離職を防ぐには?待遇や人間関係など要因ごとの対策について解説

 2021.03.30  AJS株式会社

終身雇用を前提とした雇用が時代にそぐわなくなり、転職のハードルも下がるなか、従業員は待遇改善や自身の成長などが望めないと判断すれば離職を選択しやすくなっています。一方、企業側としては人材不足が深刻化しており、いかに離職を防ぐかが大きな課題です。本記事では、待遇や人間関係などの要因ごとに離職の防止につながる対策について解説します。

離職にまつわる問題

ここでは離職に関して、具体的にどのような問題が顕著になっているのかについて詳しく解説していきます。

早期離職の問題

せっかく採用しても短期間で辞めてしまう早期離職は、企業側にとってデメリットが大きくなります。厚生労働省の調査でも、新卒社員の3年以内の離職率は大卒で約3割となっており(※)、早期離職は企業が長年抱えている課題でもあります。

※厚生労働省「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移

離職した従業員にかかっていた費用は、給与だけではありません。採用までにかけたコストや、入社後の育成や研修などでかけたコストが無駄になってしまいます。早期離職は、その従業員単位で考えた際、かけたコストとリターンが釣り合わなくなってしまうのです。また早期離職をする従業員が増えると、採用にかける一人あたりのコストも抑えざるを得ず、結果として優秀な人材の獲得がなおさら難しくなります。

離職する従業員が出ると周囲への影響を及ぼすことがあります。自身のその職場で働き続けて大丈夫なのか、転職した方がいいのかなど、不安を連鎖的に引き起こしてしまうことも考えられます。さらに、早期離職した従業員の業務をほかのメンバーに振り分けることになり、業務全体の生産性に響く可能性もはらんでいるのです。

離職率の問題

早期離職は、離職率の問題にも直結します。離職率は、1年や3年など一定期間における離職者の割合であり、早期離職した従業員が多いほど離職率が高くなります。

高い離職率は、企業の対外イメージに悪影響が出かねません。インターネット時代でさまざまな情報が拡散されるなかで、離職率の高さも話題として取り上げられやすいもの。求職者としても、転職という重大な意思決定において離職率の高い企業は避ける可能性もあるでしょう。

面接などで求職者に、企業のミッションや事業内容などを熱弁しても、「離職率」という客観的な数値が大きなインパクトをもたらしてしまうこともあります。採用コストの面だけでなく、なおさら優秀な人材の獲得が困難になるという悪循環に陥るリスクがあるのです。

離職を防ぐには?要因ごとにみる対策

では、離職を防ぐためには具体的にどのような対策が必要でしょうか。ここでは離職の要因ごとに対策を紹介します。特に自社で当てはまると感じる部分については、優先的に手を打つようにしましょう。

待遇不満による離職への対策

離職の要因として多いのが、給与など待遇への不満です。これを防ぐには、評価制度や報酬体系に関する制度の見直しや、福利厚生の充実化が有効です。

例えば、評価や報酬に関してはいわゆる「年功序列」から、その従業員のスキルや成果に応じて評価し、給与など待遇にも反映する仕組みにすることが挙げられます。成果に応じた評価とすることで、優秀な若手社員も正当に評価されていると感じて、モチベーションを維持することができるでしょう。

また、成果やスキルに応じた等級を設け、それに応じた給与や評価基準をオープンにすることも有効な対策です。目標や給与の目標が定めやすくなり働く意欲が向上するとともに、評価基準が公平となることで従業員が納得感を持ちやすくなります。

職場の人間関係による離職への対策

職場の人間関係も離職要因です。上司や同僚など会社で関わる人とコミュニケーションがきちんと取れていないことや、ハラスメントを受けたり、そのことを相談できなかったりすることが離職へとつながります。

これらは、管理職への周知などでハラスメント対策が必要なのはもちろんのこと、従業員が相談しやすい環境を作ったり、ちょっとした悩みでも話せるよう日ごろからコミュニケーションを活性化させたりすることが大切です。実態を把握するためには、匿名のアンケートを定期的に実施することなども有効です。アンケートの結果、特定の管理職に不満が集中するような状況が判明した場合には、その管理職を配置転換させるなどの対策も時には必要となります。

働き方による離職への対策

長時間労働や休日出勤など、働き方が原因で離職する人も一定数います。社会的には柔軟な働き方が徐々に広がってきており、対応しないと人材流出につながりかねません。

対策としては、リモートワーク・テレワークを少しずつでも導入し、従業員が望むような働き方に可能な限り近づけていくことです。工場など、リモートワーク導入が難しい業務を除き、時代の流れを踏まえると今後、リモートワークの導入は必要不可欠でしょう。

