【保存版】1on1ミーティングとは?
目的や効果、進め方・話すことをわかりやすく解説

 2025.09.16  AJS株式会社

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アメリカ・シリコンバレーの企業文化として古くから導入されていた「1on1ミーティング」。
日本でもYahoo社が導入したことをきっかけに、今では多くの企業に浸透しています。

しかし、実際のところ、部下の3人に1人は“1on1ミーティングの効果が感じられない”といったデータもあり、改善の余地があると考える企業も多いのではないでしょうか。

「1on1ミーティングの効果的なやり方はある?」
「1on1ミーティングで何を話せばいいかわからない…」
「部下の満足度が上がるような1on1を実施したい!」

そんな方のために、こちらの記事では、1on1ミーティングの目的や得られる効果をはじめ、より効果的な進め方や1on1ミーティングで話すことについて、くわしく解説していきます。

1on1ミーティングの導入を検討している人事担当者の方や、部下との1on1ミーティングの質を上げたい上司の方は、ぜひ参考にしてください。

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1on1ミーティングとは?

1on1ミーティングとは?

「1on1ミーティング」とは、一般的に、部下の成長を目的に上司と部下が1対1で定期的に行う面談のこと。

上司は、部下が抱えている業務の課題やキャリアに関する悩みなどを傾聴し、フィードバックすることで、部下の成長を促していきます。

また、対話によるコミュニケーションを行うことで、信頼関係の構築にもつながります。

実施方法は企業ごとに少しずつ異なりますが、1on1ミーティングの時間は1回あたりおよそ15分〜30分程度、週1回〜月1回の頻度で行うのが一般的です。

人事評価面談との違い

一般的に「1on1ミーティング」は、上司と部下の1対1で定期的に行う面談ですが、人事評価面談とは目的や話すことなどが異なります。

  1on1ミーティング 人事評価面談
目的 部下の成長を促す 部下の一定期間における業務の評価内容を伝える
やり方 上司と部下との双方向的なコミュニケーションが多い 上司から部下への一方向的なコミュニケーションが多い
話すこと 業務やキャリアに関する悩みからプライベートなことまで幅広く話す 目標の進捗や評価のフィードバック
頻度 週1回〜月1回 四半期に1回〜年1回

人事評価面談は、「評価のための面談」のため、上司から部下への一方向的なコミュニケーションが多い傾向にあります。

一方、1on1ミーティングは、上司が聞き役に徹し、部下の考えや思いを傾聴する場であるという点で、人事評価面談と異なります。

1on1ミーティングの目的について

1on1ミーティングの目的は、上司と部下が対話を通じて信頼関係を築き、部下の成長と組織の活性化を促すことにあります。

普段の業務ではなかなか話せない悩みや不安、将来のキャリアプランや目標などを部下から上司へと共有することで、部下は自らの気づきや課題を言語化し、内省することができるでしょう。

また、定期的にコミュニケーションを図ることで、部下の中で『安心感』が生まれ、上司との信頼関係の構築にも寄与します。

一方、上司は部下の業務の進捗や困っていることをいち早く把握し、必要に応じてサポートやフィードバックを行うことで、問題の早期発見・早期解決をすることができます。

1on1ミーティングを通じて、上司は部下の自発的な行動を引き出し、成長を実感できるよう働きかけることで、個々の業務の質やスピードが向上し、組織全体の活性化も期待できます。

※ 1on1ミーティングでは、上司は部下が安心して話せるような環境づくりを心がけ、叱責や指導は控えてください。

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1on1ミーティングが注目されている背景

1on1ミーティングが注目されている背景

多くの企業が導入している1on1ミーティングですが、根底には「VUCA(ブーカ)」という時代背景が関係しています。

VUCA(ブーカ)とは、以下の4つのキーワードの頭文字をとった言葉で、予測困難な現代の社会情勢を表します。

  • Volatility(変動性)
  • Uncertainty(不確実性)
  • Complexity(複雑性)
  • Ambiguity(曖昧性)

急速に変化し、不確実性が高まる今のビジネス環境では、社員一人ひとりの判断力・適応力が問われます。

そのため、『自ら考え、行動できる人材』を育てる手段の1つとして“1on1ミーティングが注目されるようになった”ということです。

それでは、1on1ミーティングが注目されている背景について、具体的にみていきましょう。

コミュニケーションが減った環境でも対話のきっかけを作れる

リモートワーク中心の職場や、会社の飲み会や社内行事が少ない会社では、上司と部下との接点がほとんどないため、どうしてもコミュニケーションの機会が減ってしまいます。

コミュニケーションが少ない環境だと人間関係の構築も難しく、部下は聞きたいことや困りごとがあっても「相談できない」「誰に聞いて良いか分からない」といった状況に陥りやすく、上司も「部下の様子が把握しにくい」ということが発生してしまいます。

しかし、上司と部下が定期的にコミュニケーションを行う1on1ミーティングがあることで、対話するきっかけが生まれ、良好な人間関係の構築や、問題の早期発見、状況把握につながります。

