています。例えば、「話し方が明るく人当たりがよい、だから大きなプロジェクトも安心して任せられる。」「身だしなみが洗練されていない、だから仕事にも不備が多いだろう。」といったように、ある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引っ張られて評価が歪められてしまう現象です。評価者は先入観を手放し、見た目や会話の印象に左右されないよう気をつけなければいけません。評価項目1つにつき、1つの具体的事実に限り照らし合わせていく作業が有用です。

中心化傾向

評価基準を中心に寄せて、当たり障りのない評価をしてしまうエラーです。自分の評価に自信がない、優劣をつけることにより部下の反発を避けたいなど、評価者の保身から生まれるケースが多いでしょう。まずは、評価期間中に被評価者の情報を十分に集めることから始めます。面談時に無難に済ませようとする心理を一度捨て去り、客観的に良いものは良い、悪いものは悪いとシンプルに判断するように訓練します。

寛大化・厳格化傾向

言葉の通り、寛大化傾向は評価が甘くなり、厳格化傾向は評価が厳しくなるエラーです。主な原因は、評価者が人事評価制度そのものを理解しておらず、好き嫌いや気分など、感情による評価を良しとしている点にあります。自分の基準は企業基準と異なるという事実を認識し、価値観そのものを見直す必要があります。

逆算化傾向

最終的な総合評価を決めてから、帳尻を合わせるように評価を調整してしまうエラーです。評価者、企業側が賞与や業績賞与の支給額をある程度決めていて、相対評価を取り入れて調整するなどの例も含まれます。賞与や昇格のために最終評価だけを意識することで起こります。対策は、被評価者にとっては、それぞれの評価項目が今後業務を行う上での指標となることを認識することです。

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期末誤差

評価は評価期間の月日が対象となるものの、面談が行われる直前に起きた出来事などが大きく影響されてしまうエラーです。原因は被評価者を評価する材料が少ないことにあり、評価者は期末に起きた「プロジェクトの成功、失敗」などの事象を中心に考えてしまいます。対策として、期間中に中間評価するタイミングを設け、事実に即した記録を積み重ねていくことです。

論理的誤差

評価者の頭の中にある理屈で評価してしまうエラーです。いくつかの評価要素を評価者の都合のよい解釈でつなげたり、混合してしまうなど、公平性に欠けたプロセスを辿っています。例えば「自己啓発に率先して取り組んでいるから、業務知識はアップしているはず。」というように、被評価者の行動に勝手に理屈をつけて結論づけてしまうことです。対策は、人の思考にはクセがあると認識し、自分本位な理論で評価をしていないか評価項目ごとに振り返ることです。

対比誤差

評価者自身の持っている能力や資質を無意識のうちに被評価者と対比してしまい、過大・過少評価してしまうエラーです。例えば「評価者は語学が堪能で英語がネイティブ、しかし、被評価者は留学経験がなく語学に関連する資格を所持していない。」となると、被評価者は自分に比べ劣っていると判断し、評価者が勝手に紐づけた項目の評価を下げてしまいます。その逆もあり、評価者が苦手である分野が得意である被評価者に対して、高い評価をつけてしまうこともあります。対策は、人事評価のルールを理解し、客観的基準を企業と共有することです。

 

人事評価エラーを減らす対策とは?

人が関わっている限り、エラーは誰もが陥るものと評価者自身が認識するのがスタート地点です。人事評価エラーのほとんどは、事実に基づいた客観的な観察と情報収集で防げます。従業員の意識や能力は目には見えません。そのため、評価の期間中は一定のリズムで観察を続け、行動や結果など事実に基づいた評価材料を収集し、メモなど情報を積み重ねていくことがなにより重要です。

評価者のそういった客観性と正確性を養うためには、定期的な評価者研修の開催と、チェック機構の設置が有効です。アップデートし続ける評価基準を正しく理解できるよう評価者のレベルを底上げし、二段階チェック+αで制度を運用させます。

また、運用のスタート地点である目標設定とそのプロセスにおいては、一定のポイントを押さえることで極力エラーを排除することができます。具体的なポイントは以下のようになります。

数値目標と行動目標を設定する

評価者と被評価者が評価対象期間中の目標を設定します。数値目標は、売上高、契約件数、コスト削減金額、業務効率化(時間・行程数)など数値に換算できるものを設定します。行動目標は、勤務態度や納期の順守など業務に取り組む姿勢に設定する目標です。入社して間もないメンバーは行動目標の比率を挙げるなど、評価内容のバランスを調整します。

目標を具体化する

数値目標に関しては、「売上高○○万円、契約件数○○件」のような具体的な数値を目標に設定します。行動目標に関しては数値化が難しい項目があるため、評価者は定められた評価基準を被評価者と共有します。評価基準は可能であれば4段階や6段階といった偶数に設定し、中央化傾向のエラーを作らないように工夫するとよいでしょう。目標はチーム内で共有し、協力する姿勢や競い合う環境に活用していきます。

定期的に相談・評価を行う

評価制度を運用させるには、目標達成、被評価者のモチベーション維持のために、定期的に面談や目標設定の見直しが重要です。社会情勢や被評価者の環境変化などによって目標の達成が明らかに難しい場合は、その時点で柔軟に見直しを実施します。数値目標に関してはプロセスを評価しにくいので、期末効果の防止などにも役立つメモの履歴が役に立ちます。定期的な面談の際には、評価の根拠となるような事実をメモに残すようにするとよいでしょう。

 

まとめ

人事評価エラーは必ず起こるものと認識し、それに対してできるだけ起こらないような仕組み作りや対策を施すことが重要です。不適切な人事評価は個々のパフォーマンスやモチベーションの低下につながります。その結果、会社全体の生産効率の悪化をもたらしてしまうことになりかねません。評価者は日頃から公正な評価を心がけるために、観察力や判断力、思考力などに代表される評価スキルの向上と評価エラーの排除に努めるようにしましょう。

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