人事評価シートの活用で期待される効果とは?業界・業種別の書き方についても紹介

 2020.09.25  AJS株式会社

人事評価においては、人事評価シートをうまく活用できれば、従業員は納得のいくフィードバックを得ることができるため、自発的目標設定とその達成行動につながります。今回は、人事評価シート活用による効果について詳しく解説します。

人事評価シートとは

人事評価シートとは、従業員それぞれの目標管理のために活用するシートです。従業員自ら目標を設定し、期末など決まった期間までにその達成度を記入します。さらには業務への姿勢やスキル・能力も自己評価します。

なお、上司によって一方的に作成された内容に従うのではなく、あくまで自身で考え、言語化したものを制作することが重要です。主にExcelなどを利用し、定型的なフォーマットをもとに運用されます。活用するタイミングは企業や部門ごとの人事考課制度によっても異なりますが、一般的には1年に1回から2回の設定とレビューを行います。

人事評価シート活用のメリット

では、なぜわざわざ従業員一人ひとりに人事評価シートを作成させるのでしょうか。以下では、各関係者にとってのメリットを解説します。

従業員へのメリット

まず、評価シートを作成する従業員は、自身の業務目標やそれに対する成果や努力内容など、シートへの記入を通して、冷静に自分自身を振り返るきっかけになります。普段、頭のなかでは考えているつもりでも、改めてシートへ記入することで新たに気づくこともあります。

自身の成長を客観的に振り返ることで、今後に向けた努力の目安も確認でき、よりモチベーションを向上させることにもつながるでしょう。

従業員自身が評価シートに記入することで、このメリットを最大限に活用できます。

管理職、上長へのメリット

評価シートを作成する従業員自身だけでなく、その上長や管理職にとってもメリットがあります。上長が各部下について記入するより、本人が個々に人事評価シートを作成することで、各メンバーが取り組んでいる内容が明確になり、チームとしての業務にも抜け漏れが発生しにくくなります。

また、継続的に作成することで、過去の内容も振り返りながら部下の成長を確認したり、それをもとに今後の育成方針を立てやすくなったりします。さらに、経営層としては人事評価シート作成とそのレビューというサイクルが定着すれば、新しいメンバーを採用しても目標の共有や管理がスムーズになるというメリットがあります。

人事担当者へのメリット

人事担当者にとってもメリットがあります。評価をもとに、給与をはじめとした処遇に反映しやすいのはもちろんこと、各従業員に関するデータが集積されるため、採用面にも好影響が出ます。具体的には、既存のメンバーの人事評価シートとその業務成果などのデータから、入社後に活躍できる可能性が高い人材要件をより明確に言語化しやすくなります。重要な能力や行動特性をデータ化することで仮説検証の材料が多くなり、新卒や中途の採用の精度が高まるでしょう。

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主要な項目と振り返りの際のポイント

人事評価シート導入のメリットを活かすには、やはり項目の設計とその振り返りが重要です。自身の企業や組織において、現状と比較しながらチェックポイントとして確認してみてみましょう。

「目標・詳細」

目標とそれに向けた具体的な行動などの詳細を記入することが大切です。目標は何となく定めるのではなく、企業やチームとしての目標を踏まえ、上長ともすり合わせを行ったうえで設定します。これはあくまで、「すり合わせ」であって、最終的には記入者に主体的に目標を設定してもらうことが大切です。

目標を設定しても、日常の業務のなかに落とし込める内容でなければ機能しません。目標を設定した後、その達成のために必要なプロセスや具体的な行動などの「詳細」も書き込んでいくのがポイントです。書き込んだ内容はメンバーが自分事として落とし込めるよう、上長が必要に応じてサポートしましょう。

「自己評価」「振り返り」

次に、人事評価シートをもとにした自己評価と振り返りを実施する際のポイントです。

人事評価シートに基づく期間が終了したら、達成度などに関して上長とフィードバックの面談を行いますが、その前に自身による評価、つまり「自己評価」を記入します。他者からのフィードバックは、まず自身で客観的に振り返りをさせてから行う方が効果的だからです。さらに、自己評価と上長をはじめとした他人の評価をそれぞれ行うことで、思考や感性などのギャップや新たな自身の強みを発見し、スキルだけでなく人としての成長にもつなげることができます。