リモートワーク等で希薄化した社員同士の接点やコミュニケーションの機会を増やす手段としても、1on1ミーティングの活用が注目されています。

個人のはたらき方やキャリアに対する意識の多様化

VUCA時代とも言われている今、個人のはたらき方が多様化しています。

また、企業の経営環境が目まぐるしく変化する中で、個人が会社に依存せず、副業や転職、起業といった選択で自らのキャリアを主体的に築く時代へと変わりつつあります。

現代では、はたらき方やキャリアに対する意識が個人によって異なるため、従来のように一律で個人の生産性やモチベーションを管理することが難しくなっているのが現状です。

こうした背景から、一人ひとりの仕事やキャリアに対する価値観に定期的に向き合い、マネジメントしていく手段として、1on1ミーティングが注目されています。

「心理的安全性」が個人・チームの生産性を高める

不確実で変化の激しいVUCA時代では、個人一人ひとりの主体性が問われます。

そして、個人のはたらき方やキャリアに対する意識が多様化した現代のビジネス環境で、個人が主体性を発揮するためには、柔軟に安心して対話できる環境づくり(心理的安全性)が大切です。

Googleが行った研究「プロジェクト・アリストテレス」でも、個人・チームの生産性を高めるためには『心理的安全性』が必要であると実証されています。

上司に対して部下が積極的に意見できる・本音が話せる環境を整え、個人・チームの生産性を向上させる手段としても、対話型の1on1ミーティングは注目されるようになりました。

1on1ミーティングで得られる効果・メリット

1on1ミーティングで得られる効果・メリット

ここからは、1on1ミーティングで得られる効果やメリットについて解説します。
1on1ミーティングを、正しく継続的に行うことで、以下の3つのメリットが期待できます。

部下の成長を促進させる

1on1ミーティングでは、部下が抱えている業務の課題やキャリアに関する悩みなどを共有し、上司は必要に応じてサポートやフィードバックを行います。

定期的にコミュニケーションを取ることで、部下は自分の行動を振り返る習慣がつき、内省が深まることで、自発的な学びや行動へとつながります。

また、上司からフィードバックを受けることで、部下は自らの課題や強みが明確になり、成長を実感するきっかけやモチベーションの向上にも寄与します。
継続的に行う1on1ミーティングにおけるフィードバックで、トライアンドエラーや小さな成功体験を意識することで、部下の成長を促進させる効果が期待できます。

上司と部下の信頼関係が構築される

1on1ミーティングでは、上司と部下が対話によるコミュニケーションを行います。

話す内容は、業務に関する悩みや不安の共有からプライベートの相談まで幅広く、お互いの理解を深めるきっかけにもなり、結果として、上司と部下の信頼関係の構築につながります。

1on1ミーティングを通じて信頼関係が構築されることで、本音で話せる・積極的に意見できる環境が整い、部下の心理的安全性は高まるでしょう。

部下の離職率が低下する

定期的な1on1ミーティングの実施は、上司と部下とのコミュニケーション量を増やし、部下が抱えている業務への不安や悩み、モチベーション低下の早期発見・早期解決へとつながります。

ある企業では、1on1ミーティングの実施から発見した課題を改善したことで、離職率を20%から0%に下げたという事例もあります。

1on1ミーティングで部下と向き合う時間をつくり、早い段階で部下の変化に気づき、サポートを行うことができれば、上司への信頼感も高まり、部下のモチベーションも向上するでしょう。

1on1ミーティングのやり方

1on1ミーティングの目的や得られるメリットについて押さえたところで、ここからは実践に移ります。
以下に、1on1ミーティングのやり方についてくわしく解説していきます。

1on1ミーティングを実施する意義・目的を伝える

1on1ミーティングを実施する前に、まずは1on1ミーティングの意義や目的を、社員一人ひとりに伝えて理解してもらうことが大切です。

1on1ミーティングは、1回あたり15分〜30分程度の面談を定期的に行うため、実施する意義や目的をきちんと理解してもらえないと、『仕事が増えてしまう…』とネガティブな印象を与えてしまう恐れもあります。

社員一人ひとりの1on1ミーティングに対する納得感を高めて、上司と部下それぞれの主体的な行動を促すためにも、実施する意義・目的はしっかりと共有することを心がけてください。

実施スケジュールを決める

1on1ミーティングは、1回あたりおよそ15分〜30分程度、週1回〜月1回の頻度で定期的に行うことで効果を発揮します。

そのため、実施スケジュールは都度決めるのではなく、『第3金曜の16時から30分間』という風に事前にスケジュールを決めます。
※何曜日・何時に実施するかは、上司と部下の負担にならないようにしてください。

また、体調不良や急な打ち合わせにより、やむなく1on1ミーティングを実施できないこともあるため、日時を変更する際のルールなどもあらかじめ決めておくことをおすすめします。

話す内容・質問項目を考える

1on1ミーティングを効果的に進めるために、話す内容や質問項目は事前に考えておきましょう。

いざ1on1ミーティングを実施するとなっても、話す内容がある程度定まっていなくては、毎回沈黙になり、気まずいまま終わってしまう可能性があります。

1on1ミーティングでは、部下の仕事に対する悩みや不安、キャリアプランや目標といった話を聞くのもポイント。
上司は傾聴を心がけ、雑談や準備していた質問の中から部下の本音を引き出し、ポジティブなフィードバックを行います。

