人事評価制度の作り方のポイントは? 考課を成功に導く仕組み作りの方法を解説

 2022.07.27  AJS株式会社

この記事では、人事評価制度の作り方についてまとめています。人事評価制度の基本から、人事評価制度を行う目的、評価に利用する項目の種類と特徴、人事評価制度の作り方の詳しい手順まで解説しています。人事評価制度を作る際の参考にしてください。

人事評価制度とは?まずは基本を整理

人事評価制度とは、従業員の能力や会社への貢献度などを評価して人事考課に活用する制度です。企業で定めている評価基準を元に、年に数回の評価が行われます。人事評価では、「評価対象期間中の従業員は、どんな仕事でどんな業績を上げたか」また「どんな能力があるか」「勤務態度はどうか」など、客観的に判断できる内容で一人ひとりを評価します。

人事評価の目的・意義

そもそも、なぜ人事評価を行うのでしょうか。人事評価をより有効に活用するには、人事評価の目的を把握し、目的に合う評価制度を構築することが大切です。

人事評価の主な目的には、「従業員の処遇決定」や「人材の育成」のほか、「採用への備え」「経営方針や目標の周知」などがあります。

人事評価を行った結果から、賃金やボーナス、人材配置などを決定します。会社が公平で透明性がある人事評価を取り入れれば、従業員は自己を正しく評価される環境で働けていると感じ、会社への貢献度や目標達成に向けたやる気の向上につながります。高く評価されることを1つの目標とする従業員が増えるため、人材育成にも有効です。

また、企業にとって必要な人材がわかるため、採用時にほしい人材を絞りやすくなり採用のミスマッチを防げます。さらに、人事評価時に利用する評価項目の内容によって、企業の求める従業員像や、経営上高く評価される従業員の姿を従業員に伝えられます。自社の経営方針や目標に対して従業員の理解を深める機会につなげられるでしょう。

人事評価制度の役割

人事評価制度は、従業員の企業への貢献度合い、パフォーマンス、本人の能力や将来の可能性、得手・不得手を把握し、どのように待遇に反映するのかを整理し、明文化したものです。

よく似た制度に「人事考課制度」があります。明確な違いはありませんが、一般的には査定を目的とした狭義な「人事考課」、「人事評価」は広義に使われることが多いようです。

人事評価制度の項目や手法の種類

人事評価制度はさまざまな評価項目から構成されます。評価項目の貢献度や能力などの種類は、業務を行う上で必要な評価を行うチェック項目です。どのような項目や手法があるのか説明していきます。

業績評価

業績評価は、多くの会社で人事評価制度に組み込まれている評価項目の1つです。会社の売上や利益などに対する一人ひとりの業績や、また、その成果に至るまでに行ってきた過程が評価の対象となります。

業績評価を実施する場合には、評価対象となる業績単位を明確にしなければなりません。また、評価されるグループ内では、一人ひとりの評価をあいまいなものにしないでそれぞれ明確な数値にして出すことが重要です。

業績評価を行うためのグループ分けには、職能の違いによってグループを分ける方法と、製品別や地域別にグループを分ける方法があります。人事、製造、販売など、職能別に分かれたグループでは、その部署の機能が評価の対象になります。対して製品別に分かれたグループで行われるのは、製品の業績に応じた評価です。この評価グループは、組織の変化などに合わせて変更していく必要があります。

能力評価

能力評価は、従業員の知識や能力・業務に関連するスキルなど、職務遂行能力を評価する評価項目です。一般的な事例では、サービス業の場合には「接客スキル」「販売知識」などが評価項目に該当します。昇給や昇進の際にはこうした評価が重視されるため、あらかじめ「職能資格要件書」または「職能資格基準書」を定め、公正に評価を行わなくてはなりません。

「企画力」「実行力」「改善力」「対人能力」「判断力」「指導力」「折衝力」「理解力」「知識」などそれぞれの評価項目について、明確な評価基準や評価尺度を作成する必要があるでしょう。

