ラーニングアジリティとは?
経験から学び、未知の状況に活かすスキルの育て方

 2026.10.07  AJS株式会社

ラーニングアジリティ1

近年、テクノロジーの進化や市場環境の変化のスピードが増す中、「ラーニングアジリティ」という言葉が注目を集めています。

一方で、「ラーニングアジリティとは具体的にどのようなスキルなのか分からない」「どうすれば社員のラーニングアジリティを高められるのか」といった疑問を抱える上司や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。

そこで、こちらの記事では、ラーニングアジリティの意味や注目されている背景、ラーニングアジリティを高めるための具体的な方法まで、くわしく解説します。

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 ラーニングアジリティとは 

ラーニングアジリティ(Learning Agility)とは、過去の経験にとらわれず、新しい環境や未知の課題からすばやく学び、初めて直面する状況でも柔軟に適応して成果を出す意欲・能力のことを指します。

つまり、過去に得た知識や成功パターンをどれだけ持っているかではなく、未経験の課題に直面したときに、どれだけ早く本質をつかみ、行動に移せるかが問われる能力です。

 ラーニング・アジリティを構成する「5つの要素」 

ラーニングアジリティは、単一の能力ではなく、複数の異なる要素が組み合わさって発揮されるものです。

ラーニングアジリティの捉え方にはいくつかのモデルがありますが、代表的なモデルの一つであるKorn Ferry(コーン・フェリー)社のモデルでは、次の5つの要素で構成されるとされています。

  1. 自己認識(Self-Awareness):
    自分の強みや弱みを客観的に理解し、失敗から教訓を得る力
  2. 思考のアジリティ(Mental Agility):
    複雑な問題の本質を見抜き、多角的な視点で考える力
  3. 対人のアジリティ(People Agility):
    多様な人々とオープンにコミュニケーションを取り、建設的な関係を築く力
  4. 変化のアジリティ(Change Agility):
    前例のない変化を楽しみ、新しい挑戦に好奇心を持つ力
  5. 結果のアジリティ(Results Agility):
    プレッシャーの中でも周囲を巻き込み、確実に成果を出す力

ラーニングアジリティが高い人は、これら5つの要素を「スキルとして身につけている」というよりも、日々の意思決定や行動の中で自然に発揮していると考えられています。

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 ラーニングアジリティが人材育成で注目される背景  

テクノロジーの進化や市場環境の変化により、現在の専門知識や過去の成功体験だけでは、新たな課題に対応しにくくなっています。

こうした変化の激しいVUCA時代を背景に、ラーニングアジリティが注目されています。

加えて、ビジネスにおいてAIの活用が急速に広がりつつある今の社会では、『学び続ける力』そのものが競争力となります。

過去の成功体験に固執せず、古い知識ややり方を自ら手放して思考をアップデートし続ける『アンラーニング(学習棄却)』の習慣化が、次世代リーダーの育成には欠かせません。

こうした背景から、ラーニングアジリティは、単なる学習意欲の高さや知識量の多さとは異なる概念として捉えられています。

人材育成の観点でも、変化に強い次世代リーダーやマネジメント人材を育てるうえで、ラーニングアジリティの高い人材をどう見極め、育成していくかが重要なテーマとなっています。

