テレワークで評価制度の見直しをすべき理由とは?評価手法例も紹介

 2022.07.06  AJS株式会社

近年、ワークライフバランスを実現する働き方としてテレワークが注目を集めています。しかし、テレワークは勤怠管理の難しさやセキュリティリスクなど、さまざまな課題を抱えています。なかでも見落としがちにとなっているのが人事評価制度の整備です。本記事はテレワーク環境で人事評価制度を見直すべき理由を解説するとともに、具体的な評価手法を紹介します。

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テレワークとは

テレワークとは「tele=遠い・遠隔」と「work=仕事・作業」を組み合わせた造語であり、「ICT(情報通信技術)」を駆使して行われる、時間や場所にとらわれない働き方を指します。在宅勤務やモバイルワーク、サテライトオフィス勤務など、オフィスから離れた遠隔地で働くワークスタイルの総称がテレワークです。ICTの進歩・発展によって、情報機器と通信環境さえあれば自宅やカフェなど、場所を問わず働けるようになったため、近年になって急激に普及しつつあります。

テレワークが注目を集めるようになった背景にあるのは「働き方改革関連法」の施行です。2018年6月に「働き方改革関連法」が参院本会議で可決し、2019年4月より順次施行されました。働き方改革関連法の主な目的は、長時間労働の是正やワークライフバランスの実現といった、よりよい労働環境を構築することにあります。これを受けて労働環境の抜本的な見直しと改革の必要性が生じた企業の多くは、新しい時代に即した働き方としてテレワークを導入するに至ったのです。

また、2020年3月にパンデミック認定された新型コロナウイルスの感染拡大もテレワークが増加した大きな要因と言えます。パーソル総合研究所のレポートによると、2020年3月時点における国内企業のテレワーク実施率は13.2%でした。しかし、緊急事態宣言発令後の4月以降になると27.9%と約2.1倍にまで上昇しており、簡易推計で約400万人の増加となっています。多くの企業が新型コロナウイルスの感染症対策としてテレワークを取り入れたことが窺えるデータと言えるでしょう。

テレワークで評価制度の見直しをすべき理由

働き方改革の推進や新型コロナウイルスの感染拡大といった社会的背景も相まって、多くの企業がテレワークの導入を進めています。しかし、テレワークは新しい時代に即した働き方として注目を集める一方で、業務連携の遅滞やセキュリティの脆弱性など多くの課題が潜んでいます。見落としがちとなっているのが、公平かつ公正な人事評価が難しくなるという点です。ここからは、テレワーク環境で適切な人事評価が困難になる理由について解説していきます。

従業員の仕事がうまく把握できない

テレワークの特性上、従業員の労働環境や勤務態度が見えづらく、今までは肌感覚で部下の業績貢献度を測っていた多くの管理者の方は、今までと同じやり方では公平な人事評価が困難になるでしょう。

従業員の観点から見れば、テレワークは時間や場所を問わず働けるため、多様かつ柔軟な働き方を実現できるという大きなメリット、管理者の観点から見ると勤務態度や業務プロセスに対して今までのように日々、確認することが出来なくなるというデメリットとなるのです。

ビジネスにおいて結果は重要です。しかし、どのような物事も過程を経ずして結果はついてきません。人事評価においても同様で、目に見える成果だけでなく、チームの和を保つ協調性や業務に対する積極性、社内規則を重んじる規律性といった業務プロセスも重要視している企業も多いのではないでしょうか。業務プロセスが見えづらくなるテレワーク環境において、従来の人事評価制度では適切な評価を下すのは困難です。そのため、テレワーク環境を整備するためには、古い人事評価制度の見直しと新たな評価体制の確立が必須と言えるでしょう。

評価基準があいまいになる

テレワークによって業務プロセスが見えづらくなることで、評価基準が成果主義に偏りがちな傾向にあります。成果主義は結果が昇給や昇進に直結するため、従業員のモチベーション向上につながる点がメリットです。

ただし、すべての部門が業績貢献度を定量化できるわけではありません。例えば、営業部や販売部のような直接部門は成果を数値化しやすいものの、人事部や総務部のような間接部門は業績貢献度を成果主義で測るのは困難です。その場合、何を評価基準とするのかがあいまいになる可能性があり、また、そうなると直属の管理職の意向に左右されやすく、人によって評価の仕方にばらつきが出る可能性も否定できません。人事評価制度を正しく機能させるためには、テレワーク環境と従来の労働環境の違いを分析し、評価の基準や体制を抜本的に見直す必要があります。

テレワークに適した評価制度を作るには

テレワーク環境に最適化された人事評価制度を確立する方法を考えてみましょう。重要となるのは「評価項目の再考」「コミュニケーションの観点」「新しい評価手法の検討」の3つです。ここからは、この3要素について順番に解説していきます。