自らの課題や成長、キャリアプランを意識するきっかけができれば、部下はより主体性を持って1on1ミーティングに向き合うようになるでしょう。

次章では、「1on1ミーティングで話すこと」に関して解説していますので、話す内容や質問項目にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

1on1ミーティングの内容を記録して、振り返る

1on1ミーティングで部下と話した内容は、記録・データ化して蓄積しておくと、いつでも振り返ることができます。

部下との対話内容を比較することで、次の1on1ミーティングで話す内容の検討にも役立ち、過去の1on1ミーティングの軌跡から、部下のパフォーマンスや成長の分析もできます。

1on1ミーティングを効果的に行うために、面談内容を管理・共有しやすいツールやテンプレートを使うのもよいでしょう。

1on1ミーティングで話すテーマ・質問例

こちらでは、1on1ミーティングで話すテーマや質問項目を表でまとめました。

大きく6つのカテゴリに分けて、具体的な質問例を載せていますので、1on1ミーティングの目的に応じて話すテーマを選んでみてください。

カテゴリ 質問の例
① 業務の進捗・課題 最近、うまくいった仕事はどんなこと?
困っていること、業務で手詰まりしていることは?
② モチベーション・感情 最近の仕事に対するやる気はどれくらい?
会社では調子が良い?悪い理由は?
③ キャリア・成長意欲 どんなスキルを仕事で身につけていきたい?
将来はどんな働き方をしたい?
④ 人間関係・チームのこと チームで気になっていることは?
誰と働きやすい?その理由は?
⑤ プライベートな話題 最近ハマっていることや気分転換にしていることは?
仕事以外で最近あった嬉しかったことは?
⑥ 体調・メンタルの状態 業務でどんなことにストレスを感じる?
睡眠に関するお困りごとは?

1on1ミーティングで部下と円滑なコミュニケーションを行うコツは、「はい/いいえ」で終わらない質問を意識することです。

対話を通じて相互理解を深める時間でもあるため、次の質問・話題につながるように、話す内容や順番も工夫すると良いでしょう。

また、1on1ミーティングでは、上司は傾聴に徹底することがポイントです。
部下に完璧な回答は求めず、ネガティブな発言は避けて、興味を持って親身に関わることを大切にしてください。

1on1ミーティングを実施する際の注意点

1on1ミーティングを正しく継続的に行うために、上司が気をつけることは以下の3点。

  • 上司は聞き役に徹する
  • 部下が話しやすい雰囲気をつくる
  • ポジティブなフィードバックを心がける

1on1ミーティングの目的は、部下の本音を引き出しフィードバックを行うことで、部下の成長を促し、信頼関係を築くことです。

上司が一方的に話してしまうと、部下は萎縮してしまい、本音で対話できなくなる可能性があります。

1on1ミーティングは『部下が話す時間』なので、まずは部下の話に耳を傾け、共感や理解を示すことで、心理的安全性も高まりリラックスして話せる環境となるでしょう。

また、部下の課題や悩みに対しては、ポジティブなフィードバックを心がけてください。

部下の強みを見つけ、成長を認めた上で改善点を伝えると、『自分は認められている』と感じて、自信や仕事へのやる気につながります。

場の雰囲気づくりや部下との関わり方に注意することで、1on1ミーティングを効果的に進めることができるでしょう。

1on1ミーティングの運用・管理なら「P-TH/P-TH+」

1on1ミーティングを効果的に進めるには、やりっぱなしにせず、記録して定期的に振り返る仕組みを整えることも重要なポイント。

人事評価システムの「P-TH/P-TH+」には、2025年4月より『1on1機能』が標準装備されました。

『1on1機能』には、1on1ミーティングの記録を残せるテンプレートや、実施時間や満足度を分析できる機能を搭載しています。
事前に部下と1on1ミーティングで話す内容を共有し、その話題について「どうしたいのか(解決したい・聞いてほしい、など)?」までを共有できるので、1on1をより効果的に実施することが可能です。

もちろん、企業独自の1on1ミーティングに対応できるように、テンプレートのカスタマイズもできます。
1on1ミーティングの感想や満足度、時間等は、外出先や移動先でもPCやスマホで確認でき、分析レポート機能により、チームのパフォーマンスや部下の成長を客観的に評価することが可能です。

「P-TH/P-TH+」は、人事評価制度の運用と並行して、1on1ミーティングを効果的に運用・管理できるため、1on1ミーティングをやりっぱなしにせず、分析して、質を高めたいという企業におすすめです。

まとめ

1on1ミーティングは、単なる業務報告や雑談の場ではなく、部下の成長を促進させ、信頼関係を築くための場です。

多様化するはたらき方や、変化の激しい経営環境に対応するためには、社員一人ひとりとの対話によるコミュニケーションが欠かせません。

小さな対話の積み重ねは、部下の力を引き出し、優秀な人材へと成長させる土台となります。
1on1ミーティングをいち制度として陳腐化させず、『部下を育てる仕組み』として組織に根づかせていきましょう。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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