看護師の人事評価における目的の書き方とは?注意点と例文を紹介

 2022.06.15  AJS株式会社

企業等で導入されている人事評価制度は、病院などの医療機関で働く看護師にとっても有効です。本記事では、人事評価の概要と目的、3つの基準、看護師の個人目標とその立て方のポイントなどを解説します。1年から5年まで、看護師の経験年数別に作成する個人目標の例文も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

人事評価とは

人事評価は組織に属する人の業績や能力、仕事に対する姿勢、パフォーマンス、組織への貢献度などを一定の評価基準を持って公正に評価するための制度です。一般的に評価内容は組織内で定めた評価等級や昇格・昇進、報酬査定に反映されます。

各組織は人事評価を組織の目標達成や人材育成カリキュラムなどの施策につなげる傾向があります。人事評価の時期や評価基準は組織ごとに異なりますが、四半期や半期、1年などの期間を設定し、定期的に評価するケースが大半です。人事考課という言葉もありますが、人事評価と特に意味は変わらず、同義語と考えて問題ありません。多くの組織で人事評価と人事考課は区別せずに使用されています。

人事評価を行う目的は主に2つです。1つ目は組織が期待している人材像を明らかにし、従業員の行動や成果につなげてもらうことです。人事評価は組織の方向性を示し、従業員にどのようなことを求めているかを具体化する役割があります。そのためには人事評価制度に組織の経営理念や経営計画、行動指針などを取り入れることが重要です。

2つ目は従業員の行動や成果を適切に評価することによって、従業員のモチベーション向上につなげることです。仮に従業員の評価を個別に根拠なく行っていたら、評価が適切な方法で行われているのか判断できず、不平等感が生まれることになります。組織として適切に評価に取り組む姿勢を示すことが重要なのです。

人事評価の3つの基準

人事評価の基準は一般的に業績、能力、情意の3つの項目で構成されています。評価条件は各組織が個別に定めますが、これら3つの項目は互いに影響するため、評価される側は総合的に判断されるということを理解しておくことが大切です。

業績(成果)評価

業績(成果)評価はある期間内における成果や目標への達成度合いを評価します。評価される者それぞれに期待されている役割や業務レベルに応じて、達成度合いだけでなく、成果達成に至る過程が評価される場合もあります。

業績(成果)評価は数値化しやすいので、評価の根拠となる数値が示されることになります。数値が明示されれば被評価者も「自分がどのくらい実績を上げたのか・どの部分が不足していたのか」、具体的に把握できます。

成果達成に至る過程を評価する場合は、上司の意見のほかに、一緒に仕事をする同僚などからの幅広い意見が考慮されます。業績(成果)評価は人事評価で大きな割合を占め、昇進や給与、賞与に直接関わってくるため、正当に評価されているかを確認することが大切です。

能力評価

能力評価は組織から求められる知識や業務スキルが業務でどの程度発揮されたかを評価します。基本的に業務で発揮された能力が評価対象となり、能力があっても実際に業務で発揮されない場合は対象となりません。「与えられた業務の過程において、どのくらい能力を発揮したか」を評価するため、プロセスの難易度も重視されます。被評価者の担当業務だけではなく、チーム全体でスムーズに業務を進めるためにどのような計画・立案を行ったか、トラブルが発生した場合にどのように対応したか、なども評価対象です。

能力評価は難易度の高い業務を担当した度合いや、緊急時の対応方法および結果が重要なポイントになります。同じ立場の者すべてが同じ成果を得られるといったレベルの成果を挙げても、能力評価で高い評価を得ることはできません。実行力や立案力などは数値化しづらいため、どのような評価基準となっているかを事前に把握しておくことが重要です。

情意評価

情意評価は勤務態度や責任感、積極性など、業務に取り組む姿勢を評価します。遅刻や早退などの勤務状況や、会社の規則や上司の指示をどのくらい忠実に守っているかという規律性、仕事をやり遂げる強い意志と責任感、課題を解決する積極性、周囲とコミュニケーションを取りながら仕事を進める協調性、職場でのモラル・マナーなどが評価の対象です。

情意評価は数値などで定量化しづらいだけでなく、評価する側の主観が入りやすくなるので、それを防ぐために上司は部下の日ごろの行動をしっかりチェックしようとします。あいまいな基準で評価すると部下に不満を持たれる恐れがあるからです。このため、正当に評価されたい従業員は、「常に自分なりに誠実に仕事に取り組むこと」を心がけなくてはなりません。また、評価を受けた後に、評価方法について具体的かつ論理的な説明でコメントをしてもらえたかを確認することも大切です。

看護師の個人目標とは

看護師の人事評価に関わる個人目標とは、看護部が策定した目標や、自分が取り組むべき業務に基づいて個人単位で立てる目標のことです。

看護部が策定した目標を達成するために、実際の看護業務を担当するのが看護師個々の役割です。所属先で決められた目標を意識していなければ、チームとして目標が達成できなくなる恐れもあるでしょう。

そうならないために、各個人でも目標達成を意識してもらうために個人目標が求められるのです。個人目標が達成されることによって看護部全体の目標達成につながるため、病院側としても「看護のクオリティ向上のためには、個々の看護師たちの目標達成は重要である」と捉える傾向があります。

個人目標はなぜ立てる?

