人事必見!人事評価項目の設定方法と評価時の注意点

 2019.07.23  AJS株式会社

賃金や昇格に反映されるため、「人事処遇のためにある」と思われがちな人事評価ですが、人事評価の目的はそれだけではありません。

今回は、人事評価の本来の目的と重視すべき人事評価の項目や、人事担当者が木をつけるべき注意点についてご紹介します。

そもそも人事評価の目的とは?

人事評価には、大きく分けて2つの目的があります。

  • 経営方針や課題に沿った目標を社員に設定し、その達成によって会社全体の業績を上げること。
  • 社員のモチベーションを向上させ、成長を促す(育成)こと。

経営方針に沿った項目から目標を設定し、職務の重要性や、企業が社員に期待している役割や能力を本人に理解させることで、プライオリティを重視した効率的な業務を促すことが期待できます。また、「何をすべきか」が明確であることで、「何を努力すべきか」がわかりやすく、モチベーションの維持・向上が期待でき、社員の成長に繋がります。

どちらの目的も、組織を構成する「ヒト」という経営資源を最大限に活用し、会社の成長を促進する狙いがあるといえるでしょう。

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人事評価の項目の決め方

項目の設定は、人事評価の目的を達成するために最も重視すべき工程のひとつです。

職種ごとの設定

経営方針や課題に対する取り組み方は、職種によって異なります。営業職であれば契約数や売り上げの数字で会社に貢献し、コールセンタースタッフやカスタマーサポート職では、顧客満足度の向上によって会社に貢献するでしょう。このように、職種によって役割が違うため、職種に応じた人事評価の項目を決定する必要があります。

役職(等級)ごとの設定

同じ職種であっても、管理職と一般社員とでは求められることが異なります。また、管理職でなくとも、入社年数や能力・業績から設定された等級により、後輩指導に力を入れるべき一般社員もいれば、担当業務を一人で回せるようになるべき一般社員もいますから、評価項目の内容には必ず違いが生じます。

人事評価の目的である「業績向上・人材育成」に繋げるためには、上記のような落とし込みを行い、社員が「会社は自分に、何を求め、何を期待しているのか」が明確に理解できる、具体的な項目設定が重要です。

『月刊人事マネジメント』事例掲載
「人事評価制度見直し」決断する前にやること

もちろん、社員1人に1人にあわせて項目を変える必要はありません。職種によって近似する業務もあれば、密接な協力関係にある職種同士は、共通項目も多いはずです。職種や役職によっては、項目の共通する人事評価表を作成し、項目のウエートに変化をつけることで、カスタマイズしていくと良いでしょう。

人事評価の項目に必須の項目

上述したように、項目の設定には、自社の職種分類や役職を洗い出し、それぞれに求めることを明確にして、それに合わせた項目を起こしていく工程があります。会社規模によってはかなりの項目数になりますが、大きな括りで考えると、3つの観点に分けられます。

成果・業績評価

その名の通り、職務遂行によって出した成果や業績を見ます。営業であれば顧客獲得数や売上高、管理部門であれば業務フロー改革や経費削減、製造職なら工程の見直しによる不良率低減など、「一定期間内の利益に直結する結果」という観点です。

能力・プロセス評価

職務に必要な知識や能力、職務遂行により成果を出すまでのプロセスを評価します。営業職であれば商品知識や商談能力、事務職であれば職務に必要な専門知識や決裁のスピード化を目指すための取り組み、製造職であれば不良率低減のための部門の意識改革などが該当します。

情意評価

職務にあたる姿勢についての観点です。「規律性」「協調性」「積極性」「責任性」の4つで構成されることが多く、組織の一員として、周囲の手本となれる行動であったか、あるいは職場環境を乱す行動があったかなどが、これに当たります。

この3つの観点は、どの職種、役職にも必要なものです。中でも情意評価は、職種・役職に関係なく、組織人・社会人としての態度・行動を見るため、共通であるといえるでしょう。

情意評価を行う際の注意点

先ほど紹介した情意評価は営業成績などとは違い、明確な数値化が困難な項目です。そのため、どの程度評価するのかは人事担当の裁量次第ということになり、担当者の心理状態や判断能力によっては、評価結果に整合性がなく、社員の不満を招く恐れがあります。

このような事態に陥らないために、人事担当者は自分が陥りがちな錯覚や判断ミスの傾向を自覚した上で評価を行なう必要があります。

担当者が陥りがちな錯覚として代表的なものに「ハロー効果」があります。ハロー効果とは何かを評価する際に、目立つ印象に強く影響され、他の印象に対する評価内容までもが歪められてしまう現象のことです。この“目立つ印象”というのは非常に多岐に渡っており、業務スキルや勤務態度だけでなく、対象者の学歴、体系や声までもが無意識に評価に影響を与えてしまうというものです。

このような心理現象があることを念頭に置いた上で評価を行うことで、公正な評価ができるので、担当者は評価項目を選定するだけでなく、評価する際に起きる心理現象についても知っておく必要があります。

職種による人事評価の項目の違い

会社における職種の違いは、社員が求められていることの違いのことですから、上記3つの観点は共通していても、評価の項目には違いがあります。

具体的な項目による違い

営業部門の「成果・業績評価」では売り上げや顧客獲得数が項目の多くを占め、管理部門の職種では事務処理についての項目が多くなるなど、具体的な項目の違いがあります。

ウエートによる違い

「情意評価」で考えた場合、どの職種でもビジネスマナーは大切なものですが、接客の多い職種と非接客業務の職種では、人事評価としてのウエートには違いが生じます。

職種等に関係なく、全社員共通項目・共通ウエートの人事評価表を使用する方法もありますが、人事評価の目的のひとつは育成ですから、職種別に具体的な項目やウエートを設定することが目的達成の近道となります。

人事評価制度を最大限に生かし、目的を達成するには、組織を構成する社員の理解・協力が必須です。評価の結果が社員の賃金や昇格に及ぶことを考慮し、社員が納得できる、具体的な人事評価項目の設定と担当者の校正な判断が重要となるでしょう。

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株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー
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