離職の防止について考える重要性や対策におけるポイントなどを解説

 2021.03.15  AJS株式会社

社員の離職を防止したいと考えてはいるものの、どんな対策をすればよいのか悩んでいる人もいることでしょう。

本記事では、そのような悩みがある企業の人事担当者へ向けて、離職防止を考えることの重要性や、離職防止対策におけるポイントなどを解説します。

離職の防止を考える重要性

日本で長く定着してきた終身雇用制度ですが、現代では一度入社したら定年を迎えるまでその会社に勤め続ける選択肢以外にも、いくつかの会社で勤務するために転職するという選択肢があります。転職に対するイメージにも、経験や視野の幅が広がるという意見や自分を変える機会になるという意見など、ポジティブなものが増えてきており、以前よりもネガティブなイメージは抱かれなくなっています。また、就職してから3年以内に離職する早期離職者も増加しているのです。

このように転職が当たり前とされる時代になりつつあるものの、企業としては社員の離職によって悪影響が出る可能性も考えられるため、離職防止策の検討が必要です。離職率の高さは、社員が定着しにくい企業であることを意味します。採用活動に力を入れてよい人材を確保しても、早期に退職してしまう可能性があるのです。

また、離職率が高いことで企業イメージが悪くなり、入社を希望する人数が減るおそれもあります。そうならないためにも、採用活動に力を入れるだけでなく、入社した社員が長く働き続ける環境を作るなど、離職防止対策を強化しましょう。

離職率は離職の原因を把握し、適切な対策を行うことで改善できます。しっかりとした対策を行い、企業イメージを上げることで、すでにいる社員の離職を防ぐだけでなく、より優秀な人材の雇用にもつながるでしょう。

離職の理由とは

ここからは社員がなぜ離職するのか、企業に関する理由と離職者個人に関する理由の2つに分けて紹介します。

企業に関する理由

厚生労働省が発表している「平成30年雇用動向調査結果の概要」によると、退職理由としては、出向等を含むそのほかの理由や定年・契約期間の満了が高い割合を占めています。しかし、より詳細な理由の中では、男性・女性ともに「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」「給与等収入が少なかった」、「職場の人間関係が好ましくなかった」が上位に挙がっています。

労働条件に関しては、ワークライフバランスを重視する人が増加傾向にあるため、残業が多く休日出勤も頻繁にある場合や、業務負担が大きすぎる場合に、より労働環境のよい企業を求めて転職を選ぶ人が多いのでしょう。給与に関しても、仕事量に見合った収入を得られない場合などに、今の自分の技術や経験を生かして、より高収入を得られる企業に転職する人が多くいます。

また、自分と合わない上司や部下がいるなど人間関係が良好でない職場だと、業務内容が適していてもストレスを感じやすくなるでしょう。ほかにも、やりがいを感じられないなど仕事内容に不満がある場合や、キャリアステップが不透明で成長をイメージしにくい場合も離職率の高まる可能性が高いと言われています。

離職者個人に関する理由

個人的な理由で離職を選択する人も多くいます。例えば、健康上の理由もその1つと言えるでしょう。労働政策研究・研修機構では平成28年に、新卒3年以内の離職者に対する『「初めての正社員勤務先」を離職した理由』の調査が行われました。その調査結果によると、男性では「肉体的・精神的に健康を損ねたため」との回答が29.9%で、「自分がやりたい仕事とは異なる内容だったため」と同率で2位にランクインしています。また、女性の退職理由では「肉体的・健康的に健康を損ねたため」(34.3%)が1位となっています。

一方、中高年層の社員では、家族の介護のために退職を選ぶ人が多く見受けられます。働く意欲や必要性はあっても、要介護者の介護レベルが高い場合は仕事との両立が難しく、やむを得ず介護離職を選ぶことになるのです。介護に専念できるため、身体的・精神的負担を軽減させる反面、年齢的に離職後の再就職が厳しく、社会からの孤立による精神的負担や収入減による経済的負担などの問題もあります。

離職の防止対策におけるポイント

社員の離職は対策によって防ぐことが可能です。ここからは、離職の防止対策において気をつけたいポイントを紹介します。

現状調査

離職防止対策を行う上で、まずは現状調査をすることが大切です。どのような理由で離職する社員が多いかを調べ、自社の離職率と適切な離職率との差を把握するとよいでしょう。

社員の不満を把握し、改善するためには、満足度の調査やアンケートなどを実施して現場の声を拾うことも効果的です。現状の満足度はどのくらいなのか、不満に感じている面は何かなどをアンケートによって可視化することで、具体的な対策を立てる際に役立てられるでしょう。

また、自社の離職率と適切な離職率とを比較するには、一般的な離職率を計算する必要があります。離職率の計算方法には法的な規定もないため、企業によって算出の仕方は異なります。

