
人材不足が深刻化する中、多くの企業は、“優秀な人材が定着しない”“採用しても早期離職してしまう”といった課題を抱えています。
採用市場が売り手優位となる現在では、新たな人材を採用するだけでなく、既存の従業員に長く活躍してもらうための取り組みがこれまで以上に重要となりました。
そこで注目されているのが、「リテンションマネジメント」です。
こちらの記事では、リテンションマネジメントの意味や注目される背景をはじめ、実施するメリットや具体的な施策、成功させるためのポイントをわかりやすく解説します。
自社の人材定着や離職防止に取り組みたい人事担当者の方は、参考にしてください。
リテンションマネジメントとは

リテンションマネジメント(Retention Management)とは、従業員が長く活躍できる環境を整え、組織全体の定着率向上を図るとともに、事業成長を支える優秀人材・中核人材の離職を防ぐために行う戦略的な人事施策のことです。
リテンション(Retention)には、「保持」「維持」といった意味があり、リテンションマネジメントでは全社員の定着を支える組織基盤づくりと、優秀人材・中核人材を重点的に支援する施策の両面に取り組んでいきます。
リテンションマネジメントを行うことで、優秀な人材の離職によって発生する採用・育成コストの増加や、業務ノウハウ・顧客ネットワークの流出を防ぐことができます。
また、従業員のモチベーションや会社への愛着(エンゲージメント)の向上につながり、企業の競争力・組織力の強化も期待できます。
なお、リテンションマネジメントは、単に従業員を「引き留める」ための施策ではありません。
不満を解消するだけでなく、働きやすい環境や成長機会を提供することで、従業員が自発的に『この会社で働き続けたい』と感じられる組織をつくることが、本来の目的です。
リテンションマネジメントが注目される背景
リテンションマネジメントが注目されるようになった背景には、“人材を取り巻く環境が大きく変化したこと”が挙げられます。
近年、少子高齢化による労働人口の減少が進み、多くの企業が「人材不足」という課題に直面しています。
さらに、年功序列や終身雇用といった従来の雇用慣行が変化し、より良い待遇やキャリアアップを求めて転職することも一般的になりました。
その結果、企業間で優秀な人材の獲得競争が激化し、一度採用した人材に長く定着してもらうことがこれまで以上に重要になっています。
また、「働く人の価値観が多様化」していることも理由の一つです。
給与や待遇だけでなく、働きやすい職場環境やワークライフバランス、自己成長や社会貢献につながる仕事などを重視する人が増えたことで、従業員のニーズに応えられない企業では、人材流出につながる可能性も高まっています。
このような背景から、「採用」だけでなく「定着」にも力を入れる企業が増えており、リテンションマネジメントは企業の持続的な成長を支える重要な人事戦略として注目を集めています。
リテンションマネジメントがもたらすメリット

