中小企業の人事評価制度の作り方とは!? 課題や注意点も解説

 2022.06.08  AJS株式会社

国内市場における多くの企業が深刻な人材不足という経営課題を抱えています。とくに経営資源の少ない中小企業にとって優秀な人材の確保は重要課題の1つです。優れた人材を確保するためには整備された人事評価制度が欠かせません。そこで本記事は中小企業の人事評価制度の作り方や課題について解説します。

中小企業に人事評価制度が求められる背景

大企業ほどの経営資源をもたない中小企業にとって、優れた人材の確保はもっとも重要な経営課題と言っても過言ではありません。現在、人口減少や少子高齢化といった社会的背景も相まって、多くの企業が深刻な人材不足に陥っています。

またここには、年功序列型の組織体系や終身雇用制度の崩壊、働き方改革の推進や新型コロナウイルスの感染拡大など、労働環境や社会情勢の変化といった影響も重なっています。したがって日本企業にとって、人材の確保がこれまで以上に困難になりつつあるのです。

このような時代背景のなかで中小企業が新たな市場価値を創出していくためには、いかにして優秀な人材を確保するのかが重要な課題です。そして、優れた人材を確保するためには整備された人事評価制度が欠かせません。

人事評価制度は従業員の成果や業績貢献度、能力や将来性を公正かつ公平に評価して労働意欲を高めることで、最終的に組織全体における生産性と業績の向上につながります。人材育成という観点から見ても、企業の長期的な成長と発展に欠かせない取り組みです。

しかし、中小企業の人事評価制度の導入率は大企業と比較して低い傾向にあります。平成14年に厚生労働省が行った雇用管理調査によると、従業員数5,000人以上の大企業では人事評価制度の導入率が98.3%であるのに対し、従業員数100人未満の中小企業では39.4%となっています。やや古いデータではありますが、現在でもそれほど大きな変化はないと予測されています。

生産性向上に役立つ

適切な人事評価制度を整備することで得られるメリットの1つがエンゲージメントの向上です。事業活動におけるエンゲージメントとは、従業員の企業に対する愛着や思い入れ、あるいは信頼関係や貢献したいという気持ちを表す概念です。自身の成果や努力が適切に評価されることで、組織に貢献したいという気持ちが生まれ、労働意欲と労働生産性の向上につながります。

どれだけ時代が移り変わり、テクノロジーが進歩・発展したとしても、事業活動の中心は人的資源である従業員です。「いかにして従業員の労働意欲と生産性を高めるか」が企業にとっての重要課題であり、そのためには整備された人事評価制度が必須と言えるでしょう。

従業員の定着率の維持

記事冒頭で述べたように、年功序列型の組織体系や終身雇用制度が崩壊しつつあると同時に、2019年4月より働き方改革関連法が施行され、労働環境そのものが大きく変わろうとしています。

こうした社会的背景から離職率が高まっている業界もあり、従業員の定着率を高める施策が必要なのです。適切な人事評価制度を整備することで、昇給や昇進などの外発的動機付け以外にも、やりがいや達成感といった内的動機付けを与える環境を構築できます。

「人はパンのみにて生くるものに非ず」という言葉があるように、従業員は必ずしも金銭的報酬のみを求めているわけではありません。公平な人事評価によってやりがいや「必要とされている」という実感を得ることで、離職率の改善につながる可能性もあります。

もちろん反対に、成果や能力が正当に評価されないと感じれば、モチベーションの低下や離職率の悪化につながります。ただし、人事評価制度に絶対的な正解はないため、各企業で適切な評価ができるよう、継続的な改善と調整が必要です。

中小企業の人事評価制度の作り方

ここからは、実際に人事評価制度の作り方を解説していきます。重要となるポイントは「目標の明確化」「評価基準の策定」「評価手法の整備」の3つです。1つずつ順番に見ていきましょう。

目標を明確化する

人事評価制度を作る上で最初に取り組むべきポイントは目標の明確化です。そして、目標を明確化する際は、現状を正しく認識することが何よりも重要です。例えば、登山を例に考えるなら、山頂へと至るためには足りないものを逆算して各種装備を整える必要があります。そのためには現状をきちんと認識し、「どの装備が足りないのか・なぜそれが必要なのか」を検討しなくてはなりません。

現在の経営環境を見直してきちんと可視化し、人事評価制度を導入する目標や目的を明確化することが第一歩です。目標例としては、企業ビジョンの浸透や最適な人材配置、人材育成や従業員の満足度向上、あるいは採用活動の最適化などが挙げられます。人事評価制度を構築する目標を明確にすることで、一貫性のある制度の構築につながるでしょう。

