人事評価には項目設定が重要!その分類やサンプルを紹介

 2020.09.23  AJS株式会社

企業活動における人事評価の重要性は理解している一方、運用があまり機能していないと感じる人事の担当者も多いのではないでしょうか。人事評価を従業員の生産性やモチベーション向上、ひいては企業の業績アップにつなげるには、本記事で解説する項目設定がポイントです。自社やチームの評価制度や項目と比べながら、生かせる点がないか確認してみましょう。

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人事評価における項目設定の重要性

人事評価を行うにあたり、項目の設定は非常に重要です。評価を行うにあたり、項目設定がないと曖昧な評価になる可能性があるためです。組織の人事評価においては、一人に対してのみ行うことはなく、複数のメンバーについて行うため、統一された明確な項目が必要です。共通して計測できる、客観的な項目に沿って評価を行うことで、被評価者にとって納得性の高い内容になります。

また、評価項目を示すことで、会社として従業員に期待しているポイントを効果的に浸透させることが可能です。従業員はより高い評価を得るために、普段から評価のポイントとなる項目について意識し、行動につなげていこうとするからです。

人事評価における項目の分類

人事評価における項目の分類について、3つの観点から解説します。役職や職種に関わらず、汎用的に活用できる項目なので、必要に応じて自社にも取り入れるとよいでしょう。

成果に関する項目

まずは、多くの企業で取り入れている「成果」に関する項目です。基本的に、年間や半期などの期間を設定し、組織および個人としての目標を設定します。その達成度合いや日々の業務の成果をもとに人事評価に反映します。遂行した案件やプロジェクトの数、貢献した数値なども評価対象となります。職種によっては、売上などの分かりやすい項目の設定が難しい場合もありますが、技術職であれば顧客からの評価や満足度のように、業務に直結した成果項目の設計が重要です。

能力に関する項目

成果と比較すると数値化が難しい面もありますが、「能力」に関する評価を行うことで、各従業員がスキルアップのために自発的な努力をすることが期待できます。会社や業界によって重要視される能力は異なりますが、業界のナレッジやコミュニケーション能力、企画力やリーダーシップなどの能力を何らかの形で評価します。あるいは、「コンピテンシー評価」と呼ばれる、優秀な業績を残しているメンバーの共通点などから抽出した重要な能力を評価項目とする手法もあります。いずれにせよ、評価対象となる能力を明示することで、従業員の自発的な努力活動を促す効果が見込めるため、能力に関する項目を積極的に活用しましょう。

情意に関する項目

成果などを数値として評価するのも重要ですが、組織において表面には表れにくい貢献度もあるでしょう。プロジェクトを推進するうえでの協調性や業務への責任感など、定量的には測定しづらい項目も評価します。勤務態度や社内メンバーとのコミュニケーションなど、情意に関しても評価することで、なかなか目先の成果につなげられていないメンバーのモチベーションを保つことも可能です。また、これらの項目も評価に入れることで、従業員の意識を高めることも可能でしょう。

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人事評価における項目サンプル

最後に、人事評価で活用するとよい項目の例について取り上げます。職種ごとの切り口で見ていきましょう。管理職・技術職は、能力に関するサンプルを明示します。営業職は成果が中心です。情意についてはすべての役職、職種に関わらずほぼ共通のためここでは扱いません。

管理職の項目サンプル

管理職に求められるのは、自身で業績を挙げることではなく、部下などに成果を出させることです。また、一般の従業員と比較して経営に近い立場にあるため、経営方針など全社的な事項へのより深い理解のもと、業務を遂行することが重要です。その意味で、以下のような項目が考えられるでしょう。

  • リーダーシップ:チームの課題解決に向けたリーダーシップの発揮
  • 業務知識と技能:職務遂行のための高度な専門知識と技能を持っているか
  • 対外交渉力:取引先や顧客との難易度の高い交渉ができているか
  • 経営方針や部門方針の理解:方針を理解したうえで行動に反映できているか
  • 他部門との協働:必要に応じて他部門を巻き込めているか、あるいは巻き込まれているか

このほかにも、人材育成などの項目が当てはまります。

いずれにせよ、部門として求められる結果に対するチームとしての到達度、部下の仕事の管理や育成、経営方針・理念の理解とチームへの浸透などを軸として、自社に合った項目を挙げてみるとよいでしょう。

営業職の項目サンプル

営業職については項目設定のイメージがしやすい人も多いでしょう。やはり、チーム・個人問わず「売上」や「粗利」は必須となる項目です。しかし、「結果」としての数値のみでは測定できない部分もあります。受注までのプロセスを踏まえ、顧客との関係性や商品知識なども項目に入れて評価するようにしましょう。

たとえば、顧客との関係性の面では、顧客から信頼を得られているほど、それを長期的に積み上げていくことで大きな利益をもたらしてくれます。しかし、決算期ごとでの売上ではなかなか可視化しづらい「成果」であるため、顧客へのアンケートなどで関係性を測定し、人事評価に反映させるのも有効です。

あるいは、商品知識があまりないのにたまたま動機の高い顧客を担当した結果、受注につながるケースもあるため、売上だけでは見えない点にも目を向けることが重要です。成果に関する項目では以下のような項目が考えられます。

  • 計画実行力:月間、半期、年間のタームにおいて、販売予測に基づく計画を立て実行したか
  • 行動力:キーパーソンへの接触頻度、新規顧客の獲得数、計画に沿った訪問を実施したか
  • 商品知識の習得度:業界や市場動向、競合商品などの最新情報を把握し、営業に活用したか
  • 顧客対応:問い合わせへの最適な対応をしたか、顧客の要望を正確にくみ取ったか
  • ・商談力:最適な提案方法とプレゼンを行ったか、その結果、クロージング率はどうだったか

技術職の項目サンプル

技術職の場合、営業職と比較して社内での評価の比重も高まりますが、まずは顧客視点の項目を設けるのがよいでしょう。業界にもよりますが顧客への対応や満足度、可能であれば顧客の利益などを評価できると、技術職に関しても顧客視点での計測が可能です。能力の評価基準として以下のような項目が考えられます。

  • 進捗管理:計画した内容が予定通り進んでいるか常に確認しながら業務を進めているか
  • 折衝力:意見の異なる相手に考えを簡潔明瞭に伝え、正確に理解させているか
  • クレーム対応力:状況を判断してクレームに速やかに対処し、適切な処理ができているか
  • 情報収集と活用:業界や市場の情報収集を行い、日常の業務に活用しているか
  • 思考力:問題点を見つけ出し、その解決に向けて必要な方策と計画を立案したか

また、単に技術的なスキルや知識を持っていればよいわけではなく、営業職や他部署の関係者とうまく連携し、売上につなげることが大切です。その意味で、営業からの信頼度なども評価に反映すると精度が上がります。もちろん、専門分野あるいはその周辺のスキルアップや自己啓発といった努力も項目に入れると、結果だけでなくプロセスも含めた評価ができるでしょう。

まとめ

人事評価は、給与など処遇の材料にするだけでなく、うまく活用することで組織の成果向上に役立てることが可能です。そのためには、役職や職種に応じた適切な項目設定とその評価方法が大切です。本記事で紹介した内容も参考に、新たな項目を取り入れたり、改善できないかを検討してみるのもよいでしょう。評価項目の明確な可視化と共有を起点に、社員のモチベーションアップや能力開発などに生かしてみましょう。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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