エンゲージメントを高めるにはどうするべき? 具体的な方法や気を付けたいこと

 2021.02.09  AJS株式会社

少子高齢化や人口の減少によって人材不足が深刻化している昨今、離職率を下げ定着率を上げる方法として、エンゲージメントという概念の重要性が認知されるようになりました。そこで今回は、日本でもIT企業などを中心に経営指標として採用されているエンゲージメントについて詳しく解説します。

エンゲージメントを高めることで会社の業績向上につながる

近年、様々な企業でエンゲージメントを高めるための取り組みが進んでいます。エンゲージメントとは、愛着や思い入れを表す概念であり、経営指標においては従業員が雇用されている会社に対して、どれだけ熱意を持って働き、どれだけ貢献したいと考えているかを表す指標です。

Appleやスターバックスなど、世界的優良企業が重視している経営指標でもあり、エンゲージメントが高い組織は生産性や収益性が向上し、離職率が下がり、従業員一人ひとりが、自身と企業の成長に向けて意欲的に仕事に取り組むという特長があります。このような、企業と従業員の信頼関係を重視した経営方針をエンゲージメント経営と呼びます。

エンゲージメントを高めるための方法

エンゲージメントを高めることは、従業員のモチベーションと労働生産性を最大化することに繋がります。では一体どのようにしてエンゲージメントを高めていけばよいのでしょうか。ここではエンゲージメントを高めるための方法について具体的に見ていきます。

企業と個人のビジョン・目標の共有

企業が掲げるビジョンや目標を全員で共有することは、エンゲージメントを高める上で欠かせない重要な要素です。「人はパンのみに生きるにあらず」という言葉があるように、人が働く理由はただ賃金を得るためだけではありません。とくに日本は衣食住が満たされた豊かな国なので、多くの人々が仕事にやりがいや自己実現を求めています。企業と従業員がビジョンや目標、理念を共有して同じ方向に進むことで、エンゲージメントを最大化できるでしょう。

ワークライフバランスの推進

日本では古くからサービス残業や休日返上で働くことが美徳とされてきました。しかし、長時間労働による過労死やパワーハラスメントなどが社会問題となり、労働の在り方が見直されています。

これからの時代は従業員の働き方や、人材の多様性を踏まえた柔軟な労働環境を整える必要があります。「残業をゼロにする」「福利厚生を充実させる」「休暇を取りやすい環境を整備する」など、ワークライフバランスを整え、従業員一人ひとりを大切にする企業風土が求められます。

社内コミュニケーションの活性化

企業で働く場合、職場の人間関係は非常に重要な要素です。社内の円滑なコミュニケーションはエンゲージメントを高めるための必須事項です。上司と部下がコミュニケーションを取りやすい環境を整えることで、従業員は安心して自分の意見を言え、会社への忠誠心も高まります。コミュニケーション不足は業務を滞らせ、生産性の低下を招くだけでなく、従業員同士の信頼関係も損ないます。オープンなコミュニケーションが取れるような社内風土を整える必要があるでしょう。

積極的なキャリアアップ支援

従業員の成長をサポートし、キャリアアップ支援を充実させることはエンゲージメントの向上に繋がります。「この企業で働くことは自己成長に繋がる」と従業員が自覚することでモチベーションが高まり、企業へのさらなる貢献も期待できます。また、従業員の成長は、そのまま企業の成長率へと転換されます。優秀な人材を育てる制度を整えることは、企業の組織力を高めることそのものでもあるのです。

エンゲージメント向上の妨げになる要因

エンゲージメントの向上は単なる人事施策ではなく、経営の根幹に据えるべき重要な課題です。最も危険視すべきは古い制度や過去の常識に囚われて、従業員の熱意や意欲を削ぎ、パフォーマンスを低下させることです。

たとえば、「時代に合わない制度や風土」、「トップダウン型の管理方式」などは、エンゲージメントを低下させる大きな要因となりえます。

時代に合わない制度や風土

これまでは、多くの人々が会社のために自身を犠牲にして働いていました。しかし、そういった時代は終焉を向かえ、古い体質の企業はこれから淘汰されていく時代となりつつあります。なぜなら、そのような企業は優秀な人材がどんどん流出していき、人材不足の企業は従業員にさらなる過酷な労働を強いることでしか利益を上げることができなくなるからです。その結果、さらに離職率が高まるという悪循環に陥ると予想されます。

生産性のない会議も優秀な従業員のエンゲージメントが低下する要因です。会議の生産性を高めるためには、事前の情報共有、明確な目的と議題、ゴール設定、ファシリテーターなどが必要です。そのようなことをせず会議を開いても、長時間の不毛な討論や意見交換だけで終わってしまい、結局何の決定もできずに終わってしまうことになりかねません。全員の貴重な時間を奪うだけの会議は生産性が上がらないのはもちろん、職場の士気低下による人材損失の危険性も生み出してしまいます。

年功序列のような古い制度もエンゲージメントを低下させる要因です。企業に長年勤務してきたという事実は尊重されるべきですが、従業員が真に問われるのは、企業にどれだけ貢献したのかという業績であり、何年勤めたかどうかは本来関係ありません。こうした古い制度や価値観は、意識の高い若年者の労働意欲低下を招く原因となるでしょう。

トップダウン型の管理方式

ワンマン経営の企業や、部下に一切の裁量がないトップダウン型の管理方式を採用している企業は、従業員のエンゲージメントが低い傾向にあります。従業員は自分の意見を発する機会がないため自発性が育たず、やりがいをもって働くことができません。

トップダウン経営は基本的に組織のリーダー、もしくは一人の責任者が判断を下すため、意思決定にかかる時間が短く、スピーディな経営が行えるのがメリットです。しかし、一方で仕事に情熱をもって取り組むエンゲージメントの高い従業員を育成するのは困難です。

優秀な人材は自分の現状に甘んじることなく率先して行動し、常に自分のスキルを磨こうとしています。そんな人材を埋もれさせないためにも、従業員の自発性を高める仕組み作りや、現場の声を尊重して汲み上げるボトムアップ型の管理方式を取り入れるなど、なんらかの改善が必要でしょう。

まとめ

日本でエンゲージメント経営が注目されるようになったのは、深刻な人材不足によるものです。少子高齢化や人口の減少に伴い、日本企業は今後ますます人材不足に陥ると予測されます。

優秀な人材の確保は、企業がより大きく成長していくために欠かせない重要な要素です。エンゲージメントを高め、企業と従業員双方に強い信頼関係が結ばれることで、優秀な人材の流出を防げます。

また、エンゲージメントという概念を経営指標に取り入れることで、企業の業績向上と同時に、従業員が生き生きと働き続けられる職場環境の実現を目指せるでしょう。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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