看護師が個人目標を立てるのは簡単ではないため、なぜ一人ひとり目標を立てる必要があるのかと疑問に思う方もいるでしょう。しかし、個人目標を立てることは看護師自身のためでもあるのです。そのメリットについて、看護師目線から説明していきましょう。

  • 適切な指導が受けられる
    目標を立てるときは先輩看護師から助言を受けたり、師長と面談を繰り返したりしながら策定していきます。その都度、目標を立てる理由や達成までの具体的な行動などを指導してもらえるため、先輩看護師や師長から学びながら的確に導いてもらえます。
  • 看護師全体のレベルが上がる
    看護師は日々業務に追われるため、目標を立てて行動しないと、毎日の忙しさに流されるだけで業務が終わってしまいます。勤務終了後や夜勤明けに勉強会があっても、仕事の疲れから進んで勉強しようという気持ちにはなりづらいものです。
    しかし、具体的な目標が定まっていれば、目標達成のために参加する意欲がわくでしょう。これは勉強会だけでなく、日々の業務でも同様です。看護師一人ひとりが目標達成に向かって努力するようになるので、看護師全体のレベルが上がります。
  • 目標を達成することで、やりがいを感じる
    自分が立てた目標を努力して達成することで、自分に自信が生まれ、確実に成長できている実感ややりがいが得られます。そうすればモチベーション向上にもつながり、その意欲は日々の仕事だけでなく、段階的に自分のキャリアアップに活かしていくことが可能です。

看護師が個人目標を立てるときのポイント

看護師にとっても有益な個人目標ですが、提出するたびに師長や先輩に訂正され、何度も再提出させられた経験がある看護師は少なくありません。では、どのような点に注意して個人目標を立てればよいのでしょうか。ここからはそのポイントを解説します。

半年~1年で達成できるような目標にする

個人で目標を立てる際、翌月までに達成しなければならないような短期間での目標を立ててしまうと、達成後は何を目指して取り組めばよいか見失いがちです。反対に、あまり長期間で設定しても成功が確認しづらくなります。

目安としては6ヶ月(半期)や1年(1期)などの節目に合わせ、短すぎず、長すぎないスパンで達成できるような目標を設定しましょう。期間内にじっくり取り組み、努力すれば達成できる目標を立てることが重要です。成功体験が蓄積され、モチベーションアップにもつなげやすくなります。例としては、主任へのキャリアアップを目指した6ヶ月研修を受けて研修後にその内容を現場に還元する、などです。

第三者が評価できる、明確な目標にする

新人看護師にありがちなのが「〇〇のために頑張る」「〇〇するために努力する」という目標設定です。「頑張る」や「努力する」は個人によって程度が異なるため、目標達成のための明確なラインがなく、達成できたのか判断不可能です。

元々看護師の仕事の目標は数値化が難しいという課題があるため、具体的な取り組み内容や昨年度と比較できる評価項目を設定するようにしましょう。「△△の疾患を学ぶために努力する」ではなく、「〇月までに△△の疾患について勉強する」「〇月までに勉強した内容をレポートにまとめる」といった具合です。「予防接種のお知らせを見直すことで、インフルエンザの罹患者数を昨年より〇〇人減らす」といった目標設定も有効です。

自分の段階にあった目標にする

新人や3~5年目の中堅看護師、ベテラン看護師、といった自分の段階(看護師歴)に応じた目標を立てていくことが大切です。自分のレベルに適さない目標は設定せず、無理なく達成できて身の丈に合う目標を立てるようにしましょう。自分の段階がわからない、目標設定がしづらい場合は「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」が参考になります。看護師の能力開発・評価システムの1つで、看護実践能力を段階的に表現しています。各レベルで期待される能力を記載し、到達度合いによって看護師の能力がわかる仕組みです。自分に不足している看護技術や知識が明確になり、目標設定に活かせます。

【年数別】個人目標の例文

看護師歴の年数別に個人目標を立てるポイントと例文を紹介します。1年目から5年目まで、ご自身の成長に応じた個人目標を立てる際の参考にされてください。

<1年目>

高い目標よりも看護師として独り立ちできることを意識します。

  • 日勤業務を独力でこなせる
  • 病院の組織や各部署の役割を理解し、説明できる

<2年目>

1年目に学んだことを確実に習得し、ミスなく安全に行えることを意識します。

  • 声出し、指差し確認をしながら安全で確実な看護を行える
  • 患者ひとり一人に合った看護ができる

<3年目>

通常の看護業務に加え、今後目指す看護師像を明確にします。

  • 日勤リーダーとしてチーム全体のことを常に考え、的確な判断と指示ができる
  • エビデンスを意識した看護を行える

<4年目>

自分のことだけでなく、後輩の育成を意識します。

  • 日勤、夜勤両方のチームリーダーとして自立できる
  • 後輩の看護教育に積極的に関わることができる

<5年目>

5年目からは病院全体の質的向上を考えた個人目標設定を意識します。

  • 目標とする看護師像を実現するため、資格取得や専門技術を習得する
  • 発生した問題を他職種の協力を得ながらスピーディに対処できる

まとめ

看護師の人事評価には企業などと同様に、一定期間における成果や目標への達成度を評価する業績(成果)評価があります。看護師の個人目標は、半年から1年で達成でき、自分の段階に合ったもので、なおかつ第三者が評価可能であるよう、具体性が求められます。ここで紹介した看護師歴別の個人目標を立てる際のポイントや、その例文を、ご自身のキャリアアップにぜひ役立ててください。

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