リモートワークの人事評価における注意点や役立つ手法・システムを紹介

 2022.06.01  AJS株式会社

新型コロナウイルスの感染予防対策として急速に普及したリモートワークは。いまやニューノーマルな働き方として定着しつつあります。そこで大事になってくるのが、リモートワーク環境を前提にした人事評価制度です。そこで本記事では、リモートワーク環境の人事評価制度に役立つ手法やシステム、その注意点などについて解説します。

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そもそもリモートワークとは

そもそも「リモートワーク」ないしは「テレワーク」とは、インターネットなどICT技術を用いて遠隔地で仕事をする働き方を意味します。リモートワークといえば従業員が各々の自宅から業務を行う在宅勤務を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、リモートワークはそれだけに限りません。

例えば営業先や出張先などの出先からノートPCやスマートフォン、タブレットなどを用いて仕事するのもリモートワークの一種です。また、最近では郊外などにサテライトオフィスを設置する企業も増えていますが、こうしたサテライトオフィスで勤務することもリモートワークの中に含まれます。

リモートワークはクラウドシステムやマルチデバイスの普及など、ICT環境の発展によって技術的環境が整いました。しかし、多くの企業がリモートワークを一気に採用しはじめたのは、2019年に発生した新型コロナウイルスの世界的パンデミックによってです。感染予防対策としての「密集・密接・密閉」の「3密」の回避、あるいは緊急事態宣言の発令によって外出そのものの自粛が社会的に要請される中、従業員が自宅において勤務できるリモートワークの需要が一気に高まったのです。リモートワークはコロナの終息後も、場所や時間にとらわれない「ニューノーマル」な働き方として今後も利用され続けることが予想されています。

リモートワークの人事評価に注意すべき理由

リモートワークの導入は企業にさまざまな業務上の変更を強いるものですが、その1つには人事評価制度の見直しも含まれます。というのも、従来の働き方と異なり、オフィス外で実施するリモートワークでは従業員の働きが見えづらく、従来の従業員全員がオフィスで一緒に働くことを前提にした人事評価制度では対応できない部分が多いからです。

例えば、人事評価の評価項目の中に「勤務態度」など業務プロセスを重視した内容を組み込んでいる企業も多いことかと思います。しかし、リモートワーク環境においては、上司が部下の勤務態度を逐一把握することは困難です。このため、リモートワークをメインにした勤務形態にする場合、従業員を従来のやり方で評価しようとすると無理が生じてしまう恐れも生じるため、実施に際しては注意を要します。

リモートワークの人事評価における注意点

上記のように、リモートワークを導入する場合は従来の人事評価制度をそのまま適用するのが難しい場合も多いため、部分的ないしは全体的に人事評価の方法を変える必要があります。以下では、リモートワーク環境における人事評価の注意点について解説します。

成果とプロセスの評価バランス

リモートワーク環境における人事評価を考える際の課題となりがちなのが、成果とプロセスの評価バランスを如何に設定するかです。従業員がオフィス外で勤務するリモートワークにおいては業務プロセスが把握しにくいため、成果主義的な方向に傾いた人事評価制度の導入を検討している人事担当者も多いことでしょう。

しかし、安易に成果主義だけに偏った評価体制を築くと、従業員のモチベーション管理などに弊害が出ることも考えられるので注意が必要です。そのため、人事担当者は、リモートワーク下において個々の従業員が担当する業務プロセスを可視化するとともに、従業員とのコミュニケーションを確保し、成果とプロセスの評価バランスを取ることが求められます。

評価項目の明確さ

上述した成果とプロセスのバランスとも関連する問題ですが、リモートワーク環境においては従来よりもさらに人事評価の基準や各項目の内容を明確にすることが大切です。リモートワークにおける人事評価の問題に悩んでいるのは管理者側だけではありません。部下の側も、上司とのコミュニケーション不全などが起こる中で、「上司から自分がサボっていると思われているのではないか」「自分の成果が不当に低く評価されているのではないか」など、疑心暗鬼に陥ってしまう場合があります。

このような不安は、リモートワーク環境においては従来の評価体制が機能不全を起こすことを部下側も理解しているために生まれるものであり、なおかつ新しい評価基準が明確に示されない場合に顕著となるでしょう。上司側も無理に従来通りの仕方で部下の管理や評価をしようとして、頻繁に必要性の薄いWeb会議を開催して部下の様子を確認したり、常にチャットに応答するように部下に求めたりといった不合理なことをしてしまうことが懸念されます。そのため、リモートワークを導入する際には、可及的速やかに新たな評価項目の明確化を行い、それに適した評価方法や人材マネージメント体制を構築しなければなりません。

評価方法の一貫性

たとえ評価項目の明確化ができても、その評価方法が人によってばらばらでは片手落ちです。リモートワーク環境においては人事部門と各現場の管理職の間でも情報の共有が滞りがちです。その結果、評価方法の周知が行き届かず、各評価者がそれぞれの方法・基準で従業員を評価してしまうなど、人事評価の属人化が生じてしまう恐れにつながります。

