エクセルでおこなえる人事データ分析方法をご紹介

 2021.10.20  AJS株式会社

データ分析は、専用の分析ツールがないとできないと考えている方も多いでしょう。しかし、基本的なデータ分析は、エクセルを使って簡単におこなえます。この記事では、企業で人事データ分析の導入を検討している方へ、エクセルを用いておこなえる人事データ分析手法を解説します。また、エクセルでは難しいけれども人事データ分析に有用な手法も合わせて紹介します。

エクセルを使ってデータを分析する意味

人事データ分析は、社員の情報や適性検査、満足度調査などのデータを集計・分析し、企業の利益につなげることを目的としています。人事データ分析などの手法を用いない場合、採用や配置、給与などの人材マネジメントは担当者の勘や経験によっておこなわれがちであり、意思決定の明確な基準を設けることが困難です。統計的な根拠をもとにした意思決定を取り入れることで、効果的な人材マネジメントをおこなえ、業務効率の向上を見込めます。

人事データ分析を取り入れたいと考える企業は多いと思われますが、データ分析のための専用ツールを導入するためには費用がかかりますし、環境を整えるために時間もかかります。しかし、馴染み深いエクセルを活用できれば、人事データ分析のハードルは大きく下がるのではないでしょうか。

また、エクセルには、「分析ツール」という機能が備わっています。そのなかには19種類の分析手法が用意されており、複雑な計算式を入力しなくても簡単にデータ分析をおこなえます。データ分析に対して難しそうというイメージをもっている方でも、取りかかりやすいでしょう。

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エクセルでおこなえる人事データ分析方法

エクセルのデータ分析ツールは、データタブのなかにあります。そこで、分析方法と対象とする項目を選択するだけで操作は完了します。しかし、操作は簡単でも、選択肢にあるそれぞれの分析手法の意味や特徴をわかっていなければ、使いこなすことはできません。把握したい事項を調べるにはどの手法を使うべきか、エクセルの分析によって算出された値が意味することはなにか、などを適切に判断するために、分析手法の仕組みを理解することは重要です。

ここでは、エクセルのデータ分析ツールからおこなえる19種類の手法のうち、代表的な、回帰分析・重回帰分析・相関分析・t検定の4つを解説します。また、分析ツールのなかにはありませんが、シンプルな式の入力でおこなえるx二乗検定もあわせて紹介します。

回帰分析

回帰分析とは、結果と要因の関係性を調べる手法です。対象となる複数の数値どうしは、「影響を与えられる数値」と「影響を与える数値」という因果関係があることが特徴です。結果を目的変数、要因を説明変数と呼び、回帰式を導くことで、影響の検討や今後の変化予測などに活用します。目的変数yに対して説明変数xがひとつのときの回帰分析を「単回帰分析」と呼び、y=ax+b(aとbは定数)というシンプルな式で表せます。

たとえば、人事データ分析では、離職率と業務内容の満足度との検討などに利用できるでしょう。業務内容の満足度がある程度の水準を下回ると離職する可能性があるという仮説を立てられるため、その水準に近い社員のフォローアップをおこなうなどの対策に役立ちます。

重回帰分析

先述した単回帰分析の説明変数はひとつでしたが、目的変数yに対して説明変数xが複数あるときには、重回帰分析と呼びます。y=ax1+bx2+cx3+……+dxn+eという回帰式で表せ、単回帰分析の式よりも複雑にはなりますが、その分実用的です。目的変数に対し、どの説明変数がより大きな影響を与えているかについて、aからdまでの係数の大きさで比べられます。

再び離職率を例にすると、業務内容や業務量、上司への満足度や残業時間などの考えうる要因を点数化し、重回帰分析をおこなうと、どの項目がどの程度、離職率に影響を与えているのかを比較できます。それにより、離職率を下げるためには、どの説明変数にアプローチすれば効率的であるのかがわかります。

相関分析

回帰分析が因果関係という一方向の関係性をもつ数値を分析する手法であったのに対し、相関分析は、複数の数値における互いの関係性の強さを調べる手法です。因果関係ではないため、一方の数値を上げればもう一方の数値も上がる、という関係性を表しているわけではないことに注意が必要です。

たとえば、業務内容の満足度と業務量の適正度、残業時間の3つの要素について、相関分析をおこなったとします。一見すると、業務量の適正度の低さと、残業時間の多さは相関関係がありそうです。しかし、業務内容の満足度の高さと業務量の適正度の高さも、同程度相関関係が強いという分析結果が得られた場合、業務改善アプローチの仮説を立てる際に視野が広がります。

t検定

t検定とは、同じ項目であり、連続している2つの平均値の違いが誤差なのか、意味のある差(有意な差)なのかを、統計的に数値化する手法で、「仮説検定」のひとつです。どの程度その差が偶然発生しうるかというp値が算出され、任意の値(0.05とすることが多い)を下回れば、有意な差であると判断します。エクセルでは、t検定を3つの種類から選びます。「比較する2つの調査の対象が同じかどうか」「分散値(データのばらつき度合い)が同程度かどうか」などで、選択すべきものが変わります。どの種類で分析するかによってp値が変わるので、前提条件を整理してから分析することが大切です。

