ピープルマネジメントとは?実践のポイントと施策の具体例

 2025.02.06  AJS株式会社

働き方や価値観の変化、人材市場の流動化などを受けて、企業には今まで以上に個々の従業員へ寄り添う姿勢が求められます。こうした中で注目を集めているのが、「ピープルマネジメント」というマネジメント手法です。本記事ではピープルマネジメントとは何か、その意味や従来のマネジメント手法との違い、実践上のポイントなどを解説します。本記事を通して、ピープルマネジメントの基本的な考え方や取り組み方がわかります。

ピープルマネジメントとは?

ピープルマネジメントとは、業務自体やその成果だけでなく、従業員のモチベーションやエンゲージメント、キャリアの向上なども重視するマネジメント手法を意味します。この手法では、マネージャーがメンバーと対話を重ね、個人の成長を促しながら組織全体の目標達成を目指します。

ピープルマネジメントが注目される背景

従来、多くの企業で採用されてきた成果主義的なマネジメントは、数値目標の達成を重視し、その実現のために業務プロセスやメンバーを管理するアプローチを取ってきました。この方法は、組織の方向性を明確にし、高い生産性を実現する上で一定の効果を上げてきました。しかし、リモートワークの普及をはじめとする働き方の変化や価値観の多様化、雇用の流動化が進んだ現在、成果のみを重視するマネジメントでは、メンバーの主体性や創造性を引き出し、持続的な組織の成長を実現することが難しくなっています。

タレントマネジメントとの違い

「人」に焦点を当てたマネジメント手法としては、「タレントマネジメント」も広く知られています。タレントマネジメントとは、従業員のスキルや才能(タレント)に関する情報を、人材採用や人材配置の最適化、中長期的な人材育成などに役立てる人事戦略です。つまり、組織運営というマクロレベルでのマネジメントに当たります。

一方、ピープルマネジメントは、個々のマネージャーが自分のチームメンバーと向き合い、その可能性を引き出すためのミクロ(現場)レベルのマネジメントです。

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ピープルマネジメントを実践する3つのポイント

ピープルマネジメントを組織全体で実践するためには、以下のような取り組みを通して従来のトップダウン型のマネジメントを見直し、伴走的なマネジメントへと変えていくことが重要です。

1. コミュニケーションの量を増やす

ピープルマネジメントでは、各メンバーと積極的にコミュニケーションをとることが求められます。

従来のトップダウン型マネジメントの考え方だと、マネージャーとメンバーの交流は「業務に支障を出さないこと」が主目的であるため、それほど多くは必要とされません。しかし、各メンバーの可能性を最大限に引き出すことを重視するピープルマネジメントでは、1on1ミーティングやフィードバックなど、一人ひとりとしっかり向き合う機会を頻繁に設けることが大切です。

2. マネジメントの質を高める

コミュニケーションの量を増やすとともに、マネジメントの質を高めることも欠かせません。マネージャーには、特に次の3つのスキルを磨き、マネジメントに反映することが求められます。
  • ジョブアサインメントスキル:従業員の能力や適性に応じて適切な仕事を割り当てるスキル
  • エンゲージメント向上スキル:メンバーのモチベーションを高め、職場への信頼と満足度を向上させるスキル
  • カウンセリングスキル:定期的な1on1ミーティングなどを通じて、メンバーの課題やキャリアビジョンを明確化し、その実現を支援するスキル

3. 心理的安全性を確保する

メンバーが余計な緊張や萎縮をする必要のない、「心理的安全性の高いチーム作り」も求められます。そのためには、「失敗を許容する風土を醸成する」「批判や反対は、意見や行動の具体的な内容のみに絞り、人格を攻撃することは絶対しない」「込み入った話は1対1で行う」といった心がけがカギです。

ピープルマネジメント施策の具体例

前段で解説した3つのポイントは、以下のような具体的施策に落とし込むことが可能です。

1. コミュニケーションの量を増やす施策

  • 定期的な1on1ミーティング:週1回や月1回など、定期的に1on1ミーティングを実施し、メンバーの状況や課題を共有する場を設ける
  • チームミーティングの活性化:チームミーティングを形式的なものから、メンバー間の交流を促進する場へと転換する
  • オープンなコミュニケーションチャネルの構築:SlackやTeamsなどのツールを活用し、いつでも気軽にコミュニケーションが取れる環境を整える。

2. マネジメントの質を高める施策

  • ジョブローテーションの実施:ジョブアサインメントスキルに基づき、従業員の適性や能力に応じて新たな職務を割り当てる
  • 多様な働き方の導入:フレックスタイム制やリモートワークなど、多様な働き方を導入し、従業員のワークライフバランスを支援する
  • メンター制度の導入:経験豊富な社員が、新入社員や若手社員のキャリア開発を支援する

3. 心理的安全性を確保する施策

  • アンケートの実施:定期的に心理的安全性を測るためのアンケートを実施し、改善点を見つける
  • 失敗事例の共有:過去の失敗事例を共有し、失敗から学ぶ機会を提供する
  • 多様性を尊重する文化の醸成:性別、年齢、国籍など、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる環境を作る

ピープルマネジメント施策を実施するためには、「SMART」などのフレームワークを活用するのがおすすめです。SMARTについて詳しくは下記の記事もご覧ください。

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ピープルマネジメントを導入する上での注意点

ピープルマネジメントの導入に際しては、マネージャーの業務肥大に注意しましょう。

ピープルマネジメントでは頻繁に1on1やフィードバックを実施するため、従来の一方向的な評価や指示伝達に比べて、一人ひとりのメンバーへ時間と労力をより多く割くことが求められます。業務負担が増大すると、施策自体が形骸化し、形式的なものになってしまいかねません。そのため、施策を導入する際は、マネージャーの業務状況を事前に把握し、無理のない範囲で継続できる体制を整えることが大切です。

また、ピープルマネジメントは、従業員と信頼関係を深めていく中で徐々に効果を発揮します。そのため経営陣は、短期的な成果を求めてマネージャーへ過度なプレッシャーをかけることは控え、長期的な視点で施策に取り組みましょう。

マネジメント・人事評価の負担増には、効率化ツールもうまく活用を

ピープルマネジメントの導入に伴う業務負担の増大は、マネージャーだけでなく、メンバー側にも影響します。この課題を解決するためには、業務効率化に役立つツールを導入し、業務負担の軽減を図るのがおすすめです。

例えば「P-TH/P-TH+」は、業種を問わず、あらゆる組織や企業で使える人事評価システムです。「P-TH/P-TH+」では、既存の評価制度を変更せずにそのままシステム化し、作業時間を大幅に短縮できます。また、モバイル端末からの入力も可能なため、現場などPCが一人一台ないという環境でも、効率的に人事評価を運用できます。

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まとめ

ビジネス環境が急激に変化している現在、多くの企業にとって従業員のマネジメント方法を見直すことは喫緊の課題です。その点、ピープルマネジメントの導入は、従業員一人ひとりのパフォーマンスやエンゲージメント向上のために大きな効果が期待できます。

ただし、導入に際しては、業務負担の増大が予想されるので、その対策も同時に考えておくことが大切です。例えば、人事評価業務の効率化に際しては、AJS株式会社が提供する人事評価システム「P-TH/P-TH+」の導入をおすすめします。 

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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