評価項目について再考する

テレワークの人事評価制度を整備する上で大切なのは、評価項目について再考することです。従来のワークスタイルと比べ、テレワークは働く場所や環境などさまざまな点で異なります。そのため、具体的な評価項目について再考する必要があるでしょう。

先述したように、テレワーク環境は労働環境や勤務態度が見えづらく成果主義に陥りがちです。しかし、大切なのは「成果評価」「能力評価」「情意評価」のバランスであり、どこか一点に偏れば必ず歪みが生じます。

成果主義に偏っているようであれば、企画力・実行力などの能力評価や、仕事に対する姿勢や心構えといった情意評価も重視し、中長期的な評価プロセスを整備する必要があるでしょう。逆に職務主義や年功序列に偏っている企業であれば、業績目標達成度や課題目標達成度といった具体的な成果指標を取り入れるべきかもしれません。大切なのはテレワークと従来の労働環境の違いを理解し、適切な評価項目を取り入れて評価基準のバランスを保つことです。

コミュニケーションの観点を持つ

「Teams」や「Chatwork」といったチャットツール、「Zoom」のようなWeb会議サービスの普及によって遠隔コミュニケーションが可能になり、社内コラボレーションの在り方が大きく変わりました。こうしたITソリューションの進歩・発展によって、いつでもどこでも手軽にコミュニケーションが取れるようになったのも、テレワークが普及した要因の1つです。

テレワーク環境でのやり取りは主にチャットツールで行われがちですが、文章主体のコミュニケーションでは意思疎通に齟齬が生じ、業務や手続きなどに支障をきたすケースも少なくありません。そのため、定期的なWeb会議などを実施して、コミュニケーション機会を積極的に創出していく必要があります。

新しい評価の手法を検討する

繰り返し述べているように、テレワーク環境では従業員の労働環境や勤務態度を把握しきれないため、公平かつ公正な人事評価を下すのは簡単ではありません。そこで、人事評価の手法そのものの再構築を検討する必要があります。

もちろん、企業によって具体的な評価の基準や体制が異なるため、絶対的な正解は存在しません。大切なのは従来の評価基準を見直して、新たな人事評価制度を確立すべく継続的な改善に取り組むことです。

そして、一度に大きな改革に取り組むのではなく、小規模な施策から順次拡大させていき、PDCAサイクルを回すことでより洗練された制度の構築につなげましょう。人事評価には成果主義や年功序列といった大きな方針だけでなく、様々な評価手法が存在します。新たな人事評価制度を確立する第一歩として、まずは新しい評価手法の導入も検討してみましょう。

テレワークで検討余地がある評価の手法例

ここからは、テレワーク環境の人事評価制度に取り入れたい評価手法を紹介していきます。

MBO(目標管理制度)

「MBO」は「Management by objectives」の頭文字をとった略称で、日本語では「目標管理制度」と訳されます。経営学者のピーター・F・ドラッカーが提唱した概念で、個人が自主的に業務目標を定めて実行し、その達成度合いに基づいて評価を行う管理手法です。単純な目に見える成果だけでなく、目標達成へ向けたプロセスも評価基準とするため、成果評価・能力評価・情意評価のバランスが取れた評価手法と言えます。

バリュー評価

「バリュー評価」とは、企業の倫理や理念、あるいは価値観に基づく行動規範の実践度合いを評価する手法です。「プロセス評価」や「行動評価」とも呼ばれます。企業の価値観という抽象的かつ定性的な概念を行動規範に落とし込むことで、従業員の足並みをそろえて一体感を出せる点が大きなメリットです。

360度評価

「360度評価」は特定の管理者のみが評価を下すのではなく、上司や同僚、あるいは部下も含むさまざまな立場の人物が多角的に評価する手法を指します。従来の人事評価制度とは異なり、複数の関係で評価を行うため、公平かつ客観的な視点に基づく評価が可能です。労働環境や勤務態度が見えづらいテレワーク環境に対応できると同時に、コミュニケーション機会の創出につながるというメリットもあります。

ノーレイティング

「ノーレイティング」とは、人事評価における従業員のランク付けを廃止し、数値や記号を使わずに評価する手法です。従来のように期末や年度末に「A」〜「C」といったランク付けをするのではなく、リアルタイムの目標設定とフィードバックを実施する過程においてその都度評価を実施します。上司との1on1による面談が必要となりますが、テレワーク環境におけるコミュニケーション不足の解消に寄与する点が大きなメリットです。

まとめ

テレワークは新型コロナウイルスの感染症対策としてだけでなく、新たな働き方のスタンダードになってきています。テレワーク環境を最適化するためには、遠隔勤務に対応した人事評価制度の確立が不可欠です。そこでおすすめしたいのが、人事評価システムの「P-TH/P-TH+」です。テレワーク環境の人事評価制度を整備するためにも「P-TH/P-TH+」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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