従業員の勤務態度の評価においては、確認すべき項目や評価方法、重要なポイントが存在します。本記事では勤務態度の評価に必要な考え方や、評価作業の効率化につながるツールなどについて紹介します。適切な人事評価をするうえで役立つ情報ですので、ぜひチェックしてみてください。
そもそも勤務態度とは
従業員の勤務態度の良し悪しは、ひいては会社全体の生産性や収益につながるものです。適切な評価をしなければ、従業員のモチベーションや離職率などにも影響を及ぼします。では、勤務態度とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。
勤務態度は、「仕事への行動や姿勢」を意味します。これには「業務が円滑に進むよう取り組んでいるか」「会社の規則やルールをきちんと守れているか」「周りの人々とのコミュニケーションやチームワークを重んじているか」などが該当します。日々仕事する中での本人の行動全般に関わるところであり、仕事の成果よりは、素行や進め方という観点から評される部分です。
仕事の成果や能力といった事柄と同様に、人事評価する際に評価される要素の1つとなっています。言い換えると、いくら業績を上げ、高度なスキルを持っていても、自分勝手な行動が目立ったり、会社の規律を乱す行為があったりすると、勤務態度としての評価はマイナスとなってしまいます。
勤務態度を評価する重要性
評価の1つとして勤務態度があるのは、ほかの従業員への影響があるためです。例えば、遅刻の多い従業員が1人いると、従業員全体の中で「あの人も遅れているから少しぐらいは許されるだろう」という思考が生まれ、時間にルーズな組織へ発展してしまう恐れもあります。また、勤務態度がよくないと、取引先など社外とのトラブルに発展してしまうことも考えられます。
会社が不利益を被らないためにも、業務への姿勢や他者に対する態度などをきちんと評価することが重要なのです。加えて、どのような人物なのかを評価していくことで、適材適所の人材配置を行ううえでも役立ちます。
勤務態度の評価に使われる項目
勤務態度を評価するにあたって、どのような観点から評価することが重要なのでしょうか。ここでは大きく6つの項目に分けてご説明します。
規律性
「言葉遣いや礼儀、社内のルールを守れるか」「遅刻や無断欠勤をしないか」など、本人の行動そのものが直接的に表れる部分です。またルールだけでなく、上司の指示をきちんと聞けるかといった部分も含まれます。
積極性
「仕事に対して前向きに取り組んでいるか」「会議やミーティングなどの場で積極的に発言しているか」などを評価する項目です。加えて「自分自身のスキルアップなど自己啓発に力を入れているか」も、1つの評価基準となります。
協調性
どのような仕事であっても1人で完結することはなく、何らかの意思疎通は発生するものです。そのため、「周りとコミュニケーションを取りながら仕事が進められるか」「ホウレンソウ(報・連・相)を基本とする、業務の円滑化に必要なやり取りがきちんと行われているか」を見る項目です。
経営意識
「会社が持つ経営理念や、中長期経営計画などの方向性に沿って仕事が実行されているのか」を評価する項目です。いくら仕事ができると言われていても、必要以上に経費を使うなどしていては、自分の立場が理解されていないと見なされてしまうかもしれません。
責任性
「任された業務を、責任を持って遂行できるか」ということを評価する項目です。また、「社内外問わず約束したことをきちんと行えているか」「人任せにして途中で仕事を投げ出すようなことがないか」なども責任性に関わる部分となります。
安全意識
「服装や身だしなみが業務にふさわしい状態であるか」「万一の事故などが起きないよう、日頃から安全に気を配れているのか」などを評価する項目です。
勤務態度の評価方法
続いては、勤務態度の捉え方や評価項目を押さえたうえで、実際にどのように評価していくかについて解説します。実際の評価においては、以下の2つのポイントを押さえることが重要です。
段階的な評価を付ける
まず、前述の評価項目を自社の状況に合わせた文言に設定しておくことが先決です。また、それぞれの項目を細分化すると、より評価しやすくなります。そのうえで、各項目に「1〜5」「A〜E」などの段階的な評価を設け、良し悪しを判断しましょう。例えば「5」の評価では、「遅刻・無断欠勤が一度もない」といった具合に選考基準を定めておくと、より評価としての精度が上がります。
評価について理由など詳細を記す
段階的な評価に加えて、なぜその評価に至ったかがわかる理由など、詳細を明記しておくことが重要です。これは、第三者から見てもその評価が妥当であるとわかるように示したり、評価者(上司)が異動などにより変わった場合でも、画一的な評価ができるようにしたりする役割があります。
勤務態度の評価におけるポイント
ここでは、勤務態度を評価するために忘れてはいけないポイントについて紹介します。適切な人事評価を行うためにも非常に重要なことですので、しっかりと押さえておきましょう。
さまざまな観点で評価する
勤務態度を評価するうえで忘れてはならないのが、人によって得手不得手とする部分は異なることです。例えば、会議やミーティングなどの場ではなかなか発言せず、「積極性」の部分ではマイナスであるものの、与えられた業務はきちんと完遂する「責任性」に優れた人材などもいることでしょう。そのため、よい部分/悪い部分など一方の事柄だけで総評せず、バランスよくさまざまな観点から評価することが大切です。
属人性を抑えて評価する
評価者によって評価の基準や捉え方が異なるようでは、人材を公平に評価できる指標とは言えません。そのため、誰が見ても同じように評価できる判断基準や制度を整えておく必要があります。また、評価者1人の主観や私情によって評価が歪められてしまうことのないよう、複数人で評価を行うなどの対策を講じることも重要です。
注意深く評価する
勤務態度評価は、その会社で担う役割や昇進など、その人のキャリアに大きな影響を与えます。そのため、事実に基づかない誤った評価や、一度の出来事だけで判断した狭窄的な評価とならないよう注意しましょう。注意深くかつ高精度な評価を下すためにも、必要に応じて定期的な評価制度の見直しを行うのも手です。
まとめ
人事評価は、従業員の適材適所への配置や人材育成などにおいて重要な業務です。一方で、それらには人手や手間がかかるのも事実です。そのような課題を解決するのが、AJS株式会社が提供する人事評価システム「P-TH/P-TH+」です。これまで企業で使用していたエクセルなどの評価シートはそのままに、Webに落とし込むことで評価制度のクラウド化が実現できます。人事評価業務の効率化やさらなる活用を検討されている方におすすめです。
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