1on1ミーティングとは?
注目される背景や期待できる効果

 2024.11.18  AJS株式会社

近年、定期的に上司と部下がマンツーマンで面談する「1on1ミーティング」を行う企業が増えています。なぜ、多くの企業で導入が進んでいるのでしょうか。本記事では、1on1ミーティングの概要をはじめ、注目されている背景や期待できる効果、注意点などについて解説します。

1on1ミーティングとは? 注目される背景や期待できる効果

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1on1ミーティングとは?

1on1ミーティングとは、定期的に上司と部下がマンツーマンで面談(対話)することで、「1on1」と略されることもあります。1on1ミーティングの目的は、対話を通じて部下の自主性やモチベーションの向上を促し、さらに上司と部下の信頼関係を築き上げることです。

実施方法は企業ごとに異なりますが、1回約30分の面談で、週に1回~月に1回程度、定期的に行うなど、短時間の面談を頻回に行うことが特徴です。

1on1ミーティングが注目される背景

1on1ミーティングが求められる背景には、「VUCA(ブーカ)」という時代背景が関係しています。「VUCA(ブーカ)」とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった造語で、急速な変化で未来予想が難しくなった現代のビジネス環境を表しています。

「VUCA時代」とも言われている現代では、リモートワークの普及、副業の解禁など、働き方が多様化しています。また、働き方が複雑化したことで、質の高いコミュニケーションも求められます。

高いコミュニケーション能力を持つ人材を育てる方法として活用が広まったのが、1on1ミーティングです。1on1ミーティングは、従業員の主体性や創造性を高め、時代の流れに柔軟に対応できる人材を育てることが期待されます。さらに上司と部下の信頼関係が築かれることで、質の高いコミュニケーションを図ることができ、業務を円滑に進められる環境を整えられることからも、その必要性が高まっています。

1on1ミーティングと人事評価面談との違い

企業で実施される上司と部下のマンツーマンの面談と言えば、「人事評価面談」を思い浮かべる方も少なくないでしょう。しかし、1on1ミーティングと人事評価面談では、主体者や話す内容、目的、実施頻度に大きな違いがあります。

【1on1ミーティング】
主に部下が話し、上司は聴く立場です。上司は聞き役に徹し、なるべく部下が話しやすい空気を作りましょう。話す内容は、業務に関することからプライベートの悩みまでとくに制限せず、様々な話題を共有することで信頼関係を築き、コミュニケーションを円滑にすることで、無理なく部下のモチベーションや自主性に働きかけることができます。

【人事評価面談】
一定期間における部下の業務内容・業務に対する成果が会話の中心であり、場合によっては指導の場ともなりうる点が1on1と大きく異なる点です。上司から部下へのコミュニケーションが多く、会話は一方的になりがちです。部下にとってはストレスのかかる場になるケースもあります。実施頻度は、半年~1年に1回程度で、1回の面談に1時間以上かかることも多いです。

人事評価について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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1on1ミーティングに期待できる効果

正しく1on1ミーティングを実施することで、以下の3つのメリットが期待できます。

部下の自発的な成長を促進する

1on1ミーティングでは、部下が業務に関する課題やプライベートな悩みなどについて話し、上司はそれを聞き取り、アドバイスやサポートを行います。このような対話を定期的に繰り返すことで、部下は自分の考えを整理でき、問題に取り組む力が養われます。さらに自分の適性や成長、スキルに気付くきっかけになることもメリットのひとつです。自らの成長を感じ、達成感を得ることは、パフォーマンスの向上に寄与します。また、1on1ミーティングで上司に意見を聞いてもらい、認められることは、部下のモチベーションアップにつながり、生産性の向上も見込めます。

部下との信頼関係を構築する

部下と上司の間には、一般的には一定の距離があるものですが、1on1ミーティングでは、一方的な上司からの指導ではなく、対話形式で会話をするため、お互いについての理解を深めることができます。上司と部下の信頼関係がしっかり構築できれば、組織力の強化にもつながり、業務がさらに円滑に遂行されるでしょう。信頼関係が構築できれば、部下の心理的安全性を高める効果も期待できます。

