リモートワークの評価は成果主義にすべき?目標管理制度などについても解説

 2022.08.03  AJS株式会社

新型コロナウイルスの感染予防対策としてリモートワークの導入が社会的に進む中、人事評価制度を成果主義に移行する企業が増えています。

そこで、本記事ではリモートワーク環境においても導入しやすい評価・マネージメント方法として、目標管理制度も紹介していきましょう。

そもそもリモートワークはどのような働き方か

そもそもリモートワークとは、クラウドサービスやチャットツールなどのIT技術を活用して、遠隔で仕事をする働き方を意味します。リモートワークというと個々の従業員が自宅で在宅勤務するイメージを持つ方が多いかもしれませんが、サテライトオフィスやコワーキングスペースでの勤務や、カフェや移動先からのモバイルワークもリモートワークに含まれます。リモートワークはクラウドサービスの普及やスマートフォン・タブレットなどのマルチデバイスの発達、あるいは政府が推進する働き方改革などの影響で徐々に導入企業が増えていましたが、2019年に発生した新型コロナウイルスの感染拡大により、一気に社会全体に広がりました。

リモートワークの評価は成果主義にすべきか

リモートワークの導入に伴って、人事評価の方法を成果主義に移行する企業が増えています。成果主義とは、プロセスも含む仕事の成果を主な評価基準とする人事評価の方法です。(表面に出た数値のみで評価を行う「結果主義」とは異なる考え方です。)

詳しくはこちらの記事をご参照ください。
成果主義の導入と評価制度について詳しく解説。失敗しないポイントとは

 

リモートワークにおいては、各従業員はオフィスで集まることなく、別々の場所から勤務することになります。オフィス勤務のときのように「常に顔を見る」環境ではなくなり、部下のモチベーションを保つことや働きぶりを確認するために、コミュニケーションの取り方にも工夫が必要になりました。
「努力の結果が評価につながり、従業員のモチベーション向上にも寄与できる」一面が、リモートワークを導入する企業において成果主義を採用する動きにつながっているとも考えられます。

とはいえ、成果主義のみの評価を取り入れるだけでは、別の問題が生じることも考えられます。例えば、リモートワークが長期化する中で、従業員が職場や社会からの孤立感を感じたり、生活リズムが狂ったりしてしまうといったトラブルが発生することも考えられるでしょう。ほかにも、自宅で仕事をすることで私生活とビジネスの時間の切り替えがしづらくなってしまい、ワークライフバランスがかえって悪化してしまったという声を聴くこともあります。

成果主義へと完全に切り替える際は、従業員間のコミュニケーションにも考慮するなど、結果とプロセスとのバランスを考えた評価を検討するのがよいでしょう。

リモートワークの評価について考えるときの着目ポイントとは

上記のように、リモートワークにおいてはオフィス勤務のときと同じ人事評価の方法が適用しづらい側面があります。そこで続いては、リモートワーク環境における評価体制を構築するときに着目すべきポイントについて解説していきます。

評価の項目

リモートワークにおける評価体制を構築する際に最初に取り組むべきなのは、評価項目を見直すことです。先述のように、リモートワーク環境において上司は部下の働きぶりを直接確認できないため、表面に見える数値=成果として偏った評価を行いがちです。

もちろん、必ずしも悪いことではありませんが、プロセスが見えないからと無理に導入を急ぐ必要はありません。例えば、Web会議システムを用いることでも、上司と部下の間、あるいは従業員間の顔を見てのコミュニケーションは可能です。こうしたWeb会議システムを使って定期的に面談することで、部下の仕事の進捗状況や、目的に向けた取り組みなども確認できるでしょう。

大事なのは評価の項目や評価基準を明確に定め、それを従業員にしっかりと周知・共有することです。企業側が「どのようなことを、どのような仕方で評価するのか」を明確に示すことで、従業員はリモートワーク環境においてもどのような心構えで働けばよいのか指針を明確化でき、評価について余計な不安に囚われることもなくなります。なお、当然ながら評価項目や達成目標等を作る際には、リモートワークにおいても実現できるような内容にしなくてはいけません。

評価の方法

評価項目の策定と並行して、評価の方法も制度としてちゃんと策定していかなければなりません。企業として評価方法を規定せず、個々の評価者に任せてしまうと、人事評価は属人化してしまい、企業全体で人事評価の公平性を保つことが難しくなってしまいます。評価者によって評価にばらつきが生じてしまっては、従業員間の待遇には不公平が発生してしまうため、従業員は企業に対して不満や不信感を持ちやすくなってしまいます。そのため、リモートワーク環境における人事評価体制を見直す際には、評価の基準を明らかにし、評価方法の統一を図るようにすることが大切です。

評価に関連する仕組み・取り組み

評価方法にも関連することですが、リモートワークでも人事評価がしやすくなるように、関連する仕組みや取り組みにも着目しなければなりません。例えば、上述したように、Web会議システムにおける面談などを通して従業員の様子を定期的にチェックすることや、コミュニケーションの活性化のために、チャットアプリなどを導入することも、こうした取り組みに含まれます。

また、後に紹介する「人事評価システムの導入」なども有効な手段と言えるでしょう。部下とコミュニケーションが取りづらくなるリモートワーク環境だからこそ、管理者側が意識して、部下がPRできる機会を作ることが重要です。