このため、新たな人事評価制度を構築する際には、評価項目や評価基準・評価方法などについて社内で認識を統一して、一貫性を保つように注意しなければなりません。人によって評価方法がばらばらでは人事評価の公平性・公正性は保てず、従業員からの信用や、データとしての信憑性も維持できなくなってしまいます。

情報の把握・共有手段

既に何度も触れているように、リモートワークではコミュニケーションの機会が減り、各所で情報共有が不十分になることが想定されます。これは人事評価だけでなく、各管理職による日常的なマネージメント業務においても深刻な問題です。

このため、リモートワークを導入する際にはこのような問題を認識し、情報の把握や共有手段を確保できるように考えなければなりません。具体的には、例えば定期的に上司と部下の間で面談の時間を設けるなどが挙げられます。なお、面談とはいっても対面(オフライン)での面談に限らず、面談の内容や双方の希望に応じて適宜オンライン会議システムなども利用するといいでしょう。

従業員の心理・モチベーションへの影響

「成果とプロセスの評価バランス」の項でも触れたことですが、リモートワーク環境において従業員は上司からの評価について不安を持つ場合があります。そして、もしリモートワークに適した評価方法が確立されないまま不適切な形で人事評価がためされた場合、従業員のモチベーションが大きく低下してしまうことが懸念されます。加えて、在宅勤務の弊害として、心理的な孤立感や、生活リズムないしはワーク・ライフ・バランスの乱れなどが生じやすい、という問題もあります。

つまりリモートワークを導入する際は、人事評価やマネージメントにおいて、従業員の心理状態やモチベーションの把握・管理に従来よりも注力しなければならないのです。

評価する側の理解やスキル

リモートワークにおける人事評価では仕組み的な部分や評価される側のことだけでなく、評価する管理者にも注意を払う必要があります。「評価方法の一貫性」にも通じることですが、従来と異なる人事評価制度を導入したとしても、個々の評価項目や評価基準、評価方法等について、評価する側の人材に理解やスキル不足があれば、適切な運用はできません。そのため、新しい人事評価を導入する際には、必ず新たな人事評価の方法や考え方、評価要領などについて評価者に対して丁寧に説明・教育する必要があります。

リモートワークの人事評価に役立つもの

上記のように、リモートワークの人事評価においては、検討すべき課題が数多くあります。そこで以下では、課題の解決に役立つものの一例として、リモートワークに適した人事評価の手法と人事評価システムについて紹介します。

人事評価手法

リモートワークの人事評価をする上では、以下のような人事評価の手法が参考になります。

  1. MBO
    MBOとはManagement by Objectives(目標による管理)を略したもので、従業員は上司と相談しながら自ら目標を設定し、上司はその目標に対する達成度などを適宜チェックして従業員を評価します。リモートワーク環境下において、MBOは成果とプロセスのバランスや従業員の納得感を得やすい手法として期待できます。
  2. バリュー評価
    バリュー評価は、自社が重んじる価値観や行動基準を明文化し、企業姿勢と従業員の足並みを可能な限りそろえることを目的とした方法です。個人主義的な働き方になりがちなリモートワークだからこそ、組織性を重視した評価基準の重要性が増してくるとも言えるでしょう。
  3. 360度評価
    360度評価は「上司→部下」だけでなく、「部下→上司」や「同僚→同僚」のように、さまざまな人物が多角的に人事評価を行う方法です。評価者を上司一人に絞らないことによって、評価の公平性を高められるので、人事評価に対する従業員の不安軽減も期待できるでしょう。
  4. ノーレイティング
    人事評価に際して点数や「A評価」などの記号評価をつける企業も多いでしょうが、ノーレイティングはそうした単純なランク付け(レイティング)による評価を行わない評価方法です。ノーレイティングにおいては従業員との対話を通して従業員の取り組みを理解していくことになるので、コミュニケーションが不足しがちなリモートワークの欠点を埋めるような評価方法だと言えるでしょう。

人事評価システム

人事評価システムは、人事評価制度の実施をデジタル上で一元的に管理運用することを可能にするITツールです。例えば、評価シートの配布や提出なども紙ベースで行うことなく、システム上で完結できるので、リモートワーク環境においても人事評価における関連業務の効率化に大きく寄与します。人事評価システムにはさまざまな種類があり、それぞれ異なった特徴があるため、自社のニーズに即した製品をよく検討することが大切です。

まとめ

リモートワーク環境においては従業員間の情報共有・コミュニケーション不足が生じやすく、それが人事評価の運用においても悪影響を及ぼします。こうした課題を改善するには、リモートワークに適した評価手法を採用したり、人事評価システムを導入したりすることなどが有効です。リモートワーク環境においても適正かつ効率的な人事評価を可能にするためにも、ぜひ「人事評価システムP-TH/P-TH+」の導入をご検討ください。

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