アンコンシャスバイアスとは?
具体例や職場への影響・改善策を解説

 2024.08.05  AJS株式会社

多様性の重要性が広まりつつある今、「アンコンシャスバイアス」についても注目が集まっています。組織にアンコンシャスバイアスがあると、機能不全に陥る可能性があるため、早急な対策が必要です。そこで本記事では、アンコンシャスバイアスの概要や職場で起こりやすいアンコンシャスバイアスの種類、そしてそれを是正するための取り組みについて解説します。

アンコンシャスバイアスとは? 具体例や職場への影響・改善策を解説

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アンコンシャスバイアスとは

「アンコンシャスバイアス(unconscious bias)」とは「無意識の偏見」という意味で、「アンコンシャス(無意識の)」「バイアス(偏見、先入観)」という2つの単語を組み合わせた造語です。自身の経験や考え、社会構造などが原因で、ものごとや自分以外の人、考え方などを無意識のうちに特定のパターンにあてはめて捉えてしまうことを指します。

基本的にアンコンシャスバイアスは誰もが少なからず抱いているものです。そのため、アンコンシャスバイアスに対する知識を得て、偏見を自覚し、なるべくニュートラルな視点をもつように心がけることが大切です。

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職場で陥りがちなアンコンシャスバイアスの具体例

アンコンシャスバイアスは、日常のいたるところに潜んでいます。職場も例外ではありません。例えば次のようなアンコンシャスバイアスがあります。

ステレオタイプバイアス

ステレオタイプバイアスとは、性別や国籍、年齢、職業など、特定のグループや属性に対して先入観や固定観念をもつ心理のことです。例えば、「補助的な仕事は女性が行う」「外国人従業員はマイペースだ」「高齢の人は新しい技術に弱い」といった心理が挙げられます。

正常性バイアス

正常性バイアスは、非常時でも「大丈夫だろう」と思いたがり、現実のリスク・危険を過小評価する心理です。心の平静を保つための機能としての側面もありますが、それが危機的状況において適切な行動を取ることを妨げる場合があります。ビジネスにおいては、業界全体で業績が悪化しているにもかかわらず、特に何も対策を取らないまま「自分の会社は大丈夫だろう」と、あえて日常業務を続けることなどが挙げられます。

確証バイアス

確証バイアスは、自分に都合のよい情報ばかりを集め、自分の意見にそぐわない情報は軽視・無視する心理です。例えば、人を第一印象で判断してしまい、その後はこの第一印象を肯定するような情報ばかりを集めるステレオタイピングは確証バイアスの具体的な事例として知られています。SNS上など閉じたコミュニティの中だけで同じ意見の人たちが賛同し合うことにより、自分たちの意見こそが唯一の正解だと認識してしまう「エコーチェンバー現象」とも似ています。

集団同調性バイアス

集団同調性バイアス(同調性バイアス)とは、「みんなと一緒だから大丈夫」「みんなやっている」と考え、流されて周囲と同じ行動を取ってしまうことです。ビジネスでこのバイアスが働くと、リスクを見逃すことにつながります。例えば「会議でリスクを指摘したいが、上層部も賛同しているプロジェクトなので何も言わない」「同僚がハラスメントを受けているが誰も指摘していないから何も言わないほうがいい」などと考えてしまうケースです。

ハロー効果

ハロー効果(後光効果)は、学歴、趣味、外見など、ある目立った特徴によって全体の評価がゆがんでしまうことです。ポジティブ・ハロー効果とネガティブ・ハロー効果があります。入社志望者の選考を行う際に「身だしなみが整っているから、仕事もきっちりしてくれそうだ」「大学を中退しているから、会社もすぐに辞めるだろう」など、ある一面だけで知らない面までも評価してしまうことが、例として挙げられます。

インポスター症候群

インポスター症候群とは、何かで成功しているにもかかわらず、自分を過小評価してしまう心理のことです。インポスターとは詐欺師という意味ですが、その名称のとおり、インポスター症候群に陥ると周囲を騙しているような感覚に陥ります。例えば、高い成果を出しても「運がよかっただけで、本当の自分の実力ではない」とチームメンバーを騙しているように感じるケースです。

アンコンシャスバイアスが職場に与える影響

ここまで見てきたように、アンコンシャスバイアスが職場にプラスの影響を与えることはありません。

例えば、正常性バイアスで「自分の会社は大丈夫だろう」と日常業務だけを続けていれば、新規事業の企画が生まれてくることはなく、確証バイアスが強ければ、情報の正確性が精査されることはなく、業務上で誤った判断を重ねてしまうおそれがあります。アンコンシャスバイアスは、正しい情報・根拠にもとづいて、正しく判断することを妨げてしまいます。

アンコンシャスバイアスの改善策

これまでに挙げたリスクを回避するためにも、アンコンシャスバイアスは是正していくことが大切です。次のような対策を取りましょう。

社内でのアンコンシャスバイアスの実態ついて調査する

まずは、組織内のアンコンシャスバイアスの実態を把握するために、アンケートや診断テストを用いて、データを収集しましょう。収集するのは採用、人事評価、配置、昇進、エンゲージメントなどのデータです。データが集まったら、以下のような傾向がないか確かめましょう。

  • 同程度の業績であるのに、給与や昇給・昇格のスピードに差が見られる
  • 特定の従業員に単純作業ばかりを割り振っている
  • 会議において反対意見がない
  • ルールが形骸化している
  • 育児中の従業員に管理職がいないなど

当てはまった場合、そこにアンコンシャスバイアスが存在する可能性があります。

アンコンシャスバイアス改善のための研修を実施する

アンコンシャスバイアスは、程度の差はあるものの、誰もがもっています。「世間一般の常識」「当たり前」と思っていたことが、実はアンコンシャスバイアスのひとつだったということも少なくありません。そのため、管理職を含む従業員に対して研修を行い、まずは無意識の偏見の存在を自覚させることが大切です。それが行動変容の第一歩になるでしょう。その際は、専門的な知見を有した外部リソースも活用してください。これにより、客観的な視点や最新の研究をもとにした研修を実施できます。そのほか、具体的な状況を体験できるロールプレイングを行うのも有効です。

まとめ

職場において、アンコンシャスバイアスは日常業務や人間関係をはじめ、人事評価にも潜んでいます。特に人事評価はモチベーションに直結するため、早急にアンコンシャスバイアスを取り除く仕組みが必要です。組織全体として是正に取り組むことで、お互いの多様さを認めて協働できる、より価値のある組織へと変革していけるでしょう。

アンコンシャスバイアスに影響されることなく公正に従業員を評価するためには、客観的に人事評価の分析ができるツールを活用することも有効です。人事評価システム「P-TH/P-TH+」は、社内の人材情報や人事評価を即時に可視化することができます。また、人事評価業務を効率化できるため、被評価者との丁寧な面談が可能になり、モチベーションやエンゲージメントの向上につながるでしょう。

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株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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