在宅勤務(テレワーク)における人事評価制度の課題とは!? 評価制度構築のポイントを解説

 2022.03.16  AJS株式会社

新型コロナウイルスの感染予防対策として在宅勤務(テレワーク)を導入する企業が増える中、その新しい働き方と、従来の人事評価制度との間で生じるミスマッチに悩んでいる人事担当者や評価者も少なくないでしょう。そこで本記事では、テレワーク環境における人事評価制度の課題と、新たな評価制度を構築する際のポイントについて解説します。

在宅勤務(テレワーク)における人事評価制度の課題

時間や場所に囚われないニューノーマルな働き方として肯定的に評価されることも多い在宅勤務(テレワーク)ですが、従来の人事評価制度をそのまま適用しようとすると、さまざまな問題が生じてしまいます。以下では、在宅勤務における人事評価制度の課題について解説します。

勤務態度の評価ができない

在宅勤務の第一の課題は、上司の目視では、従業員たちの勤務態度を評価できないことです。オフィス勤務時とは異なり、在宅勤務においては「従業員がどのように働いているのか」を上司が確認する方法は限られています。人事評価においては成果だけでなく、その成果を生み出すまでに至る業務プロセスの評価も重要ですが、在宅勤務はそれを難しくしてしまうのです。

そのため、在宅勤務の人事評価をしようとすると、成果主義的な評価に自然と偏重してしまう傾向があります。成果主義的な人事評価もそれ自体は悪ではありませんが、成果主義を導入したからといって業務プロセスのケアを怠ると、従業員が正しい方向に進んでいるか把握できません。また従業員も、周囲とコミュニケーションを取りづらい環境で、成果を上げるためにノルマだけが積み重なるような状況が続けば、疲労は蓄積し、仕事に対するモチベーションも低下してしまうでしょう。在宅勤務では、こうした弊害が生まれることを考えなくてはなりません。

手続きの滞り

各種手続きの滞りが発生しやすい点も課題として挙げられます。各従業員が物理的に隔てられた環境で仕事をするテレワークにおいては、書類チェックや契約などの手続き業務が滞りがちになります。特に労務関係の書類は紙ベースで書類のやり取りをする場合が多いので、往復の郵送にかかる時間的・経済的コストも無視できません。これは人事評価を紙で運用している場合は、シートの記入や提出においても言える事です。

評価方法や基準のばらつき

先述したように、リモートワークでは勤務態度の評価などが難しく、従来の評価方法が使えないケースが多々考えられます。このような評価方法の不適合が生じたとき、問題をそのまま放置してしまうと、各担当者はそのギャップをどのように評価すればよいかわからず、各人所定の評価をしてしまいかねません。しかし、評価方法や採点基準にばらつきがある状態ではデータとしての公平性や公正さを欠き、従業員が不満や不信感を持ちやすくなります。

コミュニケーションの遅延

テレワークの導入によって、従業員間のコミュニケーション手段は対面での会話からメールや電話、チャットなどのコミュニケーションツールに取って代わることになります。これらのITツールは便利なものですが、リアルタイム性が低下し、相互理解において遅延が発生します。そのため直接対面するときに比べて、コミュニケーションの質は落ちやすくなり、人事評価の困難さが生じることになります。

コミュニケーションが困難になると、従業員は仕事の進め方を個人主義的に変えてしまい、チームとしての連携を欠くことになってしまうかもしれません。また、特に従業員が独身世帯の場合、在宅勤務を導入することで社会的な孤立感を強く感じてしまう場合もあります。そのため、在宅勤務においては、上司が適宜従業員のストレスやモチベーションなどの状況に配慮し、適切なケアを行っていくことが必要です。

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在宅勤務(テレワーク)に適した人事評価制度のポイント

上記のように、テレワーク下において人事評価制度はさまざまな課題を抱えています。そのため、企業の人事部門は新たな人事評価を導入する際、これらの課題克服を意識して作業しなければいけません。そこで以下では、在宅勤務に適した人事評価制度のポイントについて解説します。

評価項目の明確化

在宅勤務における人事評価においては成果や実績による評価はもちろん、評価項目も工夫しなければなりません。

評価項目の策定が終わったら、被評価者の従業員や評価者である管理者に対して評価項目の内容について明示しましょう。「どのような項目を、どのような仕方で評価するのか明確化することで、従業員はどのように在宅勤務すればよいのか」ということについて、明確な指針を共有できるため、人事評価に対する不安もある程度払拭できます。評価者である管理職としても、どのような観点から従業員を管理・指導・評価すればよいのか明らかになることで、従来よりも人材マネージメントについて悩む時間が減るでしょう。