また、子育て中あるいはこれから子育てをしていきたい従業員が継続して就業できるよう、時短勤務の活用も効果的です。従業員に、ライフステージに合わせて働き方を選択してもらえるよう、企業として準備しておくことが大切です。

仕事内容・環境による離職への対策

仕事内容や環境が合わないことも、離職の要因になります。まず、仕事内容については採用前からミスマッチを防げるように採用プロセスを見直しておきましょう。会社や業務内容について正確な情報を積極的に発信すること、選考の過程で職場見学を取り入れるなど対策することで疑問やギャップをクリアにしておくことができます。このような取り組みで仕事内容のミスマッチを抑制するだけでも、離職防止に効果があります。

また、キャリアアップがイメージできずに離職を考える従業員もいるでしょう。その仕事を通してどのようなスキルを獲得し、どのようなキャリアに活かせるかを丁寧に伝えたり、スキルアップに役立つ研修などの制度を取り入れたりすることが有効です。上司など社内のコミュニケーションを積極的に推進し、従業員のモチベーションが上がるようにしていくことも重要でしょう。

将来不安による離職への対策

今の業務内容や待遇だけでなく、将来に対して不安を抱くことが結果的に離職を後押ししてしまうこともあります。特に、若手は将来のビジョンについて敏感で、その仕事を続けて自身が望むキャリアに到達できるか、このまま同じような業務をし続けるのかなど漠然とした不安を持つことも多いです。

このような不安を解消し、離職を防止する観点でもキャリアに関する制度を定期的に見直すことが大切です。社内資格制度や、公募制度などでキャリアアップを図れる機会を創出するほか、従業員が適材適所で働けているかもチェックし、人材配置の適切性を見直しましょう。また従業員とのコミュニケーションを通じてキャリアに対する考え方をヒアリングし、要望に極力寄り添えるようにします。

加えて、企業の方針などは経営陣に留めるのではなく、現場の社員にも丁寧かつ定期的に伝えていくべきでしょう。そうすることで企業の将来に希望を持ち、その中で従業員一人ひとりがどのような目標を定めるべきか長期的なビジョンを描けるようになります。

ライフイベントによる離職への対策

結婚や出産、子育て、そして介護などライフイベントによって離職を選択しなければならない従業員も出てくるかもしれません。特に少子高齢化が進む日本では、今後介護による離職者は増加するとみられています。

この「本当は仕事を続けたいが、辞めなければならない」という離職を防ぐためには、企業側が休暇を取得しやすい仕組みや柔軟な働き方が実現できる環境整備をしておく必要があります。昨今広まっているテレワークや、フレックスタイム制の導入、時短業務や始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げなど従業員のライフイベントに合わせて利用できる仕組みがあれば、離職せずに働き続けることも可能となります。

システムの活用も対策のひとつ

離職要因ごとにさまざまな対策を紹介してきましたが、いざすべてを実行しようとするとハードルが高いのも事実です。また、対策の1つとして、システムを活用することも有用な手段です。

インターネット技術が発達した現代ではさまざまな企業から便利なITシステムやツールが提供されています。人事向けのシステムについても、組織全体を可視化するようなものや、人事評価をシステム上で一元管理し、効率的な運用やデータを蓄積できるものもあります。従業員のコンディションやモチベーションなどを管理し、離職につながる兆候をいち早く検知できるようなシステムも存在します。

近年ではいわゆる「サブスクリプション」のモデルで、初期費用を抑えながらシステムを導入できるケースも増えています。自社の状況に応じて優先順位もつけながらシステムの活用を検討してみるのもよいでしょう。

まとめ

従業員の早期離職は、その従業員にかけた採用コストや研修・育成コストなどを考えると大きなマイナスです。また離職率が高くなれば、企業への評判悪化といった影響も想定されます。企業としては、従業員の離職はできるだけ防ぎたいものです。

従業員が離職する要因として待遇や職場環境への不満、仕事内容が希望と異なることなど幅広くあります。それぞれの要因について本記事で解説したような対策を取ること、そして従業員と日ごろからコミュニケーションを行うことが大切です。

また、便利なシステムやツールを活用するのも効果的な対策の1つです。人事評価の見直しを通じ、従業員の満足度を高めたい場合は、「P-TH/P-TH+」の検討もおすすめです。現在お使いのExcel評価シートをそのまま、導入に手間をかけることなく人事評価が充実化し、上司や部下のコミュニケーションも促進可能です。離職防止の対策として取り入れてみてはいかがでしょうか。


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