ただ一般的に、自社の離職率は「起算日〜1年間の離職者数÷起算日における在籍者数×100」で計算します。他方、適切な離職率は「日本全体の離職者÷常用労働者×100」で求められ、その数値は全体の離職者数や常用労働者数によって変動します。この計算によって求められた数値が適切な離職率に当たるため、自社の数値と比べて多いか少ないかで、自社の状況が明確になるでしょう。

コミュニケーション促進

コミュニケーションを促進することで、社内の人間関係をより良くすることはもちろん、採用活動時にも求職者に対して正確な説明ができたり、信頼関係を築けたりするなどの効果が期待されます。また、前述した社員の満足度などの現状を把握する手段としても役に立つでしょう。

コミュニケーションを活性化させるためには、社内情報を共有できるツールを活用したり、定期的なレクリエーションや懇親会を開いたりするのがおすすめです。業務時間外に交流の場を設けることで、社員同士の結びつきも強くなり、円滑なコミュニケーションを取れるようになるでしょう。社員エンゲージメントの向上や、企業への帰属意識が強くなることも企業にとってメリットになります。

また、若手社員の離職防止としてメンター制度を導入することも効果的です。この制度では、新入社員を含む若手社員を「メンティー」と呼び、その一方で「メンター」と呼ばれるメンティーの相談にのる人物を設定します。メンターの存在は、メンティーと話し合うことなどを通じて、若手社員に社内で安心できる場所を作ることが目的です。そのような居場所を作ることで、社内での孤立を防ぐほか、精神的ストレスの軽減にも寄与するでしょう。一般的に、メンターにはメンティーと異なる部署の社員を据えることで、業務上の上下関係や利害関係を抜きにして気軽に話せるよう配慮します。

ワークライフバランス実現

ワークライフバランスは昨今働き方改革の点でも注目されています。給与の高さだけでなく、仕事をしながらも人生を楽しく生きることや、自分らしく仕事をすることに重きを置いて就職先を選ぶ人も多くいるのです。残業や休日出勤が多くなれば、社員の身体的・精神的健康にも悪影響を与え、離職者の増加につながりかねません。労働時間や休暇などに関する状況の改善を検討する場合には、ワークライフバランスの視点を取り入れることが重要です。

ワークライフバランスとは、仕事とプライベートの調和を意味し、プライベートも充実させることであり、仕事に対してのモチベーションを高め、生産性を向上させるなどの効果が期待されています。また、ワークライフバランスを重視する企業であることをアピールすれば、「社員を大事にしている企業」や「働き方が柔軟な企業」というイメージを作れるのです。その結果、新卒採用や中途採用において優秀な人材からの応募が増える可能性も高まるでしょう。

待遇向上

給与や勤務時間の改善、有給取得のしやすさといった待遇を向上させることも、離職防止のポイントです。手当の充実なども方法の1つとして挙げられます。残業時間をゼロにした社員に手当を与える試みを行った企業では、残業時間が削減されただけでなく、売り上げや新規採用への応募が増加するなど、あらゆる成果が出ているのです。このような取り組みは企業にとってよりよい効果を生み出すことがわかります。

一方、給与の引き上げや手当の支給だけでは、長期的な離職防止にはつながりにくいため、労働環境を見直して、社員が働きやすい職場を作れているかどうかをチェックしましょう。好きなタイミングで休みが取れたり、有給消化率を向上させたりすることも、社員の満足度を高めるために重要なポイントです。

制度見直し

評価や福利厚生など、さまざまな制度面での見直しも大切です。目標設定が高すぎたり、頑張りが反映されにくかったりするなど、社員が納得できない評価制度を採用し続けると、やる気の低下を招くだけでなく、離職につながるおそれもあります。なお、業種や職種によって適する評価制度は異なるため、それぞれに合った方法を取り入れましょう。

また、スキルやキャリアアップに関する相談窓口の設置や、それらに関係するセミナーの実施も効果的です。働きながら成長していける環境を用意することで、ステップアップしながら働き続ける社員を育てられます。

なお、評価制度の刷新など見直しを検討する場合は、人事評価システム「P-TH(ピース)/P-TH+(ピースプラス)」の導入もおすすめです。評価データをシステム上に蓄積することができ、社内人材情報の見える化、適切な人事評価が可能になります。自社の評価制度や評価シートをそのままシステム化して利用できるため、導入自体もスムーズに進められるでしょう。

まとめ

企業にとって社員の離職防止を考えることは、よりよい人材を確保する上でも重要です。離職を防ぐためのポイントを参考にしつつ、ワークライフバランスを実現したり、制度の見直しをしたりして、社員が働きやすい職場環境を作りましょう。評価制度の見直しをする際は、よりスムーズな評価を行うためにも、本記事で紹介したP-TH/P-TH+の導入を検討してみてください。

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