「上長からの評価、コメント」

本人による自己評価記入後、上長による評価とコメントを記入し、いよいよフィードバックの面談を通して振り返りを行います。基本的には、予め設定していた達成基準をベースに自身の業務成果や行動についての反省点や今後に向けての改善点を言語化し、シートに記入します。

評価に関しては、5段階あるいは4段階くらいで達成度などを記入します。コメント欄では、その評価に至った客観的な事実や、その項目において評価できる点や今後の課題、期待することなどをそれぞれ記入します。コメントだけではうまく伝わらない部分もあるため、面談を通して直接伝えることで被評価者本人も納得性を高く感じ、次の目標に向けてスムーズに行動できるでしょう。

ここで大切なのは、あくまで「事実」に基づいた評価やコメントを行うことです。普段から接している部下に対しては、ともすれば今後の期待感から甘い評価になりがちです。その点を認識したうえで、事実や数字、客観的な観察をもとにしたフィードバックを行うのがポイントです。

 

業界、業種別コメント欄書き方のコツ

人事評価シートの活用は、さまざまな企業や場面において活用できます。一方で、評価すべき項目や進め方などは業界や職種などによって異なるのも事実です。最後に、職種や業界ごとのコメント欄の書き方のコツについて解説します。

営業

営業職において共通して記入する項目は、やはり売り上げをはじめとした目標の設定とその達成度合いで、定量的に振り返るのがスタンダードです。もちろん、営業全てで共通ではなく、年次や事業内容によって適切な設定が必要です。売り上げを中心とした数字で振り返ることが中心にはなりますが、そのプロセスも重要です。目標達成に向けた計画や行動にも目を向けるようにしましょう。

また、営業においては受注までにさまざまなステップがあり、各ステップに分解してフィードバックするのも有効です。また、個人だけでなくチームのなかでの振る舞いや、目標を達成するために行った努力の課程で得た気づきなどにも目を向けましょう。

事務職

事務職は、営業と比較するとその成果を数字で客観的に可視化するのが難しい部分が多い業務的特性があります。というのも、直接売り上げにつながる業務ではないケースが多いからです。主な評価項目としては、基本的には業務に対する姿勢や積極的に何か改善しようとする意欲、などになります。前回と比較して改善できた面があったか、などは数値化することができるかもしれません。

そのなかで、どのようにコメントすべきか悩ましい面もありますが、事務職の業務によりどのような「改善」や「変化」があったかを分かりやすく表現するとよいでしょう。同じ作業の繰り返しが業務の中心になりがちですが、そのなかでも効率的に進める方法を模索する姿勢などがあれば、そこにしっかりと目を向けましょう。

技術職・そのほか管理部門

技術職やそのほかの管理部門は、営業や事務職と比較してより「専門性」が高く、業界によって評価すべき項目やそれに対するフィードバックの仕方も異なるでしょう。

そのなかでも、数字で客観的に測れるものがあれば設定するようにしましょう。たとえば、製造におけるコストの改善率などです。あるいは、製品の性能の向上度合いも当てはまるでしょう。事務職とも被る部分もありますが、共通して「改善」や「変化」に目を向ける項目とコメントを意識するとよいでしょう。その専門分野においてどれだけ定量的な成果をもたらしたかを中心に項目設計を行い、次に向けた行動につながるコメントを記入するようにしましょう。

サービス業

サービス業の場合、基本的に顧客と接する時間が長いのが大きな特徴です。よって、お客様に対する姿勢が重要な評価項目になるので、この点について重点的にコメントするのがよいでしょう。また、仕事そのものや社内でのコミュニケーションなども重要な要素です。というのもこれらに対する態度が結果として顧客への対応にも表れるからです。もちろん、販売実績という分かりやすい項目に対する評価・コメントも大切ですが、そのプロセスとして非常に重要な、顧客や仕事に対する姿勢について客観的なコメントをするようにしましょう。

まとめ

人事評価シートの記入とフィードバックを行うことで、従業員は自発的な目標設定とその達成に向けた行動を取るようになります。シート項目作成の際に不安があれば、無料のテンプレートやサンプルを参考にして基本項目を押さえ、その後自社に合わせて項目を適宜調整することもできます。シートをより効果的に活用するには、面談でのフィードバックをしっかり行うことです。自己評価と上長による客観的な振り返りが、個人の今後の成長に繋がるでしょう。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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