企業には、能力評価によって従業員の能力を詳細に把握できるというメリットがあります。従業員の能力から適正が読み取れるので、適した部署へとスムーズに配置可能となるため、仕事のミスマッチを予防していけます。

また、能力評価基準を作成することにより、業務のために求められている能力を従業員自身が把握し得るでしょう。必要な能力を自分で理解できるため、従業員が自発的に能力向上を目指して勉強を行うケースが増加し、人材育成につながります。

能力評価は、年功序列に根差した人事評価制度を取り入れている企業ではうまく機能しないかもしれません。元々年功序列の評価システムを取り入れていた企業の場合、年齢が上がったときに「能力が上がった」と判断するなど、単純な「能力評価」を行えないケースもあるので注意が必要です。なお、一般的な職業能力シートについて、厚生労働省はサンプルを公示していますので、参考にしてください。

情意評価

情意評価は仕事に対する意欲を評価する項目です。従業員の勤務態度はどうか、モラルある行動がとれているか、協調性はあるかなどの項目がチェックされます。情意評価は評価の明確な基準がなければ、評価者の主観が入りやすくなってしまいます。実際に評価する上司によって判断が大きく変わるといった問題点にも注意が必要です。一般的には、情意評価は人事評価のなかでも重視すべきでない項目と考えられています。

情意評価では、「感謝」「積極性」「地域貢献」「責任感」「思いやり」の5つの項目を取り入れ、評価に正確性を持たせるのがおすすめです。

以上が基本となる評価方法の3領域です。「業績」「能力」「情意」については以下の記事でも詳しく解説しています。

人事評価の3つの基準「業績」「能力」「情意」とは? 策定のポイントを紹介

近年では上述の項目の他にも新たな評価基準として「コンピテンシー」や「360度評価」もよく耳にするようになりました。

行動評価(コンピテンシー評価)

行動評価項目(コンピテンシー評価)は、アメリカを中心に使用されていた人事評価システムです。日本では1990年代頃から企業の人事評価に取り入れられるようになり、現在は多くの企業がこの評価項目に注目しています。

コンピテンシーとは、成果を産み出せる人材の行動特性のことです。業務に対して実行した行動をチェックするため「プロセス評価」とも呼ばれており、特徴として、スキルよりも具体的にどのような行動を取るかを重視しています。

このコンピテンシー評価では、最初に業務遂行に向けた理想的なモデルを作成し、それを基準にして個人の行動評価を行います。従業員の行動評価を理想モデルと比較してチェックするため、これから伸ばすべきポイントを明確にすることが可能です。コンピテンシー評価は、理想モデルと比較するという特徴から、人材育成にも適しているとされています。

360度評価

一般的な評価制度の場合は、従業員の評価は主に担当の上司が行います。一方で360度評価の場合は、従業員の周りにいる上司や同僚、部下など、さまざまな立場の人が1人の従業員に対して評価を行います。取引先や顧客の声も、評価の参考とされる場合もあるかもしれません。

テレワークやサテライトオフィスなど働き方の多様化する今日、直属の上司の見解だけでは正しい評価が出せないケースも増えてきています。360度評価では、上司だけではわからないことまで、ほかの立場の人達から、被評価者は説明、評価が受けられます。これにより、偏りがない公正な人事評価を期待できるのです。

人事評価制度の作り方をステップ別に解説!

