ウェルビーイング経営とは?
意味やメリット・取り組み方を紹介

 2024.09.18  AJS株式会社

近年、企業の成長につながる施策として、ウェルビーイング経営が注目を集めています。海外で普及し、日本でも取り入れる企業が増えつつあるウェルビーイング経営。本記事では、ウェルビーイング経営の概要やメリットに加え、企業での取り組みの具体例、注意点などをわかりやすく解説します。

ウェルビーイング経営とは? 意味やメリット・取り組み方を紹介

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ウェルビーイング経営とは?

ウェルビーイング経営を理解するには、まずは「ウェルビーイング」という言葉の意味から把握しておきましょう。

ウェルビーイングは身体的・精神的・社会的に満たされた状態

ウェルビーイング(Well-being)という言葉は、1948年に発効した「世界保健機関(WHO)憲章」の前文が由来です。「well」は「満足のいく」、「being」は「状態」を意味する言葉で、前文のなかでは、身体的・精神的・社会的に満たされた状態を指してウェルビーイングといいます。つまり、単純に病気やケガをしていない健康体であるというだけでなく、心の安定や他者とのつながり、経済的な安定などを通じて、精神的にも社会的にも幸福を感じる状態がウェルビーイングだと解釈できます。

ウェルビーイング経営の意味

ウェルビーイング経営とは、企業を経営するうえで、自社の従業員たちが前述した「身体的・精神的・社会的に満たされた状態」になるよう目指す経営戦略を指します。従業員の心身の健康に配慮した経営には、ほかにも健康経営や働き方改革といった概念がありますが、ウェルビーイング経営は特に従業員の幸福を重視しているのが特徴です。営利だけでなく、従業員の幸福をも追求し実現しようとするこの新しい経営手法が、現在多くの企業の注目を集めています。

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ウェルビーイング経営を行うメリット

営利だけでなく、あえて従業員の健康や幸福を重視するウェルビーイング経営により、企業側には次のようなメリットがあります。

従業員満足度が向上する

従業員の幸福を追求する性質上、ウェルビーイング経営を行う企業の従業員は、働くうえでの満足度が高くなります。従業員からしてみれば、自身の幸福を考えて職場環境や待遇の改善に取り組んでくれる企業に対しては、愛着が高まります。仕事に対するモチベーションも向上し、明るい気持ちで業務に従事できるようになります。また、企業側の職場改善が続き、モチベーションの高い従業員が増えた結果、職場の雰囲気も改善していきます。これにより、業務や人間関係のストレス軽減も期待できます。

生産性が高まる

従業員の幸福を追求するウェルビーイング経営により、従業員のストレスが軽減されて働く意欲が向上すると、自ずと生産性も高まります。例えば、ストレスが適切な状態では従業員のパフォーマンスが上がりやすく、斬新なアイデアが生まれたり、顧客対応の質がよくなったりと、さまざまな効果が見込めます。人間関係にも余裕が生まれ、チームワークが強化されて業務効率の向上につながります。さらに、健康な状態を維持することで、従業員の体調不良や欠勤なども減っていき、人件費や医療費といった経営コストの削減も可能です。このようにウェルビーイング経営では、健康的でやる気に満ちあふれた職場づくりをすることで、従業員一人ひとりのパフォーマンスの向上と、ひいては会社全体での生産性向上が期待できます。

人材確保につながる

幸福度や満足度が高く、会社への愛着を持った従業員は、会社へ定着しやすくなります。離職率が低下し、社内で活躍する優秀な人材を社内へ留保しやすくなるのもメリットです。欠員補充の機会が減るため、採用にかけるコストも削減できます。また、離職率の低い会社や、生産性が高く競争力に優れた会社は、求職者から見ても魅力的です。会社の雰囲気など、長く働いていけるとの期待感から応募者が増え、優秀な人材を確保できる確率が上がるでしょう。

ウェルビーイング経営の取り組み方

ウェルビーイング経営では、自社の従業員の幸福を追求した結果、自社の生産性向上、ひいては企業としての成長につながっていきます。ウェルビーイング経営を推進したいのであれば、次の項目を軸に、自社でできることから取り組んでください。

従業員のメンタルヘルス改善

まずは、企業の生産性に直結する、従業員の心身の健康を守ることから始めましょう。多くの企業で改善の余地があるのが、労働時間です。長時間の残業は従業員の健康を損ね、時にうつ病などのメンタルヘルス不調にもつながります。残業そのものは悪とは言い切れませんが、適切な労働時間の範囲に収まっているかどうかは確認してください。労働基準法では、残業は原則月45時間までです。超過するようであれば、個々の業務負担の見直しや、人材採用の拡充などを図り、労働時間を調整します。

