福祉専門職として、今後どのようなキャリアプランを描けばよいのか悩んでいませんか?本記事では、今後介護のスペシャリストとしてキャリアを積んでいきたい方を対象に、具体的なキャリアアップの流れについて解説します。ぜひ今後の参考にしてください。
福祉・介護での一般的なキャリアアップの流れ
業界によってキャリアアップの流れは異なりますが、福祉・介護業界ではどのような流れが一般的なのでしょうか。最終的に何を目指すかにもよりますが、一般的にはまず介護福祉士を目指し、そこからより上位の資格や職位、独立開業を目指すといった流れが挙げられます。
介護福祉士は、現場で指導や監督などを担う責任者です。未経験で業界へ飛び込んだのなら、最初に介護職員初任者研修を取得し、その後介護福祉士実務者研修を修了させて、介護福祉士を目指しましょう。
国家資格である介護福祉士を取得すれば、一般介護員の指導も任される重要なポジションにつける可能性があります。資格取得後に現場でしっかりと経験を積んでいけば、職場で介護スタッフを管理する職位も目指せるでしょう。
ケアマネのような、さらに上位の介護系資格取得も視野に入れられます。ケアマネジャーになるには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格しなければなりません。ただ、受験するには現場での膨大な経験が必要となるのです。
現場職員としてのステップアップ
介護の現場で働く方が、どのようにステップアップしていくのかを把握しておきましょう。どのようなポジションを目指すにしても、まずは現場で介護の仕事を経験することが第一です。具体的なステップとしては、介護職員初任者研修→実務者研修→介護福祉士の流れで進みます。詳しく見ていきましょう。
介護職員初任者研修
介護のスペシャリストを目指す、登竜門のような資格です。以前はホームヘルパー2級と呼ばれていた資格ですが、現在では名称が変わりました。計130時間の講習を受け、試験に合格すれば取得できます。
受験資格に現場での実務経験は求められないため、未経験から業界へ入る方はまずこの資格取得を目指しましょう。この資格を足掛かりに、どんどん上位の資格や職位を目指せます。取得して、まずはスタートラインに立ちましょう。
講座は、自治体の養成機関や資格スクールなどで受けられます。利用するスクールによって幅がありますが、受験料と併せてだいたい6~15万円程度が目安です。さまざまなスクールで費用を比較しながら選ぶことをおすすめします。なお、ハローワークに相談すれば、無料受講できる講座を紹介してくれることもあるようです。
資格取得せずとも介護の仕事には就けますが、先述した通り介護のスペシャリストを目指せる登竜門となる資格です。キャリアアップを目指すのなら、取得をおすすめします。
実務者研修
介護職員初任者研修より上位ランクに位置する資格です。初任者研修を修了せずとも受講、取得は可能ですが、基本的な知識を身につけたうえで受講すれば、より深いところまでスムーズに理解できるでしょう。
450時間におよぶ、実務者研修過程を修了すれば取得できます。初任者研修修了済みなら、一部科目が免除されるため320時間ほどに短縮されます。
たん吸引や経管栄養などの知識、技術の習得を求められることが特徴です。広く専門的な知識を習得しなくてはなりませんが、取得すれば介護福祉士の受験資格を得られ、サービス提供責任者にもなれます。
資格スクールの講座でも受講でき、費用の目安は10万円前後です。費用だけでなく、カリキュラムや学習スタイル(通学・通信)も比較しながら選びましょう。
介護福祉士
介護職では唯一となる国家資格です。実務者研修を修了し、なおかつ3年以上の実務経験を有する方が受験できます。福祉系高校を卒業している、または専門の養成施設で2年以上学んでいる方は、実務経験なしで介護福祉士の試験を受けられます。
主な仕事内容ですが、一般の介護スタッフと大きな違いはありません。現場では、利用者の身体介助や生活支援、通院介助などを行います。ただ、現場の責任者、リーダーとしての役割を担うことが多いため、周りに目を配りながら業務を適切に遂行する必要があります。
受験料は15,300円(税込)です。合格率は70%前後で推移しており、そこまで難易度が高いとはいえません。頑張って勉強すれば取得できる資格です。
現場に欠かせない職種、資格であるため、有資格者はよい待遇で迎えられるケースが少なくありません。即戦力になれる人材と判断され、就活や転職でも有利になる傾向があります。
介護福祉士以降のキャリアプラン