 本人のラーニングアジリティを高める方法 

ラーニングアジリティ2

ラーニングアジリティは、生まれ持った資質だけで決まるものではなく、日々の業務経験や周囲との関わり方によって後天的に伸ばすことができるとされています。

ここではまず、社員本人が取り組むことで、ラーニングアジリティを高めていくための方法をご紹介します。

 タフアサインメントを増やす 

ラーニングアジリティは、新しい知識を学ぶだけでは身につきません。
失敗を恐れて同じ仕事ばかりに取り組んでいても、学習の機会そのものが生まれないためです。

そこで有効なのが、少し難易度の高い仕事や、これまで経験したことのない業務に挑戦する「タフアサインメント」です

たとえば、異部署とのプロジェクトへの参加や新規事業の立ち上げ、リーダー経験などが挙げられます。

ただし、単に難しい仕事に挑戦するだけでは、負荷が大きすぎてかえって新しいことに取り組みにくくなることもあります。

ここで重要なのは、経験して終わりにせず、「経験する→振り返る→学ぶ→次の状況で試す」というサイクルを回すことです。

一つの経験から得た気づきを次の場面で意識的に試してみることで、経験が着実に力として定着していきます。

 フィードバックを受けて内省する 

経験を積むだけでラーニングアジリティは十分に高まることはなく、その経験から“何を学び”“次の行動にどう活かすか”が重要です。

そのためには、上司や同僚からの定期的なフィードバックを受け止め、内省する姿勢が欠かせません。

成果だけでなく、『どのような行動が良かったのか』『改善すべき点は何か』を具体的なフィードバックとして受け取ることで、客観的に自分を振り返ることができます。

また、一方的に評価を受け止めるだけでなく、対話を通じて自らの気づきを深めていくことも大切です。

1on1ミーティングなどの場を活用し、継続的にフィードバックを受け止めることで、内省する習慣が定着していきます。

こまめにフィードバックを受け取ることで、振り返りやすくなり、次の行動にもつながりやすくなります。

 振り返り(リフレクション)を習慣化する 

ラーニングアジリティを高めるためには、「経験すること」と同じくらい「経験を振り返ること」が重要です。

プロジェクト終了後や目標達成後に、『うまくいった理由』『課題だった点』『次回はどう改善するか』を整理することで、経験が知識として蓄積されていきます。

たとえば、日報や週次の振り返り、プロジェクトレビューなどを取り入れ、学びを言語化する機会を持つと効果的です。

リフレクションを繰り返すことで、新しい環境でも過去の経験を応用しやすくなり、変化への対応力が向上します。

また、一人で振り返るだけでなく、チームで一緒に振り返る機会を持つのも良いでしょう。

自分では気づけなかった視点を得られるため、より多角的に経験を捉え直すことができます。

 部下の成長を後押しする、上司の関わり方 

ラーニングアジリティは本人の意識だけでなく、上司や人事担当者がどのような環境をつくるかによっても大きく左右されます。

ここからは、上司・人事担当者が社員のラーニングアジリティを高める方法をご紹介します。

 挑戦できる機会をつくる 

上司や人事担当者には、本人の現在の能力よりも一段高いレベルの業務を計画的に任せる役割が求められます。

どのような業務であれば挑戦の機会になり、かつ過度な負荷にならないかを見極め、成長段階に合ったタフアサインメントを用意することが重要です。

任せきりにせず、フォローできる体制を整えておくことで、部下は安心して挑戦できるようになります。

 失敗から学べる環境をつくる 

挑戦には失敗がつきものですが、失敗を経験して終わらせず、そこから学びを得られるかどうかが大切です。

上司には、部下が失敗や課題を振り返り、次の行動に活かせるよう支援する役割があります。

一方的に評価を伝えるのではなく、対話を通じて部下自身の気づきを引き出し、1on1ミーティングなどで継続的にフィードバックを行うことが重要です。

「なぜうまくいかなかったのか」「次に同じような状況になったらどうするか」を一緒に振り返ることで、経験から学びを得て、次の行動へとつなげやすくなります。 

 心理的安全性を高める  

ラーニングアジリティは、個人の資質だけでなく、組織文化にも大きく左右されます。

たとえば、失敗を過度に責める職場や組織では、新しいことに挑戦しようとする社員は減ってしまいます。

反対に、挑戦や失敗を学びの機会として受け入れる組織では、社員は安心して新しい業務に取り組むことができます。

上司が率先して失敗談を共有したり、部下の挑戦したプロセスを人事担当者が評価したりすることで、心理的安全性の高い環境をつくることができるでしょう。

社員一人ひとりが積極的に学び、挑戦できる文化を醸成することで、本人はもちろん、組織全体のラーニングアジリティ向上につながります。

 ラーニングアジリティを組織全体で高めるために。
人事評価システム「P-TH/P-TH+」 

ラーニングアジリティは、個人の努力だけで身につくものではなく、組織全体で学びを支える仕組みをつくることが欠かせません。

たとえば、挑戦する姿勢や成長プロセスそのものを評価制度に組み込むことで、「失敗を恐れず挑戦する文化」を醸成できます。

また、定期的な1on1ミーティングを実施し、上司がフィードバックを行うとともに、社員自身が経験を振り返る機会を設けることも効果的です。

そこでおすすめなのが、慣れ親しんだExcelの評価シートをそのままシステム化できる人事評価システム「P-TH/P-TH+(ピース/ピースプラス)」。

評価プロセスの進捗管理や集計の自動化を通じて評価者の運用負荷を抑えながら、社員一人ひとりの挑戦する姿勢や成長プロセスを反映した評価制度を継続的に運用できます。

また、P-TH/P-TH+(ピース/ピースプラス)に標準搭載されている『1on1機能』を活用すれば、継続的な振り返りやフィードバックの記録を残せるだけでなく、1on1の満足度の分析もできるため、より効果的な1on1ミーティングを実施することが可能です。

人事評価と1on1ミーティングを一体的に運用しながら、社員が挑戦し、学び続けられる組織づくりを進めたいという企業には、「P-TH/P-TH+」が有効です。 

 まとめ  

ラーニングアジリティとは、過去の経験にとらわれず、新しい環境や未知の課題からすばやく学び、柔軟に適応して成果を出す意欲・能力のことです。

変化の激しい時代だからこそ、過去の成功体験に頼るのではなく、「新しい環境からどれだけ学び、成長できるか」という視点が重要になります。

そのため、タフアサインメントへの挑戦やフィードバック、経験の振り返りなど、個人だけでなく、上司や人事担当者を含め、組織全体でラーニングアジリティを高めていくことが大切です。

社員一人ひとりが変化を成長の機会として捉えられる組織をつくることが、将来の環境変化にも対応できる次世代のリーダーを育てる第一歩となるでしょう。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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