エンゲージメント向上につながる事例や施策とは?

 2021.06.18  AJS株式会社

離職率を下げるための施策にはさまざまなものがありますが、そのひとつが「エンゲージメントの向上」です。エンゲージマネジメントができれば、社員と企業の信頼関係は強まり、社員のモチベーション向上や優秀な人材確保につながります。当記事では、エンゲージメント向上につながる事例や施策についてご紹介します。

エンゲージメント向上によりもたらされること

そもそも「エンゲージメント」とは、社員が自分の所属する組織や仕事に愛着を持ち、前向きに働こうとする意欲のことです。すなわち「エンゲージメントマネジメント」とは、企業が社員のエンゲージメントの高さを重視し、個々が愛社精神を持って働けるように経営することを指します。

エンゲージメントマネジメントを取り入れて、社員の愛着や意欲を高めると、労働生産性がアップし、業績が向上しやすくなります。社員が会社の課題・目標を「自分の問題」と捉え、前向きに解決しようとするからです。一人ひとりが積極的に行動することで、製品やサービスの質が向上し、それを受けて消費者の満足度が上がり、製品やサービスの利用者が増えて業績もアップする、という好循環が生まれるのです。

またエンゲージメントの向上には、離職率の低下をもたらす効果も確認されています。会社に愛着心を持つ社員は、すぐに仕事を辞めようとは思いません。会社と従業員の結びつきが強いほど、「ここが自分の職場だ」「ここでなら十分成長できる」と感じ、長期的に働く意欲が増進します。

エンゲージメント向上のポイント

では、エンゲージメントを向上させるには、具体的にどのようなことをしたらよいのでしょうか。ここからは、エンゲージメント向上のポイントを3つに分けて解説します。

現状把握を行う

まず、従業員エンゲージメントを下げている社内の問題点を見つけるために、現状分析が必要です。この測定方法としてよく実施されているのが、社員が回答するアンケート調査です。

個人の特定ができない方法でアンケートを行えば、社員は率直な意見を述べやすくなります。匿名制にするだけでなく、場合によっては年齢・役職などの欄を設けずに実施するのもよいでしょう。労働環境や休暇制度、福利厚生など、従業員がどのような点に不満を抱いているかを知ることが大切です。

組織の良くない習慣を見直す

2つ目のポイントは、エンゲージメント向上の妨げとなっている要因を取り除くことです。そのためには、組織内の習慣を見直すことです。伝統のように受け継がれているルールや暗黙の了解など、会社にとっては当たり前のことでも、従業員にとってはやる気を削ぐ原因となっているかもしれません。

例えば、定時を過ぎても上司より早く帰りにくい雰囲気や、パターン化していて生産性の低い定例会議などが挙げられます。残業の強要や、成果ではなく年功序列を重視する給与体系なども、見直しの必要もあるでしょう。今の時代にそぐわないこのような風土は、エンゲージメント向上を妨げやすいため、本当に必要かどうか、変更の余地はないかなどじっくり検討してみることが大切です。

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社員に「生産性よりも長時間労働が重視されている」「ここで能力を伸ばしても仕方がない」などと思わせてしまう要素を見つけたなら、積極的に策を講じて改善を図りましょう。「仕事がどうしても定時までに終わらず、残業が習慣になっているなら人員を増やす」「毎月の定例会議の頻度を減らして、重要な題目のみ扱うようにする」などの改善策を講じれば、職場をいっそう働きやすい環境に変革できます。

従業員のモチベーション要因を探す

3つ目のポイントは、従業員のモチベーションとなっているポジティブなポイントを探し、そのポイントを引き上げることです。そのためには、会社目線ではなく従業員の目線にスイッチし、そこから物事を見る必要があります。

ここで覚えておきたいのは、人によってモチベーションを刺激されるポイントは異なるということです。「何よりも給与額が大事」という人もいれば、「給料はそれほど高くなくてもいいから、希望通りに休暇を取得したい」という人もいます。働き方に関しても、自分の経験やスキルを活かせるかどうか、在宅勤務やテレワークといった新しい働き方ができるかどうかなど、モチベーション向上のポイントは人それぞれです。

