新入社員は業務実績が当然乏しく、業務に必要な知識やスキルも持ち合わせていない場合がほとんどです。それゆえ、新入社員の人事評価の際、どこに注目して評価項目を作ればいいのか戸惑ってしまう人事担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、新入社員の人事評価の必須項目について、注意点とあわせて解説していきます。
新入社員の人事評価の3項目
冒頭で紹介したように、新入社員は業務実績もなく、業務に役立つ専門的なスキルなども身についていない場合がほとんどです。つまり、人事評価における主要な評価軸である「業績評価」や「能力評価」が新入社員に対しては有効に働きません。
それゆえ、最初に新入社員の人事評価をする際には、新入社員向けの研修などでも学べる社会人としての基本的なスキルや人間性、勤務態度などの「情意評価」をメインに評価項目を設定することになります。以下で紹介するのは、この情意評価を基調にした、新入社員の人事評価において主に見るべき3項目です。
ビジネスマナー・ルールの遵守
新入社員の人事評価において最初にチェックするべき項目として、社会人としての基本的なビジネスマナーや職場のルールなどの遵守が挙げられます。具体例としては、下記のような項目が考えられるでしょう。
- 社会人として適切な言葉遣いや挨拶ができているか
- アポイントの取り方は適切か
- メールや電話への対応は適切か
- 上司や先輩への報連相はできているか
- 仕事の期限を守っているか
- 遅刻や無断欠勤などはしていないか
これらは社会人として身につけなければならない「基本中の基本」ではありますが、まだこうした基本が身についていない新入社員も少なからずいます。
また、今の若者はスマートフォンやSNSは使い慣れていても、PCやメールには不慣れで、社内・社外問わず、コミュニケーションにおいて礼儀やスムーズさを欠くことがあります。それゆえ、新入社員を自社に迎える際は、こうした基本的なマナーやスキルからしっかり教育し、人事評価をする際にもこれらの振り返りをすることが大切です。
誠実さ
社会人、あるいは一緒に働く同僚として信頼できる人間性、すなわち「誠実さ」も新入社員を評価するうえで重要なポイントです。新入社員はその未熟さゆえに、至らないことや失敗してしまうこともあるでしょう。しかし、だからこそ、それを穴埋めするだけの努力や真面目さ、誠実さを職場で示すことが大切です。例えば、誠実さを量る評価項目としては、以下のようなものが挙げられます。
- ミスや注意されたことに対し、素直に認め、謝罪、反省、改善ができているか
- 周りの人にサポートしてもらったときにお礼を言えているか
- 人によって態度を変えていないか
こうした基本的な人間性や勤務態度は、職場において円滑な人間関係を築くうえで欠かせないことです。また、こうした誠実さは顧客の信頼を得るためにも非常に重要です。
協調性
上記の「誠実さ」とも重複する部分ではありますが、組織の一員としての「協調性」を身につけているかどうかチェックすることも大切です。新入社員ではまだ具体的な業務において周囲を助けることは難しいかもしれません。しかし、だからこそ協調性の大切さ、誰かからサポートを受けることのありがたさを、身を持って知る機会は多いはずです。協調性を量るための評価項目としては、以下のようなものが考えられます。
- チームにおける自分の役割を理解し、責任を果たしているか
- 周囲に困っている人を見つけたときに積極的にサポートしているか
- 業務上必要な情報やアイデアをチームと共有しているか。
組織の中で働く以上、気が合わない人や、自分の意に沿わない決定を受け入れなければならない場合もあります。しかし、意見を求められたときには自分の考えを主張しつつ、決定したあとはその方針に従うような、一種の割り切りや忍耐強さも社会人として重要な資質です。
新入社員の人事評価の注意点
人事評価は新入社員にとってよい教育の機会でもあります。それゆえ、人事評価を単なる評価として終わらせるのではなく、評価内容を新入社員の指導に還元することが大切です。人事評価を有効に活用することにより、新入社員それぞれが持つ課題の明確化やモチベーションのアップにつなげられるでしょう。ここからは、新入社員に対して人事評価を行う際の注意点について解説していきます。
短期目標と長期目標を分けて設定
これは人事評価というより、新入社員教育全般に言えることですが、新入社員に対しては短期目標と長期目標を分けて示すことが大切です。会社に入りたての従業員は右も左もわからず、自分一人では何から取り組めばよいのか見失いがちです。それゆえ、新入社員の教育や人事評価に当たっては、なるべく具体的な目標を示すように心がけましょう。
その際、ポイントとなるのは、2~3ヶ月単位で達成可能な短期目標と、数年単位で達成可能な長期目標とを同時に示すことです。短期目標には、長期目標の達成に最終的に結びつきつつ、今、優先的に取り組むべき課題を設定します。長期目標の設定においては、今後新入社員が社会人としてキャリアを築いていくための大まかな方向性を指し示すことが重要です。
人事評価に際しては、新入社員自身の意見も聞きながらこのような考え方で目標を設定しましょう。そして、その達成度を評価していくことで、新入社員は自身の成長を実感しながら目的を持って仕事に当たれるようになります。
定量・定性評価の使い分け
新入社員の人事評価においては、定量評価と定性評価を適切に使い分けることも大切です。
定量評価は「数値で表せるものに対する評価」であり、定性評価は「数値では表せないものに対する評価」を意味します。
定量評価は、例えば「特定の作業を一日何件こなせるようになったか」など、達成度合いや成長の度合いが明確化できることが特長です。一方、定性評価は先に挙げた「誠実さ」や「協調性」など、業務に対する姿勢や意識などを評価する手法です。
このように、定量評価と定性評価は評価の対象が異なるため、組み合わせて人事評価に利用しなければなりません。どちらか片方の手法だけで評価してしまうと、正当に評価されなければならない要素が評価対象から漏れてしまいます。人事評価は給与や賞与にも直結するため、新入社員に不信感を抱かれないよう、定量・定性評価を用いて正当に評価することが大切です。
まとめ
人事担当者にとって、新入社員の成長や職場への定着のため、適切な目標・モチベーション維持策の設定は常に課題です。新入社員の目標管理や教育状態の把握などを行う際には「人事評価システムP-TH/P-TH+」の各種機能が役立ちます。新入社員教育とリンクした人事評価体制を構築したい企業の方は、ぜひ導入をご検討ください。
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