評価方法の統一

先述したように、テレワーク環境においては評価基準や評価方法にばらつきが生じやすいので、念入りに評価方法の統一を図らなければなりません。評価者によって評価の仕方が変わり、結果的に具体的な待遇についても差が出てしまうようでは、従業員は会社に対して不満を覚えてしまうでしょう。そのため、どの部署であっても評価の指標や仕方を統一し、公平性を確保することが大切です。

評価方法の統一に当たっては、人事部門と評価者である各管理者の間の連携が欠かせません。人事部門は評価者に対して、新しい人事評価制度の主旨や各評価項目の内容を説明し、評価方法や評価基準、人事考課シートの書き方や記入例などの周知徹底を図る必要があります。

目標管理制度の導入

テレワークにおける人事評価に適した具体的方法としては、目標管理制度(MBO)が挙げられます。MBOはManagement by Objectivesの略語であり、経営学の権威であるピーター・ドラッカーが1954年に発表した『The Practice of Management』の中で初めて提唱しました。

MBOは従業員一人ひとりの目標と組織の経営目標を連動させることを目的としたマネージメントモデルです。MBOにおいて従業員は上司との相談を通して自ら目標を設定し、その達成を目指して行動します。そして上司は人事評価に際して、当初設定した目標に対して従業員がどのように取り組み、どれくらい達成できたかを考慮して評価するのです。

一般的な成果主義において、目標設定は上司から部下にトップダウン式で告げられるので、部下側には裁量権がなく、強いプレッシャーや不満を感じてしまう場合もあります。しかし、MBOにおいては当の従業員が自分の目標設定と行動計画に発言権を持つことで、業務に対するコミットメントが促進され、高いモチベーションを持って自主的に業務に当たれるのです。

もちろん、いくらMBOが自主性を尊ぶマネージメント方法だとはいっても、そこで設定される目標は組織全体の利益ないしは目標に沿ったものでなければなりません。そのため、上司は従業員が「設定した目標が自社の利益にも合致したものか」あるいは「その目標の難度は、該当従業員の能力に比して低すぎないか」など、従業員との話し合いを通して目標を調整し、それへ向けた進捗状況を適宜モニタリングする必要もあります。

先述のように、在宅勤務においては業務態度など業務プロセスの評価がしにくい側面もあります。しかしMBOならば、目標設定の段階で従業員の行動のかじ取りがスムーズになります。従業員自身が目標値を設定し、その達成度に即して企業側が評価を行うことで、双方納得しやすい評価制度を実現できるのです。目標達成の途上における進捗状況のチェックも、定期的なオンライン会議などを通せば、カバー可能でしょう。

人事評価プロセスの最適化

人事評価プロセスをテレワーク環境に合わせて最適化することも重要です。人事評価においては、直接の上司や部門長など、複数の管理者や人事担当者が書類に人事情報を記入し、意見交換する方法が広く使われています。

しかし、先述したように在宅勤務においては、こうした紙媒体による情報のやり取りはタイムラグが大きく、非効率的になりがちです。書類を回しているうちに、その人事評価がどの程度まで進んでいて、誰が人事評価シートを提出しているのか、していないかなどがわからなくなってしまうリスクもあります。

そこでおすすめなのがクラウドベースの人事評価システムなどを導入し、人事評価に関する一連の業務プロセスをデジタル化することです。これまで紙媒体で行っていた作業もシステム上で一括管理することで、人事評価基準の策定から周知・配布・集計までを総合的に効率化できるようになるでしょう。

まとめ

在宅勤務では上司が直接部下の働きぶりを見ることができず、情報共有も滞りがちになるという問題があります。また、紙ベースによる人事評価プロセスは在宅勤務だと特に多くの無駄を生みます。AJS社が提供する「人事評価システムP-TH/P-TH+」は、人事評価プロセスのデジタル化を進め、テレワーク環境においても効率的かつ公平な人事評価の実施を可能にします。在宅勤務における人事評価制度の運用に課題を抱えている企業の方はぜひ導入をご検討ください。

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