また、休暇の取得のしやすさもメンタルヘルス改善に大きく影響します。有給休暇の取得率を確認し、100%に限りなく近づけることが重要です。取得目標の設定や、上司が率先して休暇を取る社内風土の醸成、計画的付与制度の導入などが有効な施策です。1日ではなく、時間単位で取得できるようにしている企業もあります。

労働時間の削減や休暇の取得率向上も、会社全体での環境づくりやルールづくりを成功させるには欠かせません。必要に応じて労務管理ツールも導入しながら、従業員の負担を軽減し、リフレッシュしやすい環境を整えてください。

職場内コミュニケーションの活性化

他者とのつながりやコミュニティの存在は、従業員の孤立感をなくして離職を防ぎ、生産性を高め、従業員満足度の向上につながります。従業員が多彩な人間関係を構築できるよう、職場内のコミュニケーション活性化に力を入れ、風通しのよい環境を作りましょう。

具体的な施策としては、従業員同士が手軽にコミュニケーションできるチャットツールや、社内SNSの導入がおすすめです。また、社内報や社内イベントなどを通じて、普段接することが少ない人と交流できる機会を設けるのも有効です。休憩室に、多くの人がくつろいで自然と交流できるファミレス席を導入する方法もあります。

また、従業員が悩みを抱えたまま業務にあたることのないよう、1on1ミーティングやエルダー制度、メンター制度など相談できる環境を整え、サポートするのも重要です。

柔軟な働き方の推進

グローバル化や価値観の多様化にともない、近年は多様で柔軟な働き方に対応できることも企業に求められています。リモートワークやフレックス制、時短勤務など、従業員それぞれの生活に応じた働き方ができるように制度を整えることが重要です。しかし、従来型の勤務時間を採用している会社では、これらの働き方にすぐには対応できなかったり、導入するうえで多くの課題が発生したりすることもあります。対策として、勤怠管理システムや情報共有ツールなど、個々の働き方を管理・支援するための業務効率化ツールを導入することも積極的に検討してみてください。

ウェルビーイング経営に取り組む際の注意点

ウェルビーイング経営を行う際、短期的な利益を追求するのではなく、継続的な施策をもって取り組んでいく必要があります。効果も短期間で現れるとは限らず、従業員の健康改善や満足度向上には時間がかかるのが一般的です。

また、職場環境の改善には、ある程度のコストもかかる可能性があります。例えば、健康のための取り組みや、柔軟な働き方のためのツール導入など、初期投資により導入当初の利益が減ってしまうリスクも考慮しておくべきです。

しかし、中長期的な視点で見れば、ウェルビーイング経営は従業員のパフォーマンスを高め、企業の生産性向上に大きく寄与します。各施策の効果も継続的に評価・改善を繰り返しながら、企業文化としてウェルビーイング経営を根づかせ、じっくりと腰を据えて取り組むことが重要です。

人事評価業務を効率化する「P-TH/P-TH+」

従業員満足度を高め、ウェルビーイング経営の効率を高めるツールとして、人事評価システムの導入もおすすめです。例えば人事評価システム「P-TH/P-TH+」は、従来の人事評価制度と評価シートを変更せず、そのままの形でシステム化できるツールとして注目を集めています。

新しいツールの導入時には、従来とは異なる使い勝手に戸惑ったり、自社のニーズとマッチしていなかったりといった問題が出てくることもありますが、「P-TH/P-TH+」であれば、そうした心配はありません。口頭やメールで行っていた評価進捗の可視化や、あらゆるデータの分析により、人事評価業務の時間を短縮・効率化します。人事評価は従業員の満足度に直結するため、ツールを用いて効率化し、従業員満足度を高める施策の考案につなげてください。

内部リンク:人事評価システム P-TH/P-TH+ | AJS ソリューション・サービスサイト Solution Navigator 

まとめ

ウェルビーイング経営は、従業員の身体的・精神的・社会的な幸福を重視する経営戦略です。従業員の満足度を高める効果があり、企業の生産性向上や人材確保にもつながります。従業員の労働時間や休暇制度の見直し、職場内コミュニケーション機会の増加、あるいは多様な働き方への対応によって、ウェルビーイング経営を社内に根づかせてください。

ウェルビーイング経営の戦略に即効性はありませんが、中長期的な視点で見れば企業の成長に大きく貢献します。必要に応じて人事評価システムなどのツールを用いて効率化し、施策の負担を軽減しながら、長い目で取り組んでいくことが重要です。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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