そのため、より多くの社員からモチベーションを引き出すためには、固定観念にとらわれず、幅広い視点からポジティブな要素を探すことが大切です。モチベーションを上げるポイントを見つけたなら、それをさらに強化して、従業員エンゲージメントの向上を目指しましょう。

エンゲージメント向上につながった施策事例

エンゲージメント向上を目指すうえで参考になるのが、実際に成功した企業の事例です。以下では3つの実例を取り上げますので、各企業が抱えていた課題と、どのような施策により状況を改善できたのかに注目しながら見てみましょう。

従業員の健康や安全に最注力して働きやすい環境を提供

1つ目の事例は、建設機械の製造に携わる某メーカーです。インフラ整備や災害復興支援などに欠かせない建設機械では、現場利用における安全性の確保がきわめて重要です。またCO2排出や気候変動に伴う環境の変動、省エネルギー化の促進など、多くの状況変容に応えた商品を製造・提供することが、恒常の課題となっていました。

この重大な責務を果たすためには、まず職場や家庭における安全と、従業員一人ひとりの心身の健康が不可欠と考え、このメーカーはこれを自社グループ全体の優先課題に設定します。そして「安全・安心で、能力を最大限に発揮できる職場」の提供を目指して、人事制度改革を実施し、教育研修体系も充実させました。従業員が各分野のプロフェッショナルとして活躍し、長く働けるよう職場環境を整えたのです。

さらに育児支援や介護支援を行い、休暇制度も充実させ、労働時間や勤務場所にも柔軟性を持たせました。その結果、従業員エンゲージメントは大幅に向上し、工場でのパフォーマンスアップが実現しています。

脱マニュアル!育成制度でエンゲージメントが向上

2つ目の例は、アメリカ発で日本でも全国展開している有名な某コーヒーショップです。チェーン展開をする店舗では、接客方法に詳細なマニュアルがあるのが一般的です。しかし、臨機応変な対応が必要となる接客業では、マニュアルではカバーできない状況が発生することもしばしばあります。

そこで、このコーヒーチェーンではマニュアルをほぼなくし、スタッフがその場で考え、店舗やお客様のため自発的に行動できるようにしました。これにより、意欲の高いスタッフにはますます成長し、責任感を持って行動できる機会が与えられています。

さらに、優れた人材を育てるために、本場アメリカの店舗では大学修了計画と名のつく制度が導入されています。これは、対象となるスタッフがアリゾナ州立大学の講座を無料オンラインで受けられる、というユニークなものです。「人」こそが最大の資産であり、企業の成功に欠かせないと考えたこのコーヒーチェーンの、スタッフに対する期待や要望がよく表れた制度と言えるでしょう。こうした施策は、スタッフの会社に対する愛着心や忠誠心を高めるのに役立っています。

人事評価の見える化!従業員のモチベーション向上

3つ目の事例は、地域密着型の高齢者向け福祉施設を運営している、弊社顧客の千種会様です。福祉施設においては、介護スキルはもちろんのこと、利用者に優しく接することができる「人間力」が重視されます。人事制度を見直して職員を正しく評価できれば、人間力を強化するとともに、モチベーションを向上させて人材の定着も図れます。

これまではExcelシートとUSBメモリを使った人事評価が行われていましたが、作業負担が大きいうえ、USBメモリを今誰が持っているのか、作業がどこまで進捗しているのかなどを把握しづらいという問題がありました。

そこで導入されたのが、Excelシートをそのまま使いながらアプリで管理できる人事考課システムP-THです。このシステムの導入により、各職員の目標や評価の登録、データの集計などが簡単にできるようになりました。Excelファイルの管理に取られていた時間を本来の業務に充てられるようになり、職員一人ひとりに合ったキャリアプランを考える余裕も生まれています。定期的に行う施設長との座談会や面談も内容が充実したものとなり、人材を適切な場所に配置したり、職員のキャリアアップ意識を高めたりするうえで役立っています。

まとめ

従業員が高いモチベーションを持って前向きに働けるようにするには、エンゲージメントを向上させることが欠かせません。今回ご紹介したエンゲージメント向上のポイントや、成功した企業の事例などを参考に、自社のエンゲージメントを高める施策について検討してみましょう。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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