こちらでは、リテンションマネジメントが企業にもたらすメリットについてお伝えします。
採用コスト・教育コストを削減できる
リテンションマネジメントにより従業員の定着率が向上すると、「採用コストや教育コストの削減」につながります。
たとえば、優秀な人材が長く活躍することで離職率が下がれば、求人広告の掲載料や採用媒体の利用料、採用担当者の工数など、欠員補充のための採用活動コストの軽減が期待できます。
また、優秀な人材が定着することで、社内に従業員の業務ノウハウや経験が蓄積されます。
その結果、新しい従業員が入社した際に、教育や研修、OJTを効率的に進められるようになり、教育にかかる時間やコストの削減にもつながります。
従業員のエンゲージメント・生産性が上がる
リテンションマネジメントの実施には、「従業員のエンゲージメントや生産性が上がる」というメリットがあります。
従業員が『この会社で働き続けたい』『この会社なら成長できる』と感じられるようになると、会社への愛着や仕事への意欲も高まり、エンゲージメントの向上が期待できます。
エンゲージメントが高まることで離職防止につながり、経験やノウハウを持つ優秀な人材が社内に定着することで、業務のスピードや質も上がります。
さらに、組織風土の醸成やチームワークの向上にもつながるため、組織全体の生産性が高まり、企業の競争力強化に貢献します。
企業イメージの向上につながる
リテンションマネジメントを実施することで、「企業イメージの向上」にもつながります。
離職率が低く、多くの従業員が長く定着している企業は、“働きやすい職場環境や充実したキャリア形成制度が整っている”という印象を持たれやすくなります。
そのため、『長く安心して働ける会社』を探している求職者にとって魅力的な企業として映り、採用活動におけるアピールポイントにもなります。
また、『同じ従業員が同じ企業に長く定着している』というのは、顧客にとっても好印象です。
リテンションマネジメントによって人材の定着率が上がることで、従業員同士はもちろん、従業員と顧客との信頼関係も築きやすくなり、顧客満足度や企業ブランドの価値向上も期待できます。
リテンションマネジメントを成功させるポイント
リテンションマネジメントの効果を最大限に発揮するには、従業員の満足度やエンゲージメントを高めるための取り組みが重要です。
ここからは、リテンションマネジメントを成功させるためのポイントをご紹介します。
透明性のある給与体系・評価制度を整える
給与や評価に対する不満や不公平感は、従業員の離職につながる要因の一つです。
そのため、従業員が納得できるような給与体系や評価制度を整え、必要に応じて見直すことが、リテンションマネジメントでは求められます。
とくに、以下のような点を明確にしておきましょう。
・何をどのような基準で評価するのか
・どうすれば評価が上がるのか
・評価の理由が分かりやすいか
・評価が給与や賞与に反映されているか
能力や成果、企業への貢献度を正当に評価し、それに見合った報酬を支給することで、従業員は『会社から必要とされている』『信頼されている』『努力を認められている』と実感しやすくなります。
その結果、従業員のモチベーションや、企業へのエンゲージメントが高まり、人材の定着率の向上も期待できます。
働きやすい職場環境を構築する
従業員一人ひとりが自分に合った働き方を選択できる職場環境を整えることも、リテンションマネジメントを成功させるポイントです。
近年、仕事と家庭の両立やワークライフバランスを重視する人が増えており、多様な働き方に対応できる環境づくりが求められています。
たとえば、フレックスタイム制度やリモートワーク制度などを導入することで、従業員一人ひとりの事情に応じた柔軟な働き方を実現できます。
他に、育児・介護に関する短時間勤務制度などの法定制度を適切に運用することで、ライフイベントを理由とした休職や離職の防止にもつながります。
また、働きやすい職場環境は、優秀な人材の定着を促すだけでなく、『働きやすい会社』として求職者へのアピールにもつながるため、採用活動においても強みとなります。
社内のコミュニケーションを活性化させる
リテンションマネジメントを成功させるためには、社内のコミュニケーションを活性化させることも重要です。
上司や同僚とのコミュニケーションが円滑になると、業務に関する相談や意見交換がしやすくなり、誰もが安心して自分の考えを発信できる「心理的安全性」の高い職場づくりにつながります。
一方で、『上司と信頼関係を築けない』『職場の雰囲気が悪い』といった人間関係の悩みは、離職理由の一つになりやすいため、こうした課題を防ぐためにも、日頃から社内のコミュニケーションを促進することが重要です。
従業員同士が信頼関係を築きやすくなることで、安心して働ける職場環境が整い、人材の定着率向上も期待できます。
そして、従業員との対話を継続的に行う仕組みを整えることは、リテンションマネジメントにおいて欠かせません。
その一例として、定期的な1on1ミーティングの実施が挙げられます。
上司と部下で定期的に対話する機会を設けることで、従業員は悩みや不満を一人で抱え込みにくくなります。
日頃から相談しやすい関係性を築くことは、職場への安心感や信頼感を高め、リテンションマネジメントの成功にもつながるでしょう。
キャリアアップ・キャリア形成を支援する
リテンションマネジメントには、従業員のキャリアアップやキャリア形成の支援も欠かせません。
従業員が『この会社で成長し続けられる』と実感できる環境を整えることで、仕事への意欲や将来への期待が高まり、働き続けるモチベーションにつながります。
たとえば、社内公募制度を導入して新たな業務へ挑戦できる機会を設けたり、リスキリングや研修制度を充実させたりすることで、従業員のスキルや能力の向上を支援できます。
こうした取り組みは、組織全体の生産性向上につながるだけでなく、従業員にとってもやりがいや成長を実感できるため、長期的な活躍を後押しします。
リテンションマネジメントに最適。
人事評価システム「P-TH/P-TH+」
リテンションマネジメントを成功させるためには、公平な人事評価制度の運用に加え、従業員一人ひとりと向き合うコミュニケーションやキャリア支援を継続的に行うことが大切です。
しかし、評価シートの集計や一覧表の作成、評価結果の管理などに多くの時間を費やしてしまい、本来注力すべき面談や1on1ミーティングがおろそかになってしまう企業も少なくありません。
そんな状況を改善するために、多くの会社がシステム化を検討し始めます。。
しかし、システム導入に伴う、シートやフローの変更、そして、システムの操作方法についての従業員への教育や問い合わせ対応の労力などを考えると、なかなかシステム導入に踏み出せないという企業も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが、慣れ親しんだExcelの評価シートをそのままシステム化できる人事評価システム「P-TH/P-TH+(ピース/ピースプラス)」です。
シートもフローもそのままシステム化できるため、従業員の教育や問い合わせ対応などのスイッチコストを最小限に抑えることができます。
また、煩雑になりがちな評価シートのファイル管理が無くなり、人事評価の進捗管理もリアルタイムで確認できるため、メールの誤送信や評価シートの紛失、期日までの評価漏れといった運用ミスや情報の共有漏れも防ぐことができます。
蓄積された人事評価データを分析することもできるので、人事評価制度の定期的な見直し・改善にも適しています。
さらに、P-TH/P-TH+(ピース/ピースプラス)は、『1on1機能』も標準搭載しています。
評価業務の負担を軽減することで、従業員との対話に充てる時間を確保しやすくなり、悩みや課題の早期発見・把握、キャリア形成の支援にも役立ちます。
リテンションマネジメントを実践するうえで欠かせない評価業務の効率化と従業員とのコミュニケーションを両立できる点が、P-TH/P-TH+(ピース/ピースプラス)の大きな特長です。
まとめ
リテンションマネジメントは、全社員の定着を支える組織基盤づくりであると同時に、事業継続と成長を左右する優秀人材・中核人材を重点的に支援する戦略的な人事施策です。
そのため、公平な評価制度の整備や働きやすい職場環境の構築、社内コミュニケーションの活性化、キャリア支援など、多角的な取り組みを継続することが欠かせません。
また、リテンションマネジメントは“一度施策を導入すれば終わり”ではなく、従業員の価値観や組織の状況に合わせて継続的に見直し、改善していくことが大切です。
従業員一人ひとりが『この会社で働き続けたい』と思える環境づくりを進めることで、人材の定着はもちろん、企業の持続的な成長にもつながるでしょう。
<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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- 人材不足



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