人事業務は給与計算や社会保険業務にはじまり、採用や人材育成、人事制度の構築など、多岐に渡ります。中にはルーティンワークや明確なタイムスケジュールが存在するものもありますが、どれもミスを許されない業務であり、人事担当者の負担は非常に大きいものです。限られたリソースでこれらの人事業務を遂行するには、効率化が欠かせません。
今回は、人事業務を効率化し、成果を出すために必要なポイントを3つに絞ってご紹介します。
人事業務の年間スケジュールを整理する
人事担当者が個々で管理しているために、意外に存在しないものが「年間スケジュール」です。 先々のスケジュールを把握できず、目の前の仕事に手一杯の状況では、効率化は困難でしょう。 人事業務を効率化するにあたっては、年間のスケジュールを整理することが重要になります。
年間の業務を、シーズナリティがある業務、定常業務、月に数回、年に数回発生する業務に分ける
人事業務は、季節性のある業務(一定時期に発生する行事や年1回もの)や、半期・四半期、月次、随時対応する業務など、業務量だけでなく種類の多さが特徴です。
まずは、実施する時期や頻度で分けて棚卸しをすると、業務の優先順位を整理することができます。
繁忙期と余裕のある時期を把握し、余裕のある時期に先々の準備をする
棚卸しができたら、年間スケジュールに落とし込みます。
部門全体を見渡せる年間スケジュールがあれば、領域を超えた担当者同士の協力体制も作りやすく、余裕のある時期に、繁忙期の事前準備をすることが可能となります。
実務には具体的な日程が必要となりますから、年間スケジュールを基に、365日のスケジュールが作成できればベストでしょう。
効率化すべきフェーズを見極める
注力すべきフェーズと効率化すべきフェーズをしっかり見極める
前述の通り、人事には様々な業務があり、これを工程別に棚卸しをすると、「戦略」「企画」「運用・管理」「オペレーション」というフェーズに分けることができ、効率化すべき部分が見えてきます。
【戦略】たとえば、人事評価体制の構築は、会社の経営方針やビジョンを基に戦略を立て、経営者とともに進めていく必要があります。
【企画】その戦略から練られた人事評価制度の立案や設計も、人事部門で担うべき責任ある業務です。
【運用・管理】評価制度成立後は、細かな調整をしつつ、正しく運用されるための管理が求められます。
【オペレーション】そして、評価制度に基づいて、評価の受け渡しや集計、資料作成が行われます。
この流れを見ると、「戦略」「企画」「運用・管理」のフェーズには、専任の人事担当者が必要となります。
しかし、「オペレーション」については、構築した評価制度に基づいて実行する作業的な要素が多く、自社に適した評価システムを導入すれば、効率的に遂行することが可能でしょう。
つまり、効率化すべきは「戦略」「企画」「運用・管理」で作り上げた、手順を実行する「オペレーション」ということになります。
人事評価に限らず、オペレーションフェーズにある業務は、効率化を検討できる対象と捉えてみるとよいでしょう。
業務フローを作成し、属人化を排除する
人事業務の属人化がもたらすデメリット
担当者の他にその業務について把握している者がおらず、担当者が不在になるとやり方や流れが分からなくなってしまうことを「業務が属人化する」といいます。突然の退職や急病などで担当者が不在になり、業務が停滞してしまえば、多くの関連業務や他部署にも影響を及ぼします。
そんな事態を避けるためにも、誰が見てもその業務の内容や進め方が分かる「業務フロー」を作成する必要があります。
業務フローの作成が必要な理由
業務の属人化は多くのデメリットを招くため、早々に排除してリスク回避をすべきです。
ただし、業務のマニュアルが書かれているだけの資料を作成しても、業務が停滞しないだけであって効率化とは言えません。
人事に限らず、仕事は多くの人・組織との繋がりで成り立ちますから、他部署や取引先との関係性を時系列で図解(チャート化)する「業務フロー」の作成が必要となるのです。
フロー作成によって得られるメリットとは
業務フローは全体の流れが見えるものですから、属人化でブラックボックスとなっていた業務が見える化し、担当者以外も業務を把握しやすくなり、関連部署との情報共有も容易となるでしょう。
そして、重複している作業や短縮できる作業、実は不要だった作業なども発見することができるメリットもあります。
また、システム導入やアウトソーシングを検討する際にも、明確な業務フローが完成していれば、導入までの準備に必要な時間を短縮することができます。
まとめ
人事には、会社全体・社員全員に関わる業務が多いため、年間スケジュールや業務フローが整うと、会社全体のスケジュールや他部署の業務フローも整い始め、重要プロジェクトのベストタイミングが計れる、社員の有給休暇の消化促進に繋がるなど、効率化以外のメリットも期待できます。 また、効率化すべきフェーズを見極めれば、システム導入やアウトソーシングの検討など、効率化に向けての具体的なアクションを起こしやすくなるでしょう。
3つのポイントは、ある程度の手間と時間がかかることを覚悟のうえで着手すべきです。いずれも「業務の棚卸し」という共通点がありますから、同時進行をした方が効率的に進めることができるかもしれません。
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