評価基準を整備する

人事評価制度を構築する目標を明確化したなら、次にポイントとなるのは具体的な評価基準の整備です。売上高や利益など、企業の業績に対する従業員の貢献度を測る指標を整備した場合、重要なポイントは、成果を数値化しやすい部門とそうでない部門がある点です。

例えば、営業部や開発部のような直接部門は成果の可視化が容易ですが、総務部や人事部といった間接部門は貢献度を定量的に測るのは簡単ではありません。そこで評価基準を「業績評価」「能力評価」「情意評価」の3つに分類することで、多角的かつ客観的な評価が可能になります。

業績評価

業績評価は、売上や利益などの業績にどれほど貢献したかを測る指標です。先述したように、すべての部門が業績に対する貢献度を数値化できるとは限りません。そこで財務・会計・製造・販売・営業など、部門や職能の違いによって適切な評価基準を整備する必要があります。また、製品やプロジェクトといった事業の違いによる評価基準を設けるケースもあります。

能力評価

能力評価は、従業員の技術や知識などの業務遂行能力をベースとする評価手法です。その人物が持つ将来性や潜在能力、業務に取り組む姿勢や意欲など、抽象的かつ定性的な概念が主な評価基準となります。単純な目に見える成果だけでなく、コミュニケーション能力やリスクマネージメント能力、目標達成度合いなど総合的な観点から評価するという点が特徴です。

情意評価

情意評価は、業務に対する積極性や勤務態度、行動力や責任感などを基準とする評価手法です。与えられたポストに対する使命感や企業に対する貢献意欲、また自分自身の成長に対する研鑽意欲など、人間的能力を総合的に評価します。企業は多くの人間による関係性の上に成り立っているため、組織の秩序や規律を重んじる姿勢も評価対象とするのが情意評価の特徴です。

評価の手法を整備する

人事評価制度を構築する上で重要なのは各部門の特性を理解し、公正かつ公平な評価手法を整備することです。従業員の業績貢献度は目に見える成果だけで測れるものではありません。従業員が持つ技術や知識、仕事に対する姿勢や協調性、あるいは勤務態度や責任感など、さまざまな要素が絡み合うことで成果へと至ります。そのため、特定の管理者のみが査定するのではなく、複数の担当者による評価構造や評価手法を定めることも重要です。

例えば、上司・同僚・部下を含むさまざまな人物が多角的に評価する「360度評価」を取り入れることで、より客観的で公平な評価体制を構築できます。企業倫理や価値観に基づく行動規範の度合いを査定する「バリュー評価」を導入すれば組織力の強化につながるでしょう。また、定めた基準に対して報酬を決めることも必要です。

中小企業の人事評価制度を作るときの注意点

ここからは、中小企業が人事評価制度を作る上で注意すべき点について解説します。

企業理念と一貫性のある制度を策定

中小企業は大企業のような経営資源を保有していないため、限られたリソースをいかに効率的かつ効果的に運用するかが大きな課題です。とくに人的資源である従業員一人ひとりの労働生産性をいかに高めるかが非常に重要と言えます。

そのため、企業と従業員が同じ方向を向いて進めるよう、企業理念と結びついた一貫性のある制度を策定することが大切です。企業理念と一貫性のある制度であれば、従業員一人ひとりが自律的な貢献意識を持って業務に取り組む企業文化も醸成されるでしょう

評価内容の開示

人事評価制度を整備する上で注意すべき点として挙げられるのが、制度の透明性と公平性です。人事評価の内容は企業の規模が小さいほど直接的に意識されます。

そのため、どのような基準や項目で評価されるかをあらかじめ明記・開示することで従業員の納得感が高まり、モチベーションの向上につながります。透明性と公平性を持って人事評価制度を運営することで、優れた人材の確保と労働意欲の向上につながり、結果として組織全体の業務効率改善と生産性向上へ至ると期待されます。

まとめ

情報通信技術の進歩・発展に伴い、さまざまな業務がデジタルへとシフトしています。しかし、どれだけテクノロジーが発展してもビジネスの土台にあるのは人間であり、企業の価値創出の源は人的資源である従業員です。従業員の労働生産性を最大化するためには適切な人事評価制度が欠かせません。優れた人材を確保するためにも「P-TH/P-TH+」のような、人事評価システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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