「タレントマネジメント」という概念は米国で発展しましたが、人材戦略を成功させるために日本でも取り入れる企業が増えています。タレントマネジメントをうまく浸透させるためには、効果的な活用方法をしっかり押さえておくことが大事です。そこで、この記事ではタレントマネジメントを活用するポイントや成功事例について解説します。
タレントマネジメントを活用するポイントとは?
タレントマネジメントを効果的に活用するためには、今抱えている課題を明確にし、社員からの理解を得て、最適なツールを選ぶ必要があります。では、この3つのポイントについて一つずつ見てみましょう。
どんな課題を解決するかを明確化する
まず、タレントマネジメントを導入することにより、自社がどのような課題を解決したいのかを明確にさせます。目的があいまいなまま、ただタレントマネジメントという概念を取り入れてもうまく活用することは難しいでしょう。「タレントマネジメントによりどのように課題を解決し、経営に活かすか」を明確にし、「タレントマネジメントを導入すること」が目的にならないようにすることが必要です。
タレントマネジメントを取り入れる目的や解決したい課題は、企業によってさまざまです。例えば、優秀な社員の育成を目指す企業もあれば、社員のモチベーションアップを目指す企業もあります。各社員のキャリアプランに応じて、人材を適切な場所に配置することを目的とする企業もあります。
場合によっては、現時点で特に解決すべき課題が見つからないものの、タレントマネジメントを導入したいというケースもあるでしょう。その場合も、現状よりもさらに良くしたい分野は何かをはっきりさせておくことが大事です。改善したい分野を意識することで、目的を見失うことなくタレントマネジメントを運用できます。
社員からの理解を得る
2つ目のポイントは、タレントマネジメントの導入にあたりどのようなデータを収集することになるかを社員にきちんと説明し、理解を得ておくことです。
タレントマネジメントを実際に運用すると、職務経歴やスキル、資格、これまでに参加したプロジェクトの評価など、社員に関するさまざまな個人情報を収集し可視化する必要があります。これは、タレントつまり社員に関する情報をもとに人事戦略を行ううえで欠かせない過程ですが、個人のプライバシーに入り込む可能性があることを覚えておかなければなりません。
近年、人の価値観は多様化しており、年齢や経歴といったプライベートな情報を収集し管理されることに敏感に反応する社員も増えています。社員の協力を得て情報を積極的に開示してもらうためには、さまざまな考え方があることに理解を示しながら、データを集めることがなぜ必要なのかを十分に説明することが必要です。タレントマネジメントシステムの意義や目的をきちんと理解してもらえば、正確なデータがスムーズに集まりやすくなるでしょう。
最適なツール選び
3つ目のポイントは、タレントマネジメントをサポートしてくれる最適なツールを選ぶことです。そこで、最適なツールを選ぶために知っておきたい3つの条件を取り上げましょう。
まず1つ目は、必要な機能が十分にあることです。ここで大切なのは、機能の豊富さで選ぶよりも、自社が達成したい目的に合わせた機能があるかどうかを重視することです。タレントマネジメントの活用ポイントで取り上げた通り、どんな課題を解決したいかを明確にしておけば、ツール選びでもあまり迷うことなく選択できるでしょう。
2つ目の条件は、使いやすいことです。素晴らしい機能が備わっていても、操作しづらいなどの問題があれば、使うこと自体が億劫になってしまいます。タレントマネジメントツールは人事担当者だけでなく、自分の情報を入力するために各社員が利用することも予想されるため、ITリタラシーがそれほど高くない社員でも使いやすいものを選ぶのがポイントです。
3つ目の条件は、 サポート体制がきちんとしていることです。新しいシステムを導入する際には基本的な使い方だけでなく、自社に合わせたカスタマイズ方法も把握しておく必要があります。操作がうまくいかない時や万一のトラブルが生じた時のために、ツール提供側のサポート体制を確認しておくことは大切です。電話やメール、チャットなどサポート窓口への連絡方法や対応時間、費用、過去のサポート実績などをチェックしておきましょう。
タレントマネジメントの成功事例
ここからは、AJSの人事評価システムを導入してタレントマネジメントに成功した企業の事例を紹介します。
インフォコム株式会社
1つ目の事例は、ITサービスを提供するインフォコム株式会社です。以前はExcelシートを使って人事評価業務を行っていましたが、可視化しづらくミスが出やすい、作業の負担が大きいなどの課題がありました。そこで導入したのが、自社開発よりもコスト面で優位であったAJSの人事評価システム「P-TH」です。
導入前は人事部が人事評価シートをExcelシートで作成、配布、回収の一連の業務を手作業で行っていました。また、業績評価と能力評価の2種類を別の評価者が評価するなど、作業が複雑で管理も大変でした。
「P-TH」を導入した結果、人事部が各部署の進捗状況を把握しやすくなり、社員のマネジメントが容易になり導入目的であるシステム集約による作業効率向上は確実に効果を上げています。さらに、今までメール添付で送受信していたシート管理が必要なくなったことで、情報漏えいリスクも低減されました。
参考リンク: https://www.ajs-solutions.com/pth/case/infocom
朝日オリコミ西部株式会社
次に紹介するのは、新聞折込広告の老舗企業・朝日オリコミ西部株式会社の事例です。オリコミ西部株式会社では、2011年に社員の人事評価をExcelから、地元のシステム開発会社が開発した独自の人事評価システムに変更しました。
しかし、その会社が解散し、メンテナンス契約の継続が不可能になったため、そのシステムと似ているExcelをベースとした人事考課システム「P-TH」を導入。「P-TH」が選ばれたのは、導入しやすい価格であるうえ、従来の人事評価制度を変更せずに運用できる柔軟性の高い製品だったからです。
実際に導入したところ、1年を見込んでいた構築期間がわずか4か月程度で終了、運用を開始できたため、トータルコストを大幅に抑えることができました。さらに、人事評価基準や評価マニュアルを改定する必要がなく、これまでの人事評価制度をそのまま維持できたため、社員に改めて説明や理解を求める必要がなく、高評価でした。
人事評価の結果をExcelに手作業で入力する必要もなくなり、システム上で被評価者全員の評価結果を集計し、可視化できるようにもなりました。必要な機能がきちんとそろっているところや、シンプルで操作しやすい点も高く評価されています。
参考リンク: https://www.ajs-solutions.com/pth/case/asahiorikomi-seibu
まとめ
タレントマネジメントを導入する際は、まず自社の課題を明確にし、データ収集に関してよく説明して社員の理解を得ることが大事です。さらに、使いやすく必要な機能が備わったツールを選ぶこともポイントです。自社の人事評価基準に合う便利なツールを活用し、タレントマネジメントを成功させましょう。
<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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