介護福祉士の資格を取得すれば、さまざまな未来の選択が可能です。代表的な道筋としては、ケアマネジャーへのキャリアアップが挙げられますが、職場で管理職や施設長を目指す、認定介護福祉士の取得を目指すといった道もあります。
ケアマネジャー(介護支援専門員)
ケアマネジャーは、利用者の状態に合わせた適切なケアプランの作成を行う職種です。介護系資格の中でも最難関といわれていますが、その分高待遇が期待でき、転職でも有利に働きます。
ケアマネジャーになるには、介護支援専門員実務研修受講試験の合格が必須です。受験資格として介護福祉士の資格が必要で、なおかつ特定の業務において5年以上の経験、900日以上の従事日数を求められます。
介護職におけるキャリアとしては、ひとつの到達点といえるでしょう。一般介護員や介護福祉士は、ケアマネージャーが作成したケアプランに沿って、介護サービスを提供します。他の介護スタッフとは実質的な上下関係がなりたち、現場におけるヒエラルキーのトップといっても過言ではありません。
なお、ケアマネージャーになるには試験に合格するだけでなく、介護支援専門員実務研修を計87時間受ける必要があります。また、5年ごとに更新研修を受けなくてはなりません。
マネージメント力を高める道
現場での経験を積み、マネージメント力を高めれば事務所の管理職や施設長などを目指せます。介護施設における役職の一種であり、責任者としてさまざまな管理業務に携わります。
介護施設によって、管理者や施設長になるための要件は異なりますが、難易度の高い資格の取得者でないとなれないわけではありません。そのため、ケアマネジャーではなく、こちらの道を選択する方も一定数いるようです。
事業規模の大きな企業では、運営する事務所の数も必然的に多くなります。数が増えれば、その分マネージメントを行う人材が必要になるため、マネージメント職に就ける可能性はさらに高くなるでしょう。
また、マネージメント業務に携わる中では、さまざまな人との関わりがあります。資金を貯めつつ人脈の拡大にも勤しめば、やがて独立開業の道も開けるでしょう。
現場での専門性を高める道
現場での仕事にこだわり続けたい、といった方には認定介護福祉士の資格取得をおすすめします。介護福祉士の上位資格であり、介護福祉士よりもさらに広く深い知識、技術が求められる資格です。
なお、介護福祉士は国家資格ですが、こちらは民間資格であるため注意してください。民間資格ではあるものの、介護福祉士よりもさらに専門的かつ高度な知識、技術を習得しているとみなされるため、現場でより重宝されると考えられます。
資格を取得するには、介護福祉士として5年以上の実務経験が必要です。そのうえで、養成研修を修了すれば取得できます。2015年に誕生した、比較的新しい資格ですが、専門性をアピールできる資格として取得者は増え続けています。とにかく現場にこだわりたい方は、視野に入れてみてはいかがでしょうか。
就活・転職では、キャリアパス制度にも注目!
キャリアパスとは、目指す将来への明確な道筋のようなものです。近年では、スタッフの離職率低減やスキル向上などを目的に、キャリアパス制度を導入する介護事業所が増えてきました。
キャリアパス制度があれば、キャリアアップへの道筋が明確になるため、モチベーションアップにつながります。スキルも磨けるため、今後より理想的な条件で働くことも可能です。
「やりがいはあるけれど、介護の仕事は将来性が不安」と考えている方も中にはいるかもしれません。特に、業界未経験の方ならそう考えても不思議はないでしょう。そのような方こそ、キャリアパス制度のある事務所がおすすめです。将来を見通しやすくなり、目指すところが明確になれば、不安も払拭できるでしょう。
このように、キャリアパス制度を導入している事務所で働くことには、さまざまなメリットが見出せます。スキルアップしながら転職したい方にも適しているため、キャリアパス制度を導入している事務所での勤務がおすすめです。
まとめ
未経験から介護業界へ足を踏み入れる方は、まず介護職員初任者研修を修了し、その後介護職員実務者研修、介護福祉士と歩みを進めましょう。介護福祉士以降のキャリアは、ケアマネジャーや施設の管理者、認定介護福祉士などを目指す道があります。
最終的に目指すものを明確にし、なおかつキャリアパス制度を導入している事業所に勤務すれば、目指す未来へ向けてスムーズに進めるでしょう。本記事の内容を参考に、理想的なキャリアを歩んでください。
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