部下の離職を抑止する

1on1ミーティングは、部下の離職抑止にも効果があります。仕事をするうえで、悩みや不安を抱えている方は多く、誰にも相談できないまま、離職を決意する方も少なくありません。しかし、1on1ミーティングで上司が部下の悩みや不安を早い段階で察知し、サポートできれば、離職するリスクを低減できます。定期的に行う1on1ミーティングなら、部下の変化にも気が付きやすく、状況の悪化を早い段階で防げるでしょう。

1on1ミーティングの注意点

1on1ミーティングを実施する際は、以下の点に注意を払う必要があります。

時間がかかることに否定的な見方をされないようにする

繁忙期と重なれば、部下から「1on1ミーティングは意味がない」「やめてほしい」と否定的な意見が出る可能性もあります。1on1ミーティングの意味を部下にも理解してもらい、これは必要な時間なのだとわかってもらえるように注意しましょう。

部下の予定や部署の忙しさを考慮して予定を調整することも大切です。部下の状況に合わせて時間を短くしたり、日時や場所の管理がしやすい管理ツールを使用したり、Webで行ったりなど、臨機応変に実施して、効率化を図りましょう。

部下が本音を言いづらい

1on1ミーティングでは、人間関係などの問題から、部下が本音を言いづらいということも少なくありません。このような場合には、部下がリラックスして話せるような環境づくりが大切です。たとえば、緊張しやすい広すぎる会議室は避けたり、オンラインで実施するなども手段の1つです。

また、「この上司であれば話せる」と思ってもらえるように上司は部下の話にしっかり耳を傾ける、部下の悩みや不安に対してポジティブなフィードバックを行うなど、部下の本音を引き出すための工夫をし、信頼関係を築き上げることも重要です。1on1が逆効果にならないためにも、早い段階で上司向けの研修などを実施するのもよいでしょう。

1on1ミーティングの進め方

1on1ミーティングを実施する前にまず、実施する目的や意義を1on1ミーティングの関係者全員に伝え、理解を深めましょう。部下はもちろん、1on1ミーティングを行う上司とも目的や意義を共有できたら、実施スケジュールを決めます。スケジュールは面談の都度決めるのではなく、定期的なスケジュールを設定し、日時を変更する際のルールもあらかじめ決めておくとよいでしょう。そして普段から部下の様子に気を配るようにして、話す内容や質問項目を考えます。

面談時は、ポジティブなフィードバックのあとには、さらなる改善点の話をしたり、次のステップやキャリアの目標などについて話をしたりするのがポイントです。成長や今後の話をすることで、部下が自らの話題について話しやすくなります。これらの対話内容は、いつでも振り返られるように必ず記録に残しましょう。円滑な1on1ミーティングを行うためにも、面談内容を管理・共有しやすいツールを使うのもよいでしょう。

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AJS株式会社の「P-TH (ピース)/ P-TH+(ピースプラス)」は、あらゆる企業で利用可能な人事評価システムです。既存のワークフローやExcelの評価シートを変更せずに、評価制度と評価シートを直接システム化できます。詳細な従業員データを一元管理することが可能です。オンプレミス版の「P-TH」とクラウド版の「P-TH+」があり、システムを選択できます。

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まとめ

1on1ミーティングは、対話を通じて部下の人材育成やモチベーションアップが期待でき、上司と部下の信頼関係を深めることで、部下の離職防止や生産性の向上が見込めます。ただし、部下の人数が多いと時間がかかり、目的が十分に理解(共有)されていないと、失敗に終わるリスクもあります。
そのため、1on1ミーティングの導入を検討中の場合は、実施する目的を従業員にわかりやすく伝え、1on1ミーティング研修を実施するなどして、1on1ミーティングを成功させましょう。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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