一例として、業務改善をおこなった後、その効果を確認するために社員の残業時間を調査するケースを挙げて説明します。業務改善前の全社員の年平均残業時間は70時間だったのに対し、改善後は65時間になったとします。このケースでは時間数が減っていますが、「これは誤差ではなく、有意な差であるといえるのか」といった判断をしたいときに利用できるのがt検定なのです。

x二乗検定

エクセルのタブから選択はできませんが、人事データ分析で便利な手法のひとつに、x(カイ)二乗検定があります。「CHISQ.TEST([実測値の範囲],[期待値の範囲])」という関数をセルに入力して、実測値と期待値を比較することで、その実測の結果がどの程度偶然起こりうるかというp値を算出します。t検定と同じ「仮説検定」のひとつで、p値が任意の値(0.05とすることが多い)を下回れば、偶然起こる確率は低いと考えられるため、ふたつのデータには関連があると判断できます。

分析対象は、連続データではなく、カテゴリーごとに集計された2つのデータです。エクセルを用いる場合は、データの範囲を関数に代入するため、データをクロス集計表にまとめるとわかりやすいでしょう。クロス集計表は、ピポットテーブル機能を活用すると簡単に作成できます。

活用例としては、役職に就いている社員について、性別が関連しているかどうかを分析したいときなどに使えます。この場合は、p値が任意の値よりも小さければ、偶然起こる確率が低く、性別が昇格に影響を与えていると解釈できます。

参考:エクセルでは難しいが人事データ分析に使える方法

エクセルの分析ツールには基本的な手法がそろっていますが、ほかにも人事データ分析に便利な分析手法があります。たとえば、主成分分析、因子分析、クラスター分析などは、分析ツールには含まれておらず、x二乗検定のようなシンプルな関数でも表せません。これらは、エクセルでは簡単にはおこなえませんが(プログラミングなどの知識があれば可能)、参考情報として概要を紹介します。

主成分分析

主成分分析とは、数多くある変数を、1~3程度まで少なく集約し、データの解釈やそのあとの分析をしやすくする手法です。人事データは社員数と評価項目数に応じて、膨大な量になることもあるため、簡単にデータ分析をするためには、まず扱う項目を整理し、見通しをよくする必要があります。身近でわかりやすい例は、身長と体重のふたつの変数をひとつの指標に置き換えているBMIでしょう。

集約して合成された変数のことを「主成分」と呼び、主成分1、主成分2などと表示されて算出されます。それぞれなにを意味するものなのかは示されないため、もとの項目や該当する社員の分布を見て、担当者が考察しなければなりません。そのため、集約のされ方から、どのような側面に切り分けられるデータ群なのかを再発見することもあるでしょう。

因子分析

因子分析とは、複数の項目に影響を与える因子(共通因子)が存在すると仮定し、どの項目が、同じ因子に影響を与えられているかを判断する手法です。主成分分析と同様に、共通因子は、因子1、因子2などと表示されます。具体的になにを示すのかは、影響を与える項目や、算出される影響力の大きさなどから、担当者が考察することになります。

たとえば、組織風土の改善にあたり、現状を把握するためにアンケートを取ったとします。「忙しくても周りに助けを求めづらい」「上司がいつも忙しそうにしている」「隣の席の同僚がなにをしているのか把握していない」などの具体的な項目を、10段階評価で調査したとしましょう。調査結果を社内報告などするとき、注目すべき項目を具体的に挙げても問題はありません。しかし、因子分析でこの3つが共通因子をもつという結果が得られたとき「情報共有やコミュニケーションが不足している」などと総括できれば、わかりやすく説明できます。

クラスター分析

クラスター分析とは、それぞれ異なる性質をもつ集団を、類似度によっていくつかのクラスターに分類する手法です。性別や勤続年数など分類基準がわかっているときではなく、どのような基準で分類すればいいのかわからないときに用いられます。アルゴリズムを与えて分類させるわけではないため、教師なし学習と呼ばれます。クラスター分析をする際は、分類数をあらかじめ指定する必要があります。そのため、分類数を変更して試しながら、クラスターの特性を解釈し、目的に対してもっとも有意な分類を判断しなければなりません。

社員の適性検査データをクラスター分析し、社員を分類することで、効果的な人事異動などに役立てられます。

まとめ

人事データ分析は、人材マネジメントの意思決定や業務の効率化に有用な手段です。しかし、すぐには本格的なデータ分析ツールの導入に踏み切れないという企業も少なくないでしょう。

専用ツールがなくても、多くの企業で利用されているエクセルに多くの分析ツールが備わっています。人事データ分析に興味があり、手軽におこないたい、本格的なツール導入の検討のために、まずは試してみたいという方は、エクセルの分析ツールを活用してみてはいかがでしょうか。

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