人事評価制度はどのように作るといいのでしょうか。人事評価制度の作成時には、目的やチェックすべき項目、評価の行い方などに注意が必要です。細かいところまで確認したいときには、インターネットでサンプルなどを確認するのもおすすめです。以下で挙げている項目に沿って、人事評価制度のつくり方を詳しく解説していきます。

導入目的・目標を決定する

人事評価を導入する際には、最初に導入の目的や設計のコンセプトを定めましょう。人事評価の導入には、人材育成に力を入れたり、従業員の能力を把握したりできるなどのメリットがあります。ほかにも、「従業員の処遇を決めるため」「従業員の目標を管理して人材育成を行うため」「企業の経営方針に対する従業員の理解を深めるため」など、自社に合った目的・目標を定めれば、経営に活かすことができるでしょう。

例えば、新しいものを創造していくことを目標に掲げている企業においては、「年功序列を廃止して若手人材を採用する・女性従業員数を増やす」といった店舗目標を設置していることも多いでしょう。こうしたケースでは、「これを実際に実現していくためには、どんな人材を配置・採用する必要があるのか」という具体的なプランを明確化しつつ、それに沿った目標・基準を設けるとよいでしょう。

評価基準や評価項目を目的別に定める

人事評価の導入目的が決まったら、それに向けての評価項目や基準を設計していきます。
評価項目には、上記の通り「業績評価」「能力評価」「行動評価」「360度評価」「情意評価」などがあります。業績や能力、情意など、評価項目はさまざまですが、この項目のなかでも何を評価したいのか、従業員に何を求めているかによって評価項目を変えることが必要です。

例えば営業職の場合には業績評価を中心とし、複雑な業務遂行が必要なケースではスキルを持っているかどうかチェックするなど、必要な評価項目を目的別に定めていきます。
そして評価項目が決定したあとには、その能力がどれだけの基準を満たしているかを確認できるように、評価の判断基準を定めておく必要もあります。

評価方法や運用ルールを決定する

評価をするための項目などを設定し、評価項目まで準備ができたら、実際に運用するために計画を立てなければなりません。評価を行う期間のほか、基準や評価方法、評価の活用範囲も設定します。人事評価制度を受ける際には、評価方法で全体的なルールを作成しましょう。さまざまな評価項目があるので、1~5までの5段階評価に分けることも可能です。

人事評価制度の作成時に注意したいポイント

人事評価制度作成時には、従業員からの不満が少ない運用方法を念頭に置き、人事評価制度が定着するようコンセプトを明確にしながら周知していくことも大切です。

人事評価は正しい評価期間内のみで行い、期間外の評価については対象外とします。さらに職務行動のみに対して評価を行うなど、従業員が公正に評価される形で行うことが大切です。

また、人事評価の手順には、上司からのフィードバックを含める必要があります。フィードバックを実施し、自分の改善すべき点に向き合う機会を設けることが成長につながるでしょう。
こうした人事評価で一貫して重要となるものは、制度の透明性です。「人事評価が基準通りに行われている・誰もが適正に評価されている」と一人ひとりが自覚できることは、従業員全員のモチベーション上昇につながり、企業へのさらなる貢献にも期待が持てるでしょう。

加えて、人事制度にもトレンドがあるため、評価制度を作成してから長い年数が経っている場合には、内容を見直すことも大切です。

適切な人事評価実践に力を入れたいが、その業務へ時間が取れない・評価シートの管理も困難であるなど、人事評価の業務にお悩みの場合には、専門システムの導入がおすすめです。評価データを一元管理できる人事評価システムである「人事評価システムP-TH/P-TH+」では、評価内容はレポート出力・データ分析ツールとの連携で簡単に集計・分析が可能。さらにExcelと連動しているので、データの移行や管理も楽に行えます。

企業の人事評価制度に、企業独自の制度やトレンドを取り入れながらスムーズにシステム化できる「人事評価システムP-TH/P-TH+」は、継続利用率96%の実績がある人事評価システムです。Webシステムとして業務の効率アップも図れるため、これまでの人事評価関連業務における悩みが改善できるでしょう。

まとめ

人事評価制度では、従業員の能力や貢献度などを適切に評価・分析することが大切です。従業員の処遇決定や人材の育成など、重要な役割を持つ人事評価を効率よく行うためには、人事評価システムの導入がおすすめです。人事評価制度を変えずにそのまま便利にシステム化できる「人事評価システムP-TH/P-TH+」で業務の効率化がかないます。

 
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