リモートワークの評価で導入検討したい「目標管理制度(MBO)」とは

リモートワーク環境においては、具体的にどのような評価制度が適しているのでしょうか。以下では、リモートワークの評価をうまく活かすための評価制度として、「目標管理制度(MBO)」について紹介します。

目標管理制度の特徴

目標管理制度とは、従業員自身が自分の達成したい目標を設定し、それに対する取り組みや、達成度などに応じて管理者から評価される評価制度です。目標管理制度においては、目標の設定段階や、その達成に向けたプロセスにおいて管理者が適宜部下の相談に乗り、サポートします。そのため、この制度においては従業員の自主性を尊重しながらも、管理者が適宜方向性を修正し、従業員個人の目標と組織としての目標をリンクさせられます。

目標管理制度導入のメリット

目標管理制度のメリットとしては、評価で考慮される取り組み内容が前持って決まっていることで、適正な評価がしやすいという点が挙げられます。また、事前に設定した目標に対する達成度を評価項目とする目標管理制度は、成果主義を基調としていると言えますが、上司による密接なフォローや管理を前提としている点では、成果とプロセスのバランスが取れた評価・マネージメント方法であると考えられるでしょう。

リモートワーク環境においては成果主義に偏った方法になりがちであることを思えば、上記は大きなメリットです。加えて、リモートワークにおいては、やはり従業員自身が自分のモチベーション管理を行うことがある程度求められますが、目標管理制度において目標を設定するのは基本的に従業員自身なので、モチベーションの向上や自主性の発揮がしやすくなります。

目標管理制度導入の注意点

目標管理制度を導入する際には、いくつかの注意点があります。例えばすでに触れたように、目標管理制度は成果主義の要素も入った評価方法です。そのため、運用次第では、ただの成果主義と変わらない、プロセスを無視した評価になってしまいかねません。目標管理制度において、目標に対する達成度(成果)だけではなく、その取り組みなども正確に評価するためには、日頃から上司が部下と適切にコミュニケーションを取っている必要があります。

目標管理制度を導入する際には、Web会議システムやチャットアプリなど、リモートワーク環境におけるコミュニケーションを補助するITツールや、従業員が担当する業務の進捗状況を可視化する業務管理ツールなどを活用することが大切です。また、リモートワークとは関係なしに、目標管理制度を効果的に運用するためには、従業員にとって甘すぎず、厳しすぎない難度の目標にするように誘導することや、従業員の個人的目標を社の利益に結び付けるように調整する手腕が管理者には問われます。

リモートワークへの人事評価システム活用について

リモートワーク環境においても効率的かつ適切な人事評価制度を実施していくためには、人事評価システムを活用することもおすすめです。そこで以下では、人事評価システムの概要やその導入メリットについて解説していきます。

人事評価システムの概要

人事評価システムとはそもそも、人事評価に関連する業務やデータ管理をデジタル化させるITツールです。人事評価システムにおいては、例えば従業員の目標設定、従業員本人による振り返りの記入、評価者が用いる評価表の作成と記入等々、これまで紙ベースの資料やExcel上などで行っていた作業をシステム上で一元的に管理運用できます。

人事評価システムには、従業員のスキル管理や、目標に向けた達成状況などを記録した目標管理もできるため、目標管理制度を実施する際にも役立ちます。それ以外にも「コンピテンシー評価」といった、主だった評価制度の運用に役立つ機能も搭載しています。

システム活用のメリット

人事評価システムを導入することで、企業はさまざまなメリットを得られます。真っ先に挙げられるのは、人事評価制度の運用業務を効率化し、人事担当者の負担を軽減できることです。人事評価システムを導入することによって、人事担当者は関係者に紙資料やExcelデータを配布したり、そのデータを手作業でとりまとめたりする必要がなくなります。システム上では、各従業員の評価作業の進捗状況などもすぐに確認できるため、評価作業の管理運用は大きく効率化されるのです。

そして、評価一覧などによって評価者による評価のばらつきを抑え、評価方法を標準化することが可能になります。これは当然、人事評価の公平・公正さが担保できるため、従業員のモチベーション向上にもつながるメリットです。

さらに人事評価システムの導入は、評価に関連する情報共有まで効率化します。人事評価制度は、単に評価すれば終わりではなく、該当従業員の昇進・昇給や、自社の人材配置の最適化を図る際の貴重な資料になります。人事評価システムではこれまで実施した評価結果はもちろん、各従業員の職務経歴や異動履歴、保有資格・スキルなどのさまざまな情報を一元管理することが可能です。これらの情報を適宜参照することで、ユーザーは必要な情報をすぐに取得できます。

まとめ

リモートワークにおいては成果主義的な人事評価に偏りがちです。しかし、コミュニケーションツールを活用しつつ目標管理制度を導入することで、成果とプロセス双方のバランスが取れた評価体制がリモートワークにおいても構築できます。また、人事評価システムの導入も公平かつ効率的な制度運用のためにはおすすめです。人事評価作業に役立つツールをお探しの方は、「人事評価システムP-TH/P-TH+」